「スクリューキャップのワインは2流品」は本当?

Gourmet 2024.02.20

スクリューキャップを見ただけで、そのワインを買うのをやめてしまう消費者もいまだに多い。「ワインはやっぱりコルクをワインオープナーで抜かないとね」という伝統派のこだわりもわかるけれど、スクリューキャップというのはそんなにダメ、なものなのだろうか。

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将来はスクリューキャップも選択肢のひとつ。photography: shutter stock

「お客様からアドバイスを求められて、料理にぴったりの1本をお勧めしても、それがスクリューキャップだと、途端に手を振って却下されますね」と、どのワインショップでも似たような話を聞いた。取材したのはパリでも先進的な人が集まる9区なのに、スクリューキャップは不人気なようだ。それにしてもフランスの消費者はどうしてスクリューキャップのワインに対し、判で押したような拒否反応を示すのだろうか。米国では普及しているのに、フランスではコルク栓が圧倒的人気だ。

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根強い先入観

2014年に実施されたOpinionWayの調査によると、フランス人の83%がコルク派のようだ。伝統的な愛着は、共感覚的な体験に根ざしている。まず、コルクを目で見ることで安心する。次に、ワインオープナーで栓を抜くというジェスチャーは、一部の人にとって儀式のような意味合いを持つ。最後に、ワインがくびきから解き放たれて外気に触れる時の音が耳に心地よく届く。ダメ押しでプルーストを持ち出すまでもなく、幼少期の思い出や慣れ親しんだことを、無意識のうちに求める気持ちが私たちの中には刻み込まれている。

それにしてもワイン好きの人が反復行為にこだわるのは不思議な気がする。自然の産物であるワインほど、変化に富んだ飲み物はない。良ヴィンテージは数えきれずあり、瓶詰めされた後は時間と共に進化する。テイスティングは常に新鮮でユニークな、唯一無二の体験だ。だから、コルクという慣習にこだわるのはいささか矛盾しているようにも思う。もちろん変化を好まない消費者が、気密性に問題があるという理由でスクリューキャップを一時期、頭ごなしに否定していたことはあった。しかしその後の技術的進歩により、否定する理由はなくなった。「気に入らない」という理由以外は。

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スクリューキャップの利点

スイスやニュージーランド、オーストラリアではとても普及しているスクリューキャップだが、フランスでは受けが悪い。それでもフランス国内でこのスクリューキャップ(クロージャー)方式は一番順調に伸びており、2022年には7億個のキャップが生産された。コルク栓の汚染などによる品質劣化が一切ないという点がスクリューキャップの利点だ。もっとも、コルク栓のせいでせっかくのワインを流しに捨てなければならない可能性は以前よりも減っている。コルク栓にはもうひとつ、不器用な開け方をするとコルクがボトルの底に沈んでしまう危険性もある。世界第2位のコルク栓製造会社であるヴィンヴェンション社の社長、ステファン・ヴィダルは、これからワインの購買層の中心となる18~35歳はスクリューキャップへの抵抗感が薄いはずと言う。

「これ以上に手軽なキャップはありません。ワインオープナーを用意する必要もなければ、開ける時に失敗するおそれもない。オーストラリアやニュージーランドで普及しているのは、アウトドアを楽しむライフスタイルとマッチしたからです。ピクニックやハイキングに出かける時に荷物はできるだけ少なくしたいもの。家で格式ばったディナーを催すよりも河岸で気分が乗ったらその場で飲み食いを始めたい若者層にぴったりです」

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若い世代がスクリューキャップにマイナスイメージを持たないのと同様、目の肥えたワイン愛好家だってこの方式に魅了される可能性は十分にある。

「スクリューキャップのワインはダメという先入観さえ捨てれば、このキャップの良さがわかるはずです。保管にも適していますから。ワインの品質をもっとも活かすことを考えてワイン栓方式を選んでいる生産者を信頼すべきです」とステファン・ヴィダルは語る。オード県のドメーヌ・ガイダのダヴィッド・シャルドロンは20年以上前からスクリュー・キャップを採用している。

「これにより、非常に売れ行きの良い輸出用と、フランス国内向けとで同じパッケージングが可能になりました。フランスでも10ユーロ以下のワインならば文化的偏見や、ある種の集合的無意識を顧客も無視できるようです。もっと高いワインならばダメでしょうが」

白ワインでは、グルナッシュとヴィオニエをブレンドした「フライング・ソロ」のキュヴェが実にフレッシュな味わいで、非常にコスパが良い。「これは若いうちに飲むべきワインで、1年以内に飲むことを勧めます。オーガノレプティック的観点からスクリューキャップが完璧です」とダヴィッド・シャルドロン。疑り深い人も、ドメーヌ・ガイダのワインを試飲すれば、伝統的なコルクに代わってスクリューキャップを採用する理由に納得するかもしれない。

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text : Agathe Pigneux (lefigaro.fr)

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