妊娠で女友だちと疎遠になった...私が子どもを産んじゃいけないの?

Lifestyle 2024.02.12

妊娠や出産をきっかけに、同性の友人との関係がギクシャクするようになったと感じたことはない? 3人のフランス人女性、カディジャ、カロリーヌとエメリーヌもそんな体験をしたという。フランス「マダム・フィガロ」がリポート。

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親になると気付く、2つの現実とのギャップ。photography : Denis Novikov / Getty Images

カディジャは現在39歳、2児の母だ。「迷信深いので、仲良しの女性ふたりに話すのは妊娠3〜4カ月の頃まで待っていました。ソワソワしながらエコー写真を見せると......ふたりとも押し黙ってしまったのです」とその時のことをふり返った。

3人が恒例にしてきた日曜日のブランチは気まずい空気に包まれた。「ようやくひとりが口を開くと、産むつもり? と聞いてきました。私がおめでたを告げた時のウキウキした気分が吹き飛ぶ、まさかの発言でした。それから私たちは話題を変え、その後、妊娠中はふたりと一度も会いませんでした」。カディジャが会おうと誘っても、ふたりとも「言い訳にならない」ような言い訳を持ち出して会おうとしなかったそうだ。

これまで仲良しであっても、人生に新たな要素、新たな存在が加わることで疎遠になる場合がある。フランスの心理学者、ポーリーヌ・マンジョレ(1)はその状況を次のように説明する。「なぜ母親になる選択をしたのかが理解できず、相手への思いやりや共感力に欠ける人もいる。親になるという大きな変化に直面したとき、続く友情もあれば消える友情もある。批判されるのを避けるため、親になる側から距離を置かざるをえない場合もある」

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少しずつ疎遠に。

33歳のカロリーヌはシングルマザー。2歳半の男の子がいる。カロリーヌの場合、相手に理解してもらえないという状況に直面した。「突然の妊娠だったので、周囲の人たちに急いで知らせることになってしまいました」。しかしながら家族や友人は温かく励ましてくれた。シングルマザーとして子どもを育てる決意をしたカロリーヌにとっては、とても心強いことだった。

だが、子どもが生まれたら友だちに助けてもらえるかも、という期待は、10年来の友人の態度で打ち砕かれた。「彼女は妊娠初期の頃、生まれたら手伝うし、なんなら一緒に住んでもいいとまで言ってくれました。息子が生まれると、私が寝られるように赤ちゃんの世話をひと晩してあげると言ってくれました。ほとんど寝られなかった私には、とてもありがたい言葉でした。でもどんどん先延ばしにされて結局実現せず、とてもフラストレーションが溜まりました。少しずつ疎遠になって、いまでは連絡を取ることもありません」と、当時をカロリーヌはふり返った。

友人を恨みはしないものの、友人に期待しすぎたことを後悔している。「距離を置く前に一度話をしました。彼女の方は精一杯助けているつもりで、私が何を必要としているのか理解できずにいました」

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ふたつの現実のギャップ

心理学者のポーリーヌ・マンジョレは、「子どもがいないと、たとえば出かけるよりも寝たいというような、子育て中の非常に具体的な欲求を理解できない場合がある。一方、子どもがいる側は、子どもが生まれたのに助けてもらえないと感じ、友人と距離を置くようになる。友人の方は無視されていると感じ、嫉妬のような感情を抱く場合がある」と言う。

子どもの誕生という人生の特別な時期に、周囲の支えはとても大切なこと。だから「変化を理解できない人たちや、自分のした選択を批判する人たちと疎遠になるのは仕方がない、と諦めることも必要だ。いつかまた仲良くできる時も来るかもしれない」とポーリーヌはおおらかな気持ちになるようにすすめる。

30代のエメリーヌには、妊娠したらいつの間にかフェードアウトした女性の友人がいる。「きっと彼女はいまでも子どものいない友だちとしか付き合っていないんでしょう」

そう強がって見せるものの、エメリーヌはその友人の態度に傷ついた。大学時代から仲の良かった友人と疎遠になったことも残念だった。その友人ジュスティーヌには、週末に女同士で出かけた時、妊娠を伝えた。ところがジュスティーヌは聞かなかったような態度を取った。エメリーヌがつわりで苦しんでいても知らんぷり。「彼女はいつも、子どもは欲しくない、妥協しなきゃならないことが多すぎるからと言っていました。彼女の選択を批判したことはありません。だから彼女も私の選択を尊重してくれると思っていました」とエメリーヌ。

ふたりの会う頻度は減ったものの、縁が切れたわけではない。でもふたりが会ってもエメリーヌの子どもの話題が出ることはない。「まるでそのことがタブーで、私には母親になる資格がないみたい。20年来の友情であっても、いまでは彼女のことを私の人生の一部と思いたくありません。彼女の方では私の人生の一部を否定しているのですから」とエメリーヌは本音をぶちまけた。

カディジャもまた、妊娠を友人2人に告げたとき、母親という新しい状況に対して「不公平」な態度だと感じた。「あの時とても嫌だったのは、母親としてのビジョンすら話す機会を与えられなかったことです。何も言えないまま、箱のなかに片付けられた感じ」とその時の心境を語った。心理学者のポーリーヌ・マンジョレはグループ心理を次のように説明する。「子どもがいないグループで誰かが親になると、友達の輪の構造そのものが変化する。人間関係は複雑になり、いろいろ調整する必要が生じるが、それによって新たに仲良くなるということもありえる」

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あらかじめ伝える

友達を失いたくない、誤解を避けたいと思っているのなら、あらかじめ自分の状況をはっきり伝えておくのもひとつの手だ。心理学者のポーリーヌ・マンジョレは、「生活がどう変わるのか、自分がどう対応していくのかを話すこと。これまでのようには都合をつけられないこともはっきり伝え、今後はたとえば夜の飲み会より昼間にお茶することを提案する」ようにアドバイスする。パートナーの存在も重要だ。お互い、社会生活も友人関係も維持していきたいのならば。

(1)  ポーリーヌ・マンジョレ、アドリアン・ゴディノ、ヴェロニック・デイレの共著『Je veux un enfant(原題訳:子どもが欲しい)』(Albin Michel刊)

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text: Clemence Floch (madame.lefigaro.fr)

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