ノンアルコールワインを知れば、 ワインライフはもっと楽しくなる! 大好評だったセミナーをレポート。

Gourmet 2025.07.11

YOSUKE KANAI

日々を彩り、食卓に華を添えてくれるワイン。「今日も1日頑張ったご褒美に......でも明日は朝から会議」「明日健康診断なんだよな......」なんて経験、ないだろうか? そんなお悩みをフィガロワインクラブが解決! 「ワイン好きのためのノンアルコールワイン講座」と銘打ったセミナーを6月27日に開催。応募者多数につき抽選となった期待度の高いセミナーを、アフターレポートでお届け。


金曜の夜、会場に集まった参加者たちにウェルカムドリンクとして配られたのはもちろんノンアルコール。ゴールドの液体にきめ細やかな泡が煌めく「ヴィンテンス スパークリング プレステージ ブラン・ド・ブラン」だ。100%シャルドネで造られたベルギー産のノンアルコールスパークリングで、白い花やトースト香も感じるリッチな風味が特徴だ。

250704-non-alc-01 (1).jpg
セミナーの様子。今回も参加者には講師による特別資料を配布し、ノンアルコールワインを取り巻く環境を徹底解説。

講師を務めたのはワイン&美容ライターの谷宏美。女性誌編集部に所属していた時、ワインの魅力に開眼。独立後は「ワイナート」をはじめ専門誌でもワイナリー取材や醸造家インタビューを手がける。またワインバーでソムリエールとしても活動し、サービスの現場からの観点も合わせて取材を行っている、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートだ。 昨年末発売のフィガロジャポン「ワインがあれば、人生は楽しい」では日本ワインのページを中心に取材・執筆を担当した

「スマドリ」や「ノンアル」を謳う商品が小売店、飲食店で百花繚乱となってきた昨今。そもそも、ノンアルコールドリンクとはなんなのだろう? 酒税法の解釈では、「ノンアルコール」とは0.0%〜0.9%の飲み物を指す。一方、消費者庁の指針ではアルコール分0.00%のドリンクを「ノンアルコール」と規定している。これにより「ノンアルコールワイン」「ワインテイスト飲料」「ワインオルタナティブ」など、新しい呼称が生まれている。

では、なぜいま「ノンアル」が大ブームとなっているのだろうか。そのひとつの要因が「健康上の理由やウェルネス志向の高まり」と指摘する谷。

「ドクターストップ、健康診断前夜にお酒を飲めない、というシチュエーションはよくあることだと思います。また、ノンアルコールワインメーカーの創業者やブランドマネージャーたちの中に、女性が少なからずいることにも注目したいところ。妊娠や授乳を機にアルコールを飲めない期間が発生しても、お茶やガス入りの水しか選択肢がないという状況に直面した当事者たちが、新たにプレミアムなドリンクを造り出してきた側面もあるのです」

ほかにも車の運転が必要な場面や朝・ランチタイムの需要、グローバルなシーンに目を向ければ宗教・文化上の理由でお酒を口にできない人とも乾杯できるという側面も。「個人的には"ゆるファスティング"の時に楽しむドリンクとしても活用しています」と谷。ノンアルコールワインがただの代替品でなく、新たな可能性を示してくれることもわかる。

---fadeinpager---

市場調査機関IMARCの調査によれば、グローバル市場は右肩上がりで成長中、2030年まで拡大は続く見込みだ。最も大きな市場はアメリカ合衆国で、ドイツ・フランス、日本が中規模な市場を形成、ベルギーでは小規模ながら高成長を遂げている。

名称未設定のデザイン (28).jpg
2杯目に提供したヴィンテンス スパークリング プレステージ ロゼ。シラー100%の濃厚なピンクゴールドの色調が美しく、フランボワーズ、チェリー、スミレのニュアンスも。ワイン醸造後、真空蒸留機でアルコールを0.0%まで除去し、微細な炭酸ガスを注入する。こちらもベルギー産。

新興国・イスラム圏・アジア都市部での成長も著しい。「ワインを飲めないが求めている」という層の需要が拡大しているし、先述のように健康・美容といった目的で選択する人も。Z世代、ミレニアル世代を中心に広がる「ソバーキュリアス」といった"あえて飲まない生き方"を実践する志向や、飲み過ぎ・食べ過ぎて過ごした年末から心身をリセットする「ドライジャニュアリー」という考え方もアメリカ、ヨーロッパから広まりつつある。

日本の市場はといえば、2024年のノンアル市場は約5.3兆円、2033年には2倍以上の成長見込み、という試算も。"ノンアルブーム"が消費ベースとしても増大していることが実感できるだろうか。

---fadeinpager---

ところで、ノンアルコールビールはかなりの量がスーパーをはじめとした小売店、そして飲食店でも提供されている反面、ノンアルワインはまだそれほど普及しているとはいえない現状だ。「ノンアルワインは味と香りの再現が非常に難しい」と谷が解説する。

「ホップの苦味や力強い炭酸でビールらしい風味の特徴が押さえられるため、ノンアルコールビールは意外にも満足感が得やすいドリンクになっています。しかしワインは原料のほぼ100%がブドウで、味調整のための添加物を加えることはありません。つまりワインの風味は発酵によって生じたアルコール、熟成によって生まれる複雑な香味に大きく依存しているんです。アルコールがない状態で"ワインらしいノンアルワインを造る"ということが、どれほどむずかしい再現性の中で生まれているか、ご想像いただけるでしょうか?」

IMG_20250627_192451382.jpg
セミナー中、説明に熱心に聞き入る様子や丁寧にグラスの香りを確認している参加者たちが印象的だった。セミナーで使用したグラスはすべてグローバルからレンタル。パーティシーンやセミナー、イベントなどの強い味方だ。

ノンアルコールワインを造るための方法は、大きく分けるとふたつ。そもそもワインを発酵させず、アルコールを発生させない方法。もうひとつがワインを醸造してから、アルコールを除去する方法。現在、高品質なノンアルコールワインの造り手の多くは後者を選んでいるという。

実際、少し前までのノンアルコールワインは、アルコールがない分、ボリューム感を出すために糖分を添加することも多く、その味わいは必ずしもワインに近いものではなかった。しかし、醸造技術が進化しているように、脱アルコールの技術も飛躍的に発展を遂げている。ワインや蒸留酒業界で経験を積んだ技術者たちによる「おいしいノンアルワイン」の追求が本格化。グローバル大手の資本が参入しつつあり、クオリティの向上、輸出の活性化にもつながっている。

---fadeinpager---

ノンアルコールワインの改革が顕著に感じられるのが、高品質なスティル(非発泡)ワインの登場だ。今回のイベントで登場したゲブリューダー・ローゼン ソバー リースリングは、"リースリングの伝道師"とも呼ばれるアーネスト・ローゼンが手がけるワインテイスト飲料。銘醸地ドイツ・モーゼルで生まれたリースリングワインから、0.5%だけアルコールを残すように脱アルコール作業を実施。リースリングに感じやすい青リンゴのような甘みでボリューム感を感じ、フレッシュな酸味がワインらしさを醸し出す。

そして出色なのが赤ワイン、ウォーターブルックワイナリー クリーン カベルネ・ソーヴィニヨンだ。こちらはワシントン州のベテランワインメーカー、ハル・ランドヴォイットが、自社でワインを醸造した後、遠心分離機の原理を使いアルコールを0.5%未満まで除去。カベルネ・ソーヴィニヨンの香りにオーク樽の薫香を纏った、ドライなフルボディ感が楽しめるワインテイスト飲料に仕上がっている。

「ワイン愛好家向けに一歩進んだ楽しみ方として、"朝シャン"ならぬ"朝のノンアル泡"でやる気のスイッチを入れるのもありですね」と谷。

「ディナーの締めくくりにあえてノンアルを選ぶ、という選択肢もありだと思います。特にこのヴィンテンス スパークリング プレステージ ロゼなどは、イチゴやフランボワーズを使ったデザートとの相性もバッチリです。勉強や仕事の合間に"ながらノンアル"というのも、新しい選択肢かもしれません」

イベントの後半では占い&ファッションエディターの青木良文による、2025年下半期のラッキーアドバイスも。

「ブドウって"豊かさ"を意味するモチーフなんです。ワインを飲むことで、お金だけではない気持ちの豊かさも手に入れられます。そしてスパークリングワインから立ち上る泡って、まさに運が上がっていく象徴! 」

「運は腸活にも深く関わっていて、発酵食品がとても重要。発酵を経て造られるワイン、そして身体を労るノンアルワインを取り入れることで、豊かで幸運な生活を長く続けましょう」

体調のコントロールや、さまざまなオケージョンで、ノンアルコールワインは「ワインのある生活」のための新兵器となるはず。ノンアルコールワインというチョイスを手に入れて、ワインライフをさらに楽しんでみてはいかがだろう?

ノンアルコールワインを購入できる店
インタートワイン ケーエム 山仁/神谷町 https://intertwine-km.jp/
THE WINE by Tokyu Department Store/渋谷 https://www.tokyu-dept.co.jp/the_wine/
WINE MARKET PARTY/恵比寿 https://www.winemart.jp/pages/winemarketparty-ja
伊勢丹新宿店/新宿 https://www.mistore.jp/store/shinjuku/shops/foods/wine.html
成城石井 https://seijoishii.com/collections/cat12-07
エノテカ https://www.enoteca.co.jp/

フィガロJPカルチャー/グルメ担当、フィガロワインクラブ担当編集者。大学時代、元週刊プレイボーイ編集長で現在はエッセイスト&バーマンの島地勝彦氏の「書生」としてカバン持ちを経験、文化とグルメの洗礼を浴びる。ホテルの配膳のバイト→和牛を扱う飲食店に就職した後、いろいろあって編集部バイトから編集者に。2023年、J.S.A.認定ワインエキスパートを取得。

記事一覧へ

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest
和菓子
35th特設サイト
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
Business with Attitude
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories

Magazine

FIGARO Japon

About Us

  • Twitter
  • instagram
  • facebook
  • LINE
  • Youtube
  • Pinterest
  • madameFIGARO
  • Newsweek
  • Pen
  • CONTENT STUDIO
  • 書籍
  • 大人の名古屋
  • CE MEDIA HOUSE

掲載商品の価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の消費税を含んだ総額です。

COPYRIGHT SOCIETE DU FIGARO COPYRIGHT CE Media House Inc., Ltd. NO REPRODUCTION OR REPUBLICATION WITHOUT WRITTEN PERMISSION.