30平米で心地よく暮らす、陶芸家の小さな部屋。|アーティストのパリの家(2)

Interiors 2024.10.11

自宅を気ままに飾ったり、改装したり。花を生ける、お茶を飲む、デザインに優れた椅子や美しい食器、センスのいい日用品を選ぶ......そんなフランス流の"暮らしの美学"、アールドゥヴィーヴルを取り入れるヒントを、パリのアーティストに学ぼう。陶芸家のソフィア・モーザ・レイタンの部屋には、彼女の作品にも通じる明るさがあふれている。


明るい色や柄をミックス、愛しいものに囲まれた部屋。

ポルトガルのリスボンで育ち、5年前にパリへ引っ越してきたソフィア。陶芸を中心にアーティスト活動やファッションプロデュースに携わる、多彩な才能の持ち主だ。そんな彼女が暮らすのは、サンポール・サンルイ教会が目の前に広がる4区のアパルトマンの最上階。

Living Room

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棚に置かれた大きな花器は、パリのデザインウィークのために制作したもの。ブロックチェックやボーダーなど、手描きのナチュラルなラインとパステルカラーが特徴。

「ここは、もともと友人が住んでいた部屋だったの。30平米の小さな部屋だけれど、大きな窓から自然光がたっぷりと差し込むのがお気に入り。そして、サロンをテーマに、心地いい部屋作りにこだわりました。壁を水色に塗ったのは、リスボンの実家と同じ色にしたかったから」

Balcony

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テラスでアペロやカフェを楽しむのが日課だそう。ぽってりとした質感の青いマグカップは、ソフィアが制作したもの。

壁には、母親が作ったという刺繍アートや子どもの頃に部屋に飾っていた絵、祖母の写真など、思い出が詰まったものが飾られている。食卓には、ポルトガルの老舗ブランド、ボルダロ・ピニェイロのユニークなフォルムの皿が並ぶ。また、パリに来てから蚤の市やオンラインサイトで集めたというヴィンテージのランプや棚もノスタルジックなムードを醸し出す。カラフルなプリントやユニークな形、さまざまなテイストをミックスするのがソフィア流だ。同様に、彼女のセラミック作品も明るい色や柄に富み、ポップで大らかな表情が特徴。

「花器やオブジェを作ることが多いですね。手に取ってくれる人に子どもの頃の気持ちに戻って楽しんでもらえるような、そんな素朴な愛らしさを持った作品を目指しています」

Dining Area

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コラボしたこともある仲良しのイタリア人デザイナー、リサ・コルティのランチョンマットなど、ミックスカルチャーを感じる食卓。

ソフィアは、11区のアトリエをもうひとりの陶芸家とシェアしている。ベッドサイドには、作品を交換し合った友人の陶芸家やアーティストたちのオブジェが並ぶ。ほかにも、デヴィッド・シュリグリーの絵やライアン・ガンダーのアートブックなど、気鋭のアーティストの作品も収集。ベッドとリビングの間にあるパーテーションは、大好きな画家ダンカン・グラントの絵がプリントされたテキスタイルを見つけて自身で作ったもの。彼女の創作にインスピレーションを与えるさまざまなアートが、小さな部屋のそこかしこを彩る。心くすぐられる愛しいものに囲まれた部屋が、彼女の豊かなクリエイティビティを育んでいる。

Bedroom

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リバティプリントのベッドカバーはイギリスのもの。ベッドを囲む棚には、お気に入りの本や家族の写真、陶器などを飾って。
ソフィア・モーザ・レイタン|Sofia Moser Leitão 陶芸家
ポルトガルのリスボンで生まれ育ち、フレンチスクールに通う。ソルボンヌ大学への交換留学をきっかけに、5年前にパリへ移住。さまざまなアーティストやブランドとのコラボレーションも積極的に行う。
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*「フィガロジャポン」2024年9月号より抜粋

photography: Mari Shimmura text: Momoko Suzuki

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