秋の出産が増える、「大晦日効果」と呼ばれる理由とは?
Lifestyle 2023.10.22
フランスでは1970年代以降、9月の最後の週と10月の最初の週に出産が集中する。2015年以降は減少傾向にあるものの、フランスの人口統計学者からは“聖シルウェステル効果”とも呼ばれている(フランスでは大みそかの日のことを“聖シルウェステルの日”と言う)。解説してみよう。
なぜ産科病棟では10月頭に出産がピークに達するのか。photography: Thanasis Zovoilis/Getty Images
フランス人なら、10月の頭に誕生日を迎える知り合いが数名いる可能性が大いにある。なんと、それは(ほとんど)偶然ではないそうだ。フランス国立人口問題研究所が2011年に発表した報告書によると、フランスでは1970年代以降、9月の最後の週から10月の初頭に出産数が著しく多いということが分かった。計算は簡単で理由はすぐに見つかった。9カ月前は大晦日だ。
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聖シルウェステル効果
調査の結論によると、新年への移行の夜は繁殖力が盛んで親密な関係に打ってつけの夜のようだ。これは人口統計学者に“聖シルウェステル効果”と呼ばれている現象だ。新年を祝うために一緒に過ごすことの多い休暇中のカップルは、パーティー気分で避妊用具を忘れやすい。お酒が入りすぎた女性は、ピルごと吐いてしまうこともある。出産のピークは9月23日、ちょうど大晦日から265日目、すなわち通常の妊娠期間に当たる。
“出産季節の逆説”
同調査書の著者によると、この現象はフランス人女性の出産計画や希望とはかけ離れているというから驚きだ。著者の一人が2010年に行った調査によると、「もし選択が可能なのであれば9月の出産を選ぶ」と答えた女性はたったの2%しかいなかった。研究者らはそれを“出産季節の逆説”と呼んでいる。
調査の影響なのか、出版後は聖シルウェステル効果が薄れてきている。フランス国立統計経済研究所によると、2015年以降は9月の出産ピークは目立たなくなってきている(2021年に一度だけリバウンドが見られた)。一方では新たなピークが7月に表れてきている。
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text: Léa Mabilon (madame.lefigaro.fr) translation: Hana Okazaki, Hide Okazaki