たった9アイテムで、1000通りの着こなしが叶う「カプセルドレッシング」とは?

Fashion 2024.11.13

毎朝、何を着るかで頭を悩ませているなら、「カプセルドレッシング」を取り入れるのが恐らく最も効果的な解決法だろう。ワードローブを整理し、衝動買いを避け、お金を節約することにも繋がるこのメソッドを、その道のプロが伝授する。

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ファッションウィーク中、ザ・ロウの2024-2025年秋冬コレクションで、上質なベーシックを着こなすアレクサ・チャン(パリ、2024年2月28日)。Photography: Raimonda Kulikauskiene / Getty Images

毎年秋になると、着るものに関して、同じジレンマが繰り返されてはいないだろうか。天気が予測できないときに着る大きなセーターを手に取る一方で、寒い季節にあまり適さない服を衝動的に買ってしまうのは女性ならよくある話。その結果、クローゼットの中は、互いにマッチしない服で溢れかえり、着るものがないという感覚に陥りがちだ。そして衝動買いしたシャツは、1日着れば忘れてしまう存在に......。この悪循環から脱却する方法として、ファッションインフルエンサーのアリス(28歳)は、片付けコンサルタントとして知られる近藤麻理恵のメソッドを基にしたスタイリング術「カプセルドレッシング」をシェアしている。

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「カプセルドレッシング」のアイデアはとてもシンプルだ。毎シーズン、不必要に新しい服を購入するのではなく、ワードローブを一旦空にしてから、誰もが持っているようなベーシックアイテムを9点に厳選するが、まずはニュートラルなトップス3点、無地のボトムス3枚、落ち着いた色合いの靴3足に絞ることから始めてみよう。それらを組み合わせて、さまざまなルックを作るのが「カプセルドレッシング」のメソッドだ。たとえば、無地のブルーのシャツはグレーのスカートとマッチするし、そのグレーのスカートは生成色のタートルネックセーターとも合わせやすいだろう。実際、アリスはセーター2枚とシャツ1枚、スカート2枚とパンツ1本、アンクルブーツ、ヒール、スニーカーをそれぞれ1足というわずか9つのアイテムを組み合わせて、20通り以上のルックを作り出している。それだけあれば、冬の終わりまで飽きることなく着回し続けることができるというものだ。

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故キャロリン・ベセット=ケネディは生涯を通じて、洗練されたファッションのアイコンとして地位を確立してきたが、とりわけ上質なベーシックアイテムを好んで着ていた(ニューヨーク、1996年10月)。photography: Lawrence Schwartzwald / Sygma via Getty Images

さらにアリスは、ベーシックアイテムのみで組み合わせる一連のスタイルは、コート、バッグ、アクセサリーによって、魅力を増幅させることができると述べている。「このテクニックで、購入したアイテムを最大限に活用できます」と彼女は説明する。さらに、「ヒールが苦手ならローファーやモカシンに、アンクルブーツをフラットブーツに置き換えることができます」と、より自分らしいアイテムを代用するようアドバイスするが、言い換えれば、可能性は無限に広がるということだ。先だって話題になった、3ヶ月間で33点のアイテムを手元に置いておくというメソッド「333ドレッシングルーム」よりも、少ないアイテム数で済ませられる「カプセルドレッシング」を好む人は多いはずだ。

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色や柄物はタイムレスなものを選ぶ

ヴィヴィッドな色や柄ものはどう扱うべきだろうか? これら主張するタイプのアイテムの戦略は、ホワイトTシャツ、グレーのカーディガン、デニムなど、シンプルな服に合わせるのが一般的だ。しかし、よりエッジの効いたスタイルを追求するときに、このテクニックは通用するだろうか? 昨年のクリスマスシーズンに入手したフューシャピンクのブレザーが、今シーズン手に入れた赤いクロコダイルスカートと合うとは想像しにくい。「さらに多くのクローゼットに拡張することもできます。それは『333ドレッシングルーム』のメソッドでも、推奨されています」と彼女は、アイテム数を増やすことを提案する。また、柄ものに関しては、「『カプセルドレッシング』のワードローブのひとつとして組み込んでおくといいでしょう。その際は、ストライプやセーラートップス、ドット模様など、時代を超越したものを選ぶようにしてください。ヒョウ柄も同様ですが、タイムレスなアイテムであればうまくいきます」

個性の強いアイテムの場合は、より落ち着いたアイテムと組み合わせるのが基本ルールだ。一方で、9つのマストアイテムのセレクションに、明るい色やカラフルな柄のものが多ければ多いほど、それらの組み合わせは難解になる。そもそも「カプセルドレッシング」は"落ち着いた贅沢"を好む人、つまり高級な素材、シンプルなカッティング、柔らかな色彩の服やアクセサリーの愛好者に適した戦術である。「実際、私は基本的にカラフルな柄を避けています。目標は、自分が選んだアイテムを何年も着られるようにすることです」と彼女は締めくくっている。

多少の贅沢を取り込むことも忘れないようにしたい。もし、あなたの「カプセルドレッシング」が地味な服ばかりなら、気の利いたアクセサリーを取り入れるといいだろう。全身ブラックのクラシックなスタイルなら、カラフルなネックレスを重ねると黒が引き立つし、ヒョウ柄のジャケットを合わせるとクールな雰囲気がプラスされそうだ。「カプセルドレッシング」とはつまるところ、賢明な選択をしながら誰にも似ないように自分らしいタッチを加え、スマートにドレスアップすることなのだ。

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【動画】「カプセルドレッシング」による着回し術を見てみよう。

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text: Augustin Bougro (madame.lefigaro.fr) translation: Eri Arimoto

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