旅して味わう、日本ワインのふるさとへ。#01 草花に囲まれた美しき日本ワイナリー、カーブドッチへ。
Travel 2017.09.06
造り手に会い、畑を眺め、その土地に思いを馳せればおいしさも一層アップ。若い醸造家や新ワイナリーの誕生で、いま注目の日本ワインを巡る旅。ナパバレーのようになればと願い、その一帯を「新潟ワインコースト」と位置づけたカーブドッチでは、ワイナリーツアーやレストラン、温泉、宿泊を通して、思う存分ワインの魅力に触れられる。
新潟県新潟市|カーブドッチ ワイナリー
まず目に入るのがこちらのショップ。1杯¥100〜200で10種のワインが試飲できる。
ワイナリーを訪れると、バラやハーブが咲き乱れていた。環境に敏感なバラは、土壌の健やかさの指標として畑で植えられることが多いが、カーブドッチの場合は美しい庭造りが目的。
「見ていて気持ちがいいし、きれいな環境で働きたいでしょ?」と、醸造責任者の掛川史人さんが笑う。ロマンティックなガーデンをはじめ、自社のワインが楽しめるレストランやカフェ、温泉、ホテルと着実に施設を増やしているため、県外や海外からのゲストも多い。さらにナパバレーのようになれば、と一帯を「新潟ワインコースト」と名付け、隣接するフェルミエなど、4つのワイナリーと協力している。
左:醸造責任者の掛川さん。個人的な好みで造った「どうぶつ」シリーズのワインも人気。
右:レストラン カーブドッチでは、欧州料理を提供。カーブドッチ ヴィネスパに宿泊した際の夕食もこちら。トマトの青みが、セミヨン種のワインが持つ酸味とぴったり。料理は¥2,980のランチコース「緑の風アンダルシアの夏」より、「白身魚とエビ、ホタテのソテー 完熟トマトのガスパチョソース」。ワインは「2015 セミヨン」グラス¥712
しかし1992年の創業当時、ここはワインとはまったくゆかりのない土地だった。一面松林と砂地が広がり、農産物はスイカがメイン。栄養分が少なく、ブドウを育てるのはひと苦労だが、砂の利点を発揮するワインを造ろうと、約40の品種を試してきた。いまは、「サブル」や今年リリース予定の「アルバリーニョ」など、軽やかなのに濃く深い味わいを持つワインが誕生している。熟成室や畑などツアーを体験した後、併設のレストランで、さらに温泉あがりにもワインを飲んでみる。抜け感のあるその味は、飲み続けても決して疲れない。開墾から25年、掛川さんが理想とする砂地"らしさ"を味わえるワインは、さらなるポテンシャルを感じずにはいられない。
日本海にも近いカーブドッチの畑。8haに約2万本植えられている。
左から、フランス語で砂を意味する丸みのある赤ワイン「2014 サブル」¥5,400、自社農園のブドウを使った「樽熟成シャルドネ」¥3,456
温泉付き宿泊施設、カーブドッチ ヴィネスパ。2階の客室、「オリーブ」からは畑が見渡せる。
温泉は日帰り利用も可能。露天風呂はぬめりのあるアルカリ性単純泉で、入ると肌がツルツルになるのが実感できる。
新潟県新潟市西蒲区角田浜1661
tel:0256-77-2288
営)10時〜17時 無休
ワイナリーツアーは2日前までに要予約。11時スタート、所要時間60〜90分
料)ワイナリーツアー¥1,080
[レストラン]レストラン カーブドッチ
tel:0256-77-2811
営)11時30分〜14時30分L.O.、18時〜19時30分L.O. 無休
予約したほうがいい
[ホテル]カーブドッチ ヴィネスパ
tel:0256-77-2226
全7室 1名¥26,330(1室2名料金、朝食・夕食付き)
www.docci.com
●新潟駅より内野駅まで電車で22分。内野駅から車で約20分。
※レストラン利用時や宿泊時に、別途サービス料や入湯税がかかる場合があります。
*『フィガロジャポン』2017年9月号より抜粋
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photos : AKEMI KUROSAKA (STUH), collaboration : MIYUKI KATORI