【ニッポンの性】セックスカウンセラーが教えます! セックスレス5つの解消法。 セックス・エデュケーションvol.3。

Lifestyle 2025.11.14

日本人夫婦の約半数がレスだという調査結果もあるほど、日本はレス大国。いまや若いカップルの間でもレスは増えているという。どうすればレスを防いでパートナーシップを長持ちさせることができるのか。恋愛コラムニスト・さかいもゆるが、セックスの専門家であるラブライフアドバイザーのOliviAさんと鍼灸師の鰻沢智美さんに訊いてみた、レスを回避&解消する5つの方法。

レスを回避&解消する5つの方法
1. コミュニケーションカードを使って話し合う
2. 旅行をして環境を変えてみる
3. ハグを習慣化する
4. 魔法の合言葉を決めておく
5. パートナーに秘密を持つ

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(左から)インタビュアーのさかいもゆるさん、鰻沢智美さん、OliviAさん。性生活の充実を目指すためのカップルカウンセリングやセックスのテクニックの具体的指導などを行なっているラブライフアドバイザーのOliviAさんと、古代中国の皇帝が実践していた世継ぎを絶やさないための性生活指南「房中術」の識者である、鍼灸師の鰻沢智美さん。


「外」に解決策を求める傾向にある日本人

私の周りでは体感としてレスの人たちが今、すごく増えている。それが夫婦だけではなく、若い同棲カップルでもそうなのだから、一体どうなっているのか。日本人は性欲をどこでどうやって解消しているの?

OliviA:私のセックスカウンセリングや一般の方とお話ししていても、レスのカップルのパーセンテージは増えているように感じます。それも皆さん、最近では開き直り現象というか「うちもレスなのよ〜」という感じで、真剣に悩んでいるわけでもない、だけど「このままでいいのかな」とうっすら不安は覚えているという状態。第二子、第三子が欲しい方は性行為しなきゃ、回数を増やさないとってなりますけれど、お子さんを望まない場合はわりと放置していて。女性であれば女性用風俗に行ってみたり、マッチングアプリで相手を探したり。ふたりの仲を改善しようというよりは、外に解決策を探して行こうという方も出てきていますね。

さかい:何故、自分のパートナーとセックスしようとしないのか。一緒に住んでしまうと、たとえ若くても必ずそういう流れになって行くのがメジャーな気がします。ある意味、"内と外"を使い分けているというか......。欧米人男性は「日本人の彼女にもっとセックスで積極的になって欲しい」とOliviAさんのカウンセリングを訪れるという話がありました(vo.1を参照)が、男性側はそれが外に向いてしまって、女性側も「まあ風俗に行けばいいや」って、互いにパートナーと向き合おうとしない。何が違うんでしょう。

OliviA:まず、日本では性に関する話し合いという土壌が出来ていないですよね。女性の場合だと、彼に対してダメ出ししたり、不満を言ったりしたら、彼を傷つけてしまうかもと不安になってしまう。だから本音を言えない。性の話って、相手を傷つける可能性を秘めていますからね。

さかい:う〜ん、優しいんですかねえ。

OliviA:そうとも言えるかも。セックス以外は何でも話してます、ってカップルも、セックスだけはタブーだったりして、話し合いができていないんです。

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1. コミュニケーションカードを使って話し合う

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さかい:そういうカップルもカウンセリングで第三者が入ることで、ちゃんと本音を出し合って解決されるものなんですか?

OliviA:そうですね、まずはとにかく話し合うというのはパートナーシップの基本なので。何もなしに話し合うのが言い出しづらければ、今はカップルがカードゲームをしながらセックスについて話し合えるツールも出ているので。

さかい:何ですかそのカードは!?

OliviA:「コミュニケーションカード」や「セックストークカード」というものがあって、自分の要望であったり、自分たちの望む性行為のあり方や愛とは何かなどの価値観を伝える「SEKIRARAカード」というのもあります。お酒でも飲みながらそういうカードを使えば、話しやすくなるのでおすすめすることも。

さかい:便利! それによって改善された人たちもいるんですか?

OliviA:そうですね、そもそも話し合いができる時点で、関係性は悪くないということ。産後のセックスの回数が少なくて不満を感じていたけれど、それを彼に伝えたら、実は彼も誘いづらいと感じていただけだった、とか。話し合わないことでお互いに遠慮していただけだったので、性生活を再開したことですぐに第二子ができたという方もいらっしゃいます。

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2. 旅行で環境を変えてみる

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さかい:そういうケースならいいですが、「仲が良すぎてそういう気分になれない」という話も、男女共に結構聞く気がします。そこからの復活というのは、どうすればいいんでしょう。

OliviA:そういうタイプのレスは、恥ずかしさがハードルになっているだけなので。「今日はそういう行為をする日」と決めて、モードを切り替えるしかないです。それでも恥ずかしかったら、ちょっとお酒を飲んでみるとか。

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3. ハグを習慣化してしまう

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さかい:鰻澤さんならどんなアドバイスをされますか?

鰻沢:話し合いもそうですが、セックス以外でのコミュニケーション手段というのを最初から作っておくのもすごく大事。セックスしたくても本当に忙しくて難しかったり、どちらかの病気でストップしてしまうこともある。そんなときのためにも、性的な触れ合いとはまた別のベクトルで相手と近づきたい、安心感が欲しいといったときのスキンタッチを日頃から構築しておくことは重要かなと思います。お互いにマッサージし合あうとか、ハグの習慣化をしておくといいですよ。

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4. 「魔法の合言葉」を決めておく

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鰻澤:できれば付き合い始めのセックスがまだあるうちに、自分が気持ち的にピンチになったら抱きしめてほしいときの合言葉を、ふたりの間で決めておくといいと思います。それを言われたら、忙しい仕事の合間だとしても一旦中断して「抱きしめる時間」にする。ハグならば、気持ちがノるノラないとか病気だとか関係なく、いつでもできますから。

OliviA:そう、セックスじゃなくても、ハグでもいいんですよね。触れられただけで虫唾が走るみたいな仲になってしまうとレスを解消するのも難しいので、スキンシップができる関係性を維持しておくのがいいですよね。

レスの解消よりも、その手前でいかにコミュニケーションを取れる関係性を構築しておくか。それが長持ちするパートナーシップの基本のよう。

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5. パートナーに秘密を持つ

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さかい:そういえば私、別の媒体のインタビューで鰻澤さんに「レスを防ぐために、ちょっとしたことでいいからパートナーに対して秘密を持つ」と教わってから、実践しています。すごく効果があると思っているのですが、どういう原理なのでしょう。

鰻澤:レスに限らず、大抵のパートナーシップの揉め事って、相手との境界線が曖昧になると起きるんです。たとえば結婚やパートナーシップのメリットは、自分とは違う能力を持つ信用できる相手と共に、生活を運営して行くところにある。「私は運転できないけれど、彼は運転できるから一緒に出かけるときは車でしか行けない場所にも行けるよね」、というような。それが関係が近くなりすぎると相手の能力を自分のものだと勘違いして、自分の思い通りに動いてくれないと腹を立ててしまうことがありますよね。運転してくれるのが当たり前だと思って予定を組んだのに、相手の都合で断られて行きたい場所に行けなくない。それが気に入らなくて責め立てる、みたいに。

さかい:それが相手との同一化......。たしかに、身に覚えはあるような(反省)。じゃあ秘密を持つことで、あえて相手との車間距離を保つ?

鰻澤:そう。相手には見せない自分の能力を持っておくことで、心の余裕ができるんです。そうすると、相手だって他人なんだから思い通りにコントロールはできないという事実を思い出せるはず。

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セックスの回数=愛情だと決めつけない

レスについては、若い世代の方がむしろ、問題視していないことが多いという。

鰻澤:先ほどの話だと、距離が近いと段々境界線が曖昧になってきて相手への期待が大きくなりすぎるからすれ違うという話でしたが、最近は若い世代の方が、期待値が初めから低い傾向がありますね。レスだけどそんなもんだよね、みたいな。「ほかにふたりでできる楽しいことがあるから、別に問題じゃないよね」という感じ。だから問題だとは捉えていないんです。

さかい:あと、女性側の不満でよく聞くのは、女として求められないことで自信を失うという意見。性欲をすごく解消したいというよりは、レスられることで、自分は魅力がないと思ってしまう。もし自分がレスになったら、私もそう感じてしまう気がします。それでもハグなどのスキンシップがあれば、満たされるのでしょうか。

鰻澤:セックスがなくても人としての信頼感がお互いにあるか、ですよね。女性として見られなくなったらこの関係性が終わってしまうと思ってしまうと、やっぱりそこをきっかけにどんどん不安になってしまう。そうじゃない形の関係性を構築しておくのは大切なこと。

OliviA:レスで不安になってしまうタイプの女性の特徴を「セクシャルアイデンディティ型」と呼んでいるんです。「女性として見られないから私には人間的価値もない」と、セックスを求められる回数で自分の価値を測ってしまう。だけど実際には欲求と愛情ってリンクしていないことも多々あるので、女性特有の考え方の癖かなあと思ったりします。

さかい:何でしょうね。別に自分を性的商品のように見ているわけでもないのに、そこでアイデンティティを測ってしまうって。性(さが)なんですかね、女性は求められてナンボという価値観の刷り込みのせいなのか。

OliviA:若いときは求められていたのにと、さみしさみたいなものはあるかもしれませんね。

鰻澤:セックスだけを取り出して考えてしまうと、過去と比較してそうなりがちかも。実際には愛情とは関係ないんですけどね。

OliviA:男性も加齢や体調によって性機能が落ちたりするしストレスで性欲が湧かなくなることもある。必ずしもパートナー女性に欲情する=愛情、というわけではないけれど、そう考えがちな女性が多いのは事実だと思います。

誰しもなる可能性を秘めているセックスレス。けれど挿入だけが心繋がれる行為だというわけではない。おふたりのアドバイスのように、日頃からのコミュニケーションやスキンシップで深い親密感を持ち続けることは可能。

そしてお話を伺っていて思ったのは、「パートナーだからセックスを与えてくれて当然」という考えは、傲慢なのかもしれないということ。互いが思いやりを持ち話し合える関係性を構築し、心が満たされていることの方が先決。付き合いが長くなっても、そのことを忘れずにいたい。

OliviA
ラブライフアドバイザー/日本性科学会会員
2001年よりセクシュアリティやジェンダーの調査研究を始め、2007年から性に関する総合アドバイザーとして活動。メディア出演、執筆、講演、カウンセリング、商品開発など幅広い分野で、「女性のセクシュアルウェルネス」や「コミュニケーションを重視した性生活のあり方」を提案している。オンラインで好きなときに受講できる講座もオープン。著書は日本・台湾で出版。近著「セックスが本当に気持ち良くなるLOVEもみ」(日本文芸社)
公式サイト:https://olivia-catmint.com/
インスタグラム:@oliviacatmint

鰻沢智美
鍼灸師。古代中国で皇帝が世継ぎを作るために実践していた「房中術」に精通、GINZA Webで東洋医学と性についての房中術コラムを連載。太極拳やヨガなどの身体機能を高める指導と、漢方や鍼灸などの東洋医学を融合させた施術が評判。

さかいもゆる 
恋愛コラムニスト。アラフォーでバツイチになり、以降、自身や取材の経験を活かした恋愛&セクシュアル・エンパワーメントコラムを執筆。多数の女性誌&モード誌で連載を手がける。Xアカウント:@batsui1teacher

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photography: shutterstock text: Moyuru Sakai

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