パリの川村さんちの朝ごはん

濃厚なクレーム・フレッシュで、アスパラとカブの温サラダ。

マルシェのスタンドに、パリ近郊産のアスパラガスが登場した。白と緑、揃って。
見ると、買いたくなる。出てきたばかりだというのに、いつまであるかなぁと気持ちが逸る。いつもならまずホワイトアスパラを買うのだけれど、今年は珍しく、グリーンアスパラから楽しみたくなった。

日中は晴れ間が広がり、すっきりした青空が気持ちよく、ここ数日すっかり春気分だ。
でも、朝の気温は2、3度でまだまだ寒く、どちらかというとグラタンでも食べたくなる。
鮮やかな緑に惹かれたグリーンアスパラも、オイル仕立てではなく、少しぽってりした仕上げにしたいなぁと思った。
茹でて熱々をマヨネーズで食べるのもいいかも! とマヨネーズを作るつもりで冷蔵庫を開けたら、うっかり卵を切らしていた。
ならば、生クリームかバターで和えよう。

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朝は、なるべく洗い物を出したくないのと、炒めものをして油がはねるのは避けたいなぁと思うことも少なくない。
それで、茹でるか蒸すか、オーブンで焼くか。そして、それを、和える。

アスパラの緑だけでは少し色が重たい気がして、白っぽい何かを加えたくなった。ちょうどカブがある。
“アスパラとカブだけだと口の中でゴロゴロしそうだし、もう一つ違う食感のものも加えたいなぁ……チャービルがあるけれど少し頼りないかなぁ、それよりも、クレソンにしようか”。

カブは少し紫がかったところがあってそれがきれいだったから、皮を剥かずに小口切りにして茹で始め、その間にアスパラを薄めの斜め切りにして、カブがほぼ茹だったところでアスパラも投入し、さっと茹でて一緒にザルにあげる。
茹で汁は、そこにクレソンやハーブの茎、ニンジンの皮など少しずつ残って取っておいた野菜屑を入れて野菜出汁を取るためにとっておく(私は、この半分でクレソンのポタージュを作り、残りの半分でタイ米を炊きました)。

カブとグリーンアスパラから湯気が立っているうちにボウルに入れ、クレーム・フレッシュを加え、和える。
私は、クレーム・フレッシュ(脂肪分が高い濃厚な生クリーム)が好きで、農家から届くものを扱う店を見つければ買って好みのタイプを見つけるのに勤しんでいるのだが、家からいちばん近いチーズ屋さんで売っているクレーム・フレッシュは、脂肪分がとても高く、スプーンですくって引き上げる時の伸びも、力強い。この伸びる感じがもう大好きで、ワクワクして、子供のように何度も繰り返し、一人ニヤけるなんてことを朝からしている。
塩(フルール・ド・セル)とコショウも振り、レモンを絞って、ほんの数滴オリーブオイルを垂らし、軽く和えてから、最後にクレソンの葉を加える。

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クレソンの葉がくたっとしてしまわないように、“ちょっとだけクリーム液がかかればいいな”くらいの気持ちで、カブとアスパラと合わせるようにして皿に盛り付ける。

最近、家で仕事をする日にはお昼を食べる時間がないことがほとんどで、気づくと18時になっていたりするので、平日でも朝ごはんはしっかり!
この日は、前回も紹介したTen Belles Breadの古代麦のパンを2枚添えた。
ベーシックな天然酵母パンよりも、しっとりしているのに軽やかで、香ばしさも優っているように感じるし、それになんだかお腹の中でも沈まない気がして、最近立て続けに買っている。

キリッとした塩気にハムを、爽やかなジューシーさも欲しくて洋梨を添えた。

今日の朝ごはん
・グリーンアスパラとカブ、クレソンのクレーム・フレッシュ和え温サラダ
(クレーム・フレッシュ、レモン、塩・コショウ、オリーブオイル)
・マルシェのシャルキュトリーで買ったハム
・パリ近郊農家の洋梨
・テン・ベルズ・ブレッドの古代麦のパン
・コーヒー(グランド・エピスリーのブラジル・サントス)

*クレーム・フレッシュは、生クリームでも。

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パリの川村さんちの朝ごはん一覧

川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。
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