旅して味わう、日本ワインのふるさとへ。#03 山形の寒暖差とピュアな土が育む、健やかなワイン。

Travel 2017.09.13

造り手に会い、畑を眺め、その土地に思いを馳せればおいしさも一層アップ。若い醸造家や新ワイナリーの誕生で、いま注目の日本ワインを巡る旅。山形の老舗、タケダワイナリーがこだわるのは、化学物質に頼らない自然なブドウ栽培だ。

山形県上山市|タケダワイナリー

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日当たりのいい山の斜面のブドウ畑。手前はピノ・ノワール。蔵王の火山灰が入った粘土質の土が鍵となる。

 サクランボをはじめ、さまざまな果物の名産地として知られる山形。夏は暑く、冬は雪が降るほど冷え込む寒暖差が果実を甘く熟す。ブドウに関しても同様で、ゆえにワイン造りが盛んな場所。1920年の開園以降、山形のワイン造りをひっぱってきたのがタケダワイナリーだ。社長であり栽培醸造責任者でもある5代目の岸平典子さんに、山の斜面のブドウ畑へ連れていってもらった。そこで目に飛び込んできたのが、樹齢70年にもなるという、太く、黒く、大きくうねった古木。足元を見ると、雑草がフサフサと茂る。「先代から、化学合成物質に頼らないブドウ栽培、土造りを心がけてきました。虫をいたずらに退治すると、今度は別の虫や草に影響がでます。無理して育てないことを大切にしています」
 キジのイラストが入ったワイナリーのロゴも、そのモットーゆえだ。「化学物質で汚染された土地には、キジは来ないんです」
 よくよく耳を傾けると、時折畑から、ケーンケーンというキジの声。長年、自然と共存してきたこの場所で「ドメイヌ・タケダ ベリーA古木」をひと口。ボリューム感のあるブドウから生まれた70年の味は、奥行きのある、ワイナリーの歴史そのものに感じた。

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左:手前がマスカット・ベリーAの古木。6月の時点では花は3分咲き。
右:9月末にはシャルドネ、10月にはカベルネ・ソーヴィニヨンを収穫。

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左:収穫したブドウは総出で選果。病気の房などはここで取り除く。
右:「ベリーA古木」などを15°Cに保たれた地下セラーで樽に入れて熟成。

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左:銘柄ごとに、その年の味を決めるアッサンブラージュ(ブレンド)作業。ワイン造りの工程の中でも、特に神経を使う。
右:左から、「ドメイヌ・タケダ ベリーA古木」¥3,780、酸化防止剤ゼロの「サン・スフル」¥1,944、「タケダワイナリー ルージュ樽熟成」¥2,268

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ワイナリーに隣接する、築約100年の蔵。今年から「山形・かみのやまのワイナリーを巡る」ツアーの一環で、初公開される。岸平さんと回るワイナリー見学の後、自社のワインとそれに合わせた和食が楽しめる。

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鳴き声をたどると、畑にキジの姿があった。

Takeda Winery/タケダワイナリー

山形県上山市四ツ谷 2-6-1
tel:023-672-0040
営)10時〜11時30分、13時〜17時
休)8/13〜16、12/28〜1/4
1月〜3月、12月:土、日、祝
4月〜11月:無休
ワイナリーツアーは要予約。所要時間30 分 無料
www.takeda-wine.co.jp

●かみのやま温泉駅から車で約 5 分。

*『フィガロジャポン』2017年9月号より抜粋

>>タケダワイナリーからの立ち寄りスポット

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■立ち寄りスポット #01
山形育ちのおいしさを
ダイナミックに届ける。

イル・コテキーノ

北イタリアを中心に修業を積んだ佐竹大志シェフが、自身の地元で独立。山形の旬の野菜をふんだんに使ったバーニャカウダや、4種のチーズを使ったリガトーニなど、ストレートに旨味が伝わるダイナミックな料理が話題だ。ここで必ずおさえておきたいのが50種以上にもなる自家製シャルキュトリー。とがった塩気がなく、甘やかな香りとドライな味わいを持つタケダワイナリーの「サン・スフル」ともよく合う。

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この日はサラミクラシコなど計18種。「自家製生ハム、セミドライサラミ盛り合わせ」¥2,600。「サン・スフル 赤」ボトル¥3,800

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こぢんまりとした店内。

イル・コテキーノ

山形県山形市七日町4-1-32 松源ビル1F
tel:023-664-0765
営)18時〜22時30分 L.O.
休)水 ※祝日の場合は営業、翌日定休
http://ilcotechino.com

■立ち寄りスポット #02
お目当ては、山形牛のフルコースと県産ワイン。

葉山舘

新たなワインの聖地として徐々に注目を集めている、かみのやま温泉。葉山舘はそんなワイナリー巡りの拠点として最適だ。ほどよく和洋をミックスした館内には、身体が芯から温まる無色透明の温泉や、かみのやまのワイン8種がグラスで飲めるラウンジなどを完備。夕食はこの春からレギュラーメニューに加わった山形牛のフルコースをぜひ。かみのやま限定の県産ワインとともに、旅の疲れをおいしく癒やしたい。

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701号室。マウンテンビューの温泉がうれしい。

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芋煮が組み込まれた山形牛のフルコースは、1泊2食付き¥23,220〜選択可。「かみのやまテロワール」ボトル¥3,780

葉山舘

山形県上山市葉山5-10
tel:023-672-0885
全32室1名¥18,360〜(1室2名料金、朝食・夕食付き)
www.hayamakan.com

●かみのやま温泉駅から車で約5分。

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オーストラリア・ワイナリー紀行。

photos : JUN HASEGAWA, collaboration : MIYUKI KATORI

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