家で楽しむ、世界のクラフトビール。 #03 イメージが変わる! 通に愛される自然発酵のビール。

Gourmet 2019.07.04

ビールの魅力はバラエティの豊富さ、と語るのは、ビールを含め、あらゆるお酒に精通する友田晶子さん。前回解説したビールの基本の分類から、今回はビールのイメージを覆すほど酸味が強く、ビール通に支持される自然発酵のビールを紹介します。

文・選:友田晶子(ソムリエ/トータル飲料コンサルタント)

coedo_shiro_80_54.jpgこれがビール!? 独特のクセが
たまらない、通好みの味。

空気中や壁、床に生息する自然の酵母を使用するため「自然発酵」と呼ばれる。冷やすなどの手は加えず、ゆっくり常温で時間をかけて発酵を行うスタイル。古典的、原始的なビールともいえる。

現在はベルギー、ブリュッセル近郊でのみ造られており「ランビック」と呼ばれるものが唯一。しかし最近は自然酵母を駆使して日本をはじめほかの地域でも造られ始めている。小麦も大麦も使用するが、その味わいはとにかく非常に酸味が強く、通常のビールに慣れた人は、ひと口飲んで驚くこと間違いなし。しかし、ひと口ふた口と飲むほどにその不思議な魅力にはまることもまた多い。

酸味を和らげるため、サクランボや木イチゴなどをブレンドして甘酸っぱくしたタイプも人気。さらに、若いランビックと熟成したランビックをブレンドし、さらに発酵させる「グーズ」は発泡力もあり、通好み。ワイングラスやシャンパングラスに注ぎ、少しずつ味わいたい。冷やしすぎは禁物。揚げ物の脂分を流してくれるので、意外に料理との相性もよい。

自然が生み出した酸味と香り。

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左から、リンデマンス グーズ キュベルネ、カンティヨン・グース、いわて蔵ビール、ブーン・ファロ、スパークリングマンゴー、ティママン・フランボワーズ、リンデマンス クリーク

ベルギーのブリュッセル近郊でしか造られない、古来の知恵が詰まったずっと残ってほしいランビックの味わい、そして世界各地で作られ始めているさまざまな自然発酵ビール。飲むたびにきっと探究心を刺激されるはず。

(写真左から)
リンデマンス グーズ キュベルネ(ランビック/ベルギー)
レモンやライムの果汁のような酸味。自然発酵ならではの、古漬けの白菜を思わせる乳酸の香り。これこそ自然発酵のビール、という味わい。
375ml 464/三井食品
カンティヨン・グース(ランビック/ベルギー)
琥珀色。苦味はなく、とにかく酸味が強い! 小ぶりのワイングラスで飲みたい。ベルギー料理のフリット&マヨネーズや、ムール貝によく合う。
375ml 1,063/小西酒造
いわて蔵ビール(自然発酵ビール/日本)
明るい琥珀色。天然の蔵付き酵母(古くからその蔵に住み着く酵母)とオーガニック麦芽、オーガニックホップを使用。日本酒のような風味。
330ml 561/世嬉の一酒造
ブーン・ファロ(ランビック・ファロ/ベルギー)
若いランビックと熟成したランビックをブレンドしたものがファロ。少しキャラメルの香りがして、麦飴や甘酒のようなナチュラルな甘味。氷を浮かべても。
375ml 501/小西酒造
スパークリングマンゴー(自然発酵ビール/日本)
マンゴーの濃厚な風味。アルコール度数が3%と低く、氷を入れてジュースのように気軽に飲める。ビールが苦手な人にもおすすめしたい。
310ml 383/新潟麦酒
ティママン・フランボワーズ(フルーツ・ランビック/ベルギー)
ロゼシャンパンのような淡いピンク色。泡がキメ細やかで、木イチゴの甘い香り。オーク樽で寝かせたビールは味も甘味が強く華やかで、女性に好まれる。
250ml ¥540(編集部調べ)/池光エンタープライズ
リンデマンス クリーク(フルーツ・ランビック/ベルギー)
小ぶりのシャンパングラスで明るい時間に飲みたい。フルーティで甘酸っぱい、自然なサクランボの風味。自然発酵ならではの個性を楽しめる豊かな味。
250ml 464/三井食品

三井食品 https://mitsuifoods.co.jp/mfp/import/lindemans/
小西酒造 www.konishi.be
世嬉の一酒造 https://sekinoichi.co.jp
新潟麦酒 https://niigatabeer.jp
池光エンタープライズ www.ikemitsu.co.jp

*ビールの購入については上記を参照の上、お近くの酒販店やデパート、オンラインショップなどをご利用ください。
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友田晶子 Akiko Tomoda
ワインや日本酒、焼酎、ビール、ウイスキー、カクテルなど、あらゆるお酒に精通するトータル飲料コンサルタントとして、セミナーやイベント、また飲食業界のプロ向けにコンサルティングなどを行う。世界初のバイリンガル日本酒本『世界に誇るー品格の名酒』(ギャップ・ジャパン刊)など著書も多数。2016年より、一般社団法人日本のSAKEとWINEを愛する女性の会(通称:SAKE女の会)を主宰。17年、フランスのワインコンクール「フェミナリーズ世界ワインコンクール」名誉会長に就任。
www.akikotomoda.com

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photos : TETSUO KITAGAWA, stylisme : MARIKO HIROMATSU

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