【ニッポンの性】女風サービスで「女性セラピスト」の指名が増えている!?

Lifestyle 2023.12.08

最近SNSでよく目にする"女風"こと、女性用風俗。そこには、レズビアンでなくても男性セラピストではなく、女性セラピストによる施術を望む女性客も存在する。彼女たちが女性を指名する理由とは? そのワケを通じて、恋愛コラムニストのさかいもゆるが現代ニッポンの恋愛とセックスを考える。

女性セラピストを指名する異性愛者の女性たち。

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以前から、「異性愛者でも、AVを観るなら、(中年男性との絡みよりは)女性同士の綺麗な絡みを好む」という私のような女性は結構多いんじゃないだろうかと思っていた。

見知らぬ男性の裸体に視覚的に欲情することはないし、見て楽しむなら女性のヌードの方が好き。だからもし自分が女性用風俗を体験するならば、女性セラピストの施術がいい。―――前回の女性用風俗にクローズアップした「ニッポンの性」の記事で編集者との打ち合わせのときにそう話したら、なんと、誰からも全く共感を得られなかった。試しに友人たちにも聞いてみたけれど、全員が「男性セラピストがいい」と言う。

えっ、そうなの? 私は少数派の奇異なセクシュアリティの持ち主ってこと? というところからこの企画が生まれ、女性セラピストが所属する女性向け風俗Veronaに果たして異性愛者の女性客はどれくらい存在するのか伺ってみた。

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Veronaに所属するセラピストは8名。その内訳は、女性3名、男性4名、ニューハーフ1名。お話を伺ったのは、女性セラピストのずずさんとみゆきさんだ。40代だというずずさんは優しそうな母性を感じる癒し系、33歳のみゆきさんは一般企業のオフィスに居そうな清楚なOL系の雰囲気。TikTokやYouTubeに"女風"というキーワードが浮上するようになってから利用者の数は増加しているそう。

「オープンした4年前は、1年かけて悩みに悩んでリサーチをしてようやくうちの店の予約にまで辿り着いたという方が多かったんです。それが最近では、『流行っているから何となく予約してみた』といういわゆるライトユーザーのお客様が増えました」とみゆきさん。利用者の女性は、ノンケ(異性愛者)が8割、レズビアンが2割。同性愛者の割合が思っていた以上に少ないことが意外だけれど、これは「レズビアンだと自覚がある方はレズビアン用風俗と謳っている店に行くから」。女風に来る客は、レズビアンではないのにレズビアン用風俗に行くことが失礼なのではないかと思うらしく、それぞれのユーザーの棲み分けができているという。

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彼女たちが女性セラピストを選ぶワケ。

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では、Veronaで女性セラピストを指名する女性たちは一体なぜ、あえて男性ではなく女性セラピストを選ぶのか。そう尋ねると「さかいさんは女風を利用するなら女性を指名したいと先ほど言われましたが、ではなぜ女性セラピストがいいと思うんですか?」と返されたので思いつく理由を挙げてみた。

・特定のパートナー以外の男性に触れられることには嫌悪感と恐怖心がある。
・それに比べ、女友達とのスキンシップには特に抵抗がない。
・女性の身体の方が柔らかくて気持ちいい。
・女性同士の方が触り方もソフトだし気持ちいいツボをわかっていそうで、安心感がある。
・女性セラピストなら女風もエステの延長線上の感覚で試せそう。

「まさにその通りのことを、皆さんおっしゃいます」とみゆきさん。ひとことで言うならば「男性とはパートナーとしかしたくない。性的快感だけを味わうなら女性相手がちょうどいい」と言うのが利用客たちの入り口。加えて、女性セラピスト相手だと女風へのハードルが下がる傾向も。だけど、こんなことを思う私って、もしかしたらレズビアンなんじゃないかと悩み、相談してくるユーザーも多いそう。一般的にセクシュアリティは異性愛者、同性愛者などとカテゴライズされているけれど、自分がそのどれに当てはまるのかわからない人々も存在する。いや、むしろカテゴリーがほんの数通りだと決めつけることの方がおかしい。100人居れば100通りの性的嗜好が存在するのが当たり前なのだから。

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男性セラピストはメイン、女性セラピストは"サブぴ"!?

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ほかに多いのが、"サブぴ"としての活用。「さ、サブぴ!?」。初めて聞くワードに戸惑うも、Veronaの利用者は、男性セラピストの"好きぴ"が居て、その上で女性セラピストを"サブぴ"として"メインとサブぴ"で使い分ける人が多いのだという。

「男性セラピストだと、どうしても施術者に情が入って沼りやすい。相手の言動にいちいち『これは営業のために言ってるだけなんじゃないか、私は利用されてるんじゃないか』とモヤモヤが募る。ほかのお客さんに比べて自分はどう思われているのかとか、お店の掲示板を逐一チェックして気にかけて病んでしまう方もいらっしゃいます。そんな男性セラピストに沼った方が息抜きや純粋に快楽に没頭するために私たち女性セラピストを指名してくださるケースは多いんですよ」。

みゆきさんとずずさんは、基本的に色恋営業はしない主義。それは、そうやって男性セラピストにハマってしんどい想いをするお客様をたくさん見てきた経験が背景にある。大抵のお客様は、"好きぴ"に沼りすぎないために利用は月に数回までと利用回数を決めて自衛する。そしてその合間にみゆきさんやすずさんを指名して、「好きぴにこんなことを言われた/されたんだけど、どう思う?」と相談してきたりするのだ。

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もちろん、ほかにもおおかたの予想通りレスで悩んでいたり、性的欲求の解消のためにVeronaを利用したりする人々も。料金は、デートのみが1時間6千円、施術のみは1時間9千円。スカイプでの電話カウンセリングコースは30分2,500円。ずずさんの顧客はマッサージのついでに悩み相談をしに来る、アラフォー女性がほとんど。

ここまで聞くと女性セラピストによる女風サービスって、性的快感だけじゃなくコミュニケーションと癒しの要素も大きいのだとわかってくる。

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ジャッジされない、同じ目線で話せる......女性セラピストを指名するメリット。

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初めて女性セラピストを体験した利用者からの感想は「ふわふわしてて柔らかい」、「肉体的にも精神的にも、温かくて優しい」という声をもらうことが多いとか。

「女性はセックスで自分の要望を言えない人が多いんです」とずずさん。それが女性セラピスト相手だと、『こんなことを言って嫌われたらどうしよう』や『嫌なことがあってもセックスの流れを中断するのが怖くて言えない』という余計な心配抜きで、して欲しいことを伝えられる。

「たとえば胸の愛撫で男性は乳首ばかりを攻めがち。ほんとは全体的に触って欲しいと思っていたのに今まで言えなかったというお客様が私の施術によって願望が初めて満たされ、嬉しくて涙を流された姿が印象に残っています」。

男性相手だと伝えづらいことも、女性セラピストとならば施術だと割り切りやすい。ここでも「安心感」がキーワードになってくる。

「対男性だと、太っていると思われていたらどうしようとか、行為中にもいろんなことが気になりますよね。そんな『ジャッジされる』不安が入り込まないのは、女性同士ならではかもしれません」(みゆきさん)

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なるほど、そういうことか。私が特定のパートナー以外と愛のないセックスができない理由が、「ジャッジされる怖さ」という一語によって言語化されたように感じた。恐れを抱えながら快楽を得るのは、難しい。けれど女性はセックスにおいて常にどこか自分の価値を測ってしまう傾向があるように感じる。最初は快楽だけを求めて女風を利用したユーザーが何度も会っている内に男性セラピストに執着してしまうようになるのも、そんなところに理由があるんじゃないだろうか。「異性に性的魅力を認められることで自分の商品価値を測る」というのは、私たち女性の遺伝子のどこかに、知らぬ間に刷り込まれている呪いな気がする。

ただ、女同士だからといってグイグイ行かないように配慮しているとも彼女たちは言う。「嫌なことは言ってくださいね」と最初に断ってから施術する。そこは「男性でも女性でも変わらない」。

「女性同士でする性行為は特別だという意識があるかもしれないけれど、身体をまぐわうという意味では一緒。結局のところセックスって気持ちよくなるだけが目的ではなくて、コミュニケーションの本質なんですよね。相手の性別よりも『今日の私は、誰とどんなことがしたいのか』をベースで考えられると、もっとセックスを楽しめるようになるのでは」(みゆきさん)

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恋愛コラムニスト さかいもゆる

出版社勤務からフリーランスのファッションエディターとして独立。その後、アラフォーでバツイチになった経験から、恋愛や結婚における本当の幸せとは何かを考えるインタビュー読み物やコラムを多数の女性誌で執筆している。

 

text: Moyuru Sakai

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