東京で食べるイタリア郷土料理。#04 【イタリア郷土料理】フィレンツェのTボーンステーキ。
Gourmet 2019.09.29
発売中の「フィガロジャポン」本誌11月号は、イタリア特集! それぞれが個性的な町や村がモザイクのように煌めく、イタリアの魅力がぎゅっと詰まった一冊です。オンラインでは、東京のイタリア料理店でいただける、イタリア10州の郷土料理をフィーチャー。トスカーナ州からは、“フィレンツェ風”を意味する“フィオレンティーナ”を冠したイタリア版ステーキ、ビステッカ・フィオレンティーナをご紹介。
トスカーナ州「ビステッカ アッラ フィオレンティーナ」
トラットリア ヴェンティノーヴェ(西荻窪)
「ビステッカ・フィオレンティーナ」。写真は1kgで¥13,000。牛肉は、アメリカ産ブラックアンガス牛を使用。「少なくとも指2本以上の厚さが必要」とは竹内シェフ。赤身が強くサシが少ない分、思いのほかたくさん食べられる。
かつて、栄華を極めたメディチ家を世に送り出し、ルネサンス文化発祥の地として栄えた“花の都”フィレンツェ。この街を州都に持つトスカーナ州の料理は、宮廷料理を原型とする一面を持つ。その一方で素材を生かしたシンプルな農家料理も発展。それも、豊かな自然に恵まれ、美しい丘陵やブドウ畑など長閑な農園地帯が広がるこの地なればこそだろう。ワインや良質のオリーブオイルの産地であることもよく知られている事実である。
「トスカーナの郷土料理には、グリルした肉や野菜、豆料理、そしてリボッリータのように残ったパンを再利用した料理が多いですね。なかでもいちばんの名物は、やはり『ビステッカ・フィオレンティーナ』でしょうか」
こう語るのは、西荻窪「トラットリア29(ヴェンティノーヴェ)」のオーナーシェフ竹内悠介氏。トスカーナのカリスマ肉職人ダリオ・チェッキーニ氏の下で腕を磨いた肉焼きの達人だ。
「キャンティの豚のツナのサラダ」¥1,100。“キャンティのツナ”とは、トスカーナ州の内陸部、海のないキャンティ地方の郷土料理。塩漬けにして茹でた豚肉をほぐし、オイル漬けにしてツナに見たてたもの。
「フィレンツェ風といえば、Tボーンステーキであることが鉄則。トスカーナ産のキアーナ牛を使うのが本来のようにいわれていますが、僕のいたチェッキーニではスペインの牛も焼いていましたね」と竹内シェフ。炭火で、煙の香りを付けるように外はカリッと中はかなりなレアで、サッと焼き上げるのが本場スタイルなのだそうだ。
また、豆食いトスカーナ人といわれるほど豆を使った料理も多く、「キャンティの豚のツナのサラダ」にも白インゲン豆がたっぶり。塩漬けにした豚肉をツナに見立てた郷土料理のアレンジだ。
キャンティの名物精肉店「チェッキーニ」のレストランで、日々ビステッカを焼いていた竹内シェフの店。それゆえ、いわて短角和牛や黒毛和牛、松阪ポークの炭火焼きなど肉料理が充実。手打ちパスタも見逃せないおいしさだ。
東京都杉並区 西荻北2-2-17 Aフラッツ
Tel. 03-3301-4277
営)18:00~22:00L.O.(火~金) 17:30~22:00L.O.(土、日、祝)
休)月(祝日の場合翌日休)、月2回火曜不定休
http://trattoria29.jugem.jp
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photos : KAYOKO UEDA, texte : KEIKO MORIWAKI