シャネルのアンバサダー、アルマが語るコロナ禍のパリ。
Fashion 2020.07.18
発売中の本誌「いいモノ語り」号では、シャネルのメディエダール コレクションの魅力をくまなく紹介中。アンバサダーであるアルマ・ホドロフスキーが、メティエダール コレクションとデザイナーのヴィルジニー・ヴィアール、そしてアトリエの職人技の魅力やガブリエル・シャネルへの思いを語っている。本インタビューではコロナ禍での自分の仕事やパリの状況について、リアルに語ってくれた。
© CHANEL
――ステファン・ストレカー監督の新作映画『L’Ennemi』でジェレミー・レニエと共演していますね。2019年の夏に撮影されたこの作品について、最も心が引きつけられたことは何ですか?
この映画の主人公は政治家の男性で、ジャーナリストと情熱的な恋に落ちます。私が演じるのはそのジャーナリストで、殺人罪に問われます。ストレカー監督の前作『Noces(日本未公開)』が大好きですし、今回の役柄にとても興味を持ちました。捉えどころのない性格で、いくつもの違う顔を持ち、ストーリーの謎を深める女性なのです。この役で、自分の演技をさまざまな角度から掘り下げることができました。特に興味を感じたのは、自分より年上のリアルな女性の役だったことです。たとえば25歳くらいの時は若くて少し深みに欠ける役を演じることが多かったのですが、しばらく前から、魅力的な役柄をオファーされるようになりました。そして、この作品で初めてジェレミー・レニエと会ったのですが、共演しながらたくさんのことを学ばせてもらいました。
――タハール・ラヒムやジェナ・コールマンと共演するNetflix製作の新シリーズ「The Serpent」についても教えてください。
この作品は新型コロナウイルス感染拡大の影響で撮影が終わっていませんし、内容について話すことはできないんです。これは、バンコクの連続殺人事件で知られるシリアルキラー、シャルル・ソブラジの話です。私は最後の2話に登場する被害者を演じています。オーディションはロンドンで受けたのですが、このプロジェクトはかなり前から始まっています。大作なので製作に時間がかかるんです。私はこの撮影での体験をすごく楽しんでいます。とても国際的で、製作チームの多くの人がバンコクから参加していて、ディレクター陣はイギリスやベルギー、俳優陣はイギリス、フランス、タイなど、いろいろな国の出身です。いろいろな経歴の人たちとの出会えるのは本当に素晴らしいことです。
――最近は、フランスのシンガー、クララ・ルチアーニとコリーヌのミュージックビデオで監督を務めたそうですね。製作側の仕事にも興味がありますか?
はい。クララ・ルチアーニの「Sainte-Victoire」と、コリーヌの「Corine」という曲のミュージックビデオを監督しました。「Corine」はシャネルのメティエダール コレクションのルック49のジャンプスーツの雰囲気なんですよ。
Look#49
最近はフォトグラファーのロール ・ティベルギアンと、彼女の作品についての実験的な短編ドキュメンタリーを撮ったところです。この方面に進みたいと思って、他にもプロジェクトに取り組んでいますが、いまのところはまだ秘密です。
――外出制限が始まってから、どこで、誰と一緒に過ごしていますか?
パリ11区にある自分の家で、パートナーとペットの柴犬と一緒にいます。パートナーと1日交替で犬の散歩に出かけています。愛犬は毎日たっぷり散歩できて、家では私たちと遊べるので、とても喜んでいるようです。
© CHANEL
――外出制限の前は何をしていましたか?
「The Serpent」の最後の撮影のためにバンコクへ行くところでした。まさに出発しようと空港にいる時に製作チームから電話があって、撮影がキャンセルになったと知らされたんです。4月には次の映画の撮影がイタリアのサルディーニャ島で始まる予定でした。ポーランドのアグニェシュカ・ヴォシュチンスカ監督の初の長編映画で、こちらも当然ながら撮影は延期になりました。
――外出制限で家にいて、何か困難なことはありますか?
以前はとてもアクティブな日々を送っていて、私にとって重要なプロジェクトをいくつも同時進行していたので、すべてを突然ストップしなければいけないのはとても辛かったです。でも、家にいることも意外と心地よく、ひとりで過ごすのは得意なので、その点については心配していません。私はこの期間をできる限りポジティブに受け止めようと思っています。自分自身のために時間を使えるので、本を読んだり、映画を観たり、料理をしたり、そして先ほどの刺繍(本誌p109で言及)のように新しいことを始めたりできますよね。そして、いまはいろいろなことができなくてもいいのだと皆さんが気づくことを願っています。私たちの体やエネルギーはこの辛い体験で立ち往生しているので、それに慣れる必要があるのですから。
――外出制限をしてみてわかったことはありますか?
私は忙しく動き回っていないと不安になるタイプですが、目まぐるしく変化する現代社会を、意外にも広い視野で眺めることができたり、リラックスして過ごせていることに自分でも驚いています。いまは、慌ただしい世界から離れてのんびり過ごすのも悪くないと思っています。苦しんでいる人がたくさんいる中で、自分が恵まれた環境にいることを心に留めれば、自分の不安な気持ちを客観的に把握できるようになります。私の場合はヨガが役立っています。ヨガは以前からけっこうやっていたのですが、いまは絶対に欠かせない日課になりました。
――家の外でいちばん恋しく思うものは何ですか?
私の大好きな人たち、友達や家族です。
――活動休止中に発見した最もすばらしいものを教えてください。
テレビでピアラ監督の「La Maison des Bois」シリーズを見ました。全7話の、最高のドラマです。それから、映画配信のシネテクで、いろいろな映画監督のお気に入り映画リストを参考に、映画を観ています。クレマン・コジトア監督とセリーヌ・シアマ監督の映画を特にたくさん観ました。
――新型コロナウイルスの感染が終息したあとの世界やファッション業界はどのようなものになると思いますか?
人の意識が変わることを願っていますし、そうなると思っています。でも、それが私たちの社会や生き方、消費、政治を根本的に変えてしまうかどうかはわかりません。ルモンド紙で、伝染病を専門とする2人の歴史学者の興味深いインタビューを読みました。その記事には、いまは誰もがこれからの文化が完全に変わってしまうだろうと感じているけれど、実際はすぐに新型コロナウイルスが発生する前の状態に戻るし、今回の騒動もすぐに忘れられてしまうことを歴史が示していると書かれていました。
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本誌掲載ルックの価格は以下の通り:
p102
Look#70
ブラウス¥291,500
スカート¥1,597,200
ヘッドバンド¥79,200
ネックレス¥80,300
ネックレス¥128,700
ネックレス¥97,900
Look#63
プルオーバー¥511,500
スカート¥595,100
ベルト¥323,400
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p103
Look#64
ジャケット¥1,838,100
スカート¥515,900
ヘッドバンド¥58,300
ブレスレット参考商品
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p104
左から
Look#60
トップ¥288,200
ネックレス¥183,700
ベルト¥277,200
ジャケット、パンツともに参考商品
Look#61
イヤリング¥77,000
ベルト¥245,300
ドレス参考商品
Look#62
ドレス¥977,900
ネックレス¥74,800
ネックレス¥150,700
ネックレス¥330,000
ネックレス¥642,400
ブレスレット¥180,400
ベルト¥269,500
Look#48
ジャケット¥3,411,000
ジャンプスーツ¥548,900
ネックレス¥488,400
ネックレス¥144,100
ネックレス¥97,900
ネックレス¥170,500
ネックレス¥80,300
ネックレス参考商品
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p105
Look#31
カーディガン¥277,200
スカート、イヤリング、ブレスレット、ベルト以上参考商品
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p106
Look#20
コート¥2,213,200
ブラウス¥694,100
スカート¥733,700
ベルト¥269,500
Look#29
ジャケット¥822,800
ニットトップ参考商品
Look#67
トップ¥585,200
スカート¥998,800
ヘッドバンド¥70,400
イヤリング¥72,600
イヤリング¥110,000
ブレスレット¥101,200
ベルト¥600,600
ケープ、上記以外のブレスレット以上参考商品
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p107
Look#54
ブラウス¥707,300
スカート¥457,600
ネックレス¥245,300
ベルト¥332,200
バッグ¥603,900
Look#35
バッグ¥737,000
ジャンプスーツ参考商品
Backstage photos:The CHANEL 2019/20 Métiers d’art collection © Benoit Peverelli
シャネル カスタマーケア 0120-525-519(フリーダイヤル)
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