雄大な自然の中で、料理人がもてなす古民家宿へようこそ。【徳島県・上勝町|ペルトナーレ】
Travel 2025.04.08
旅の楽しみといえば、その土地ならではのグルメ体験。地元食材を生かし、創造的な料理と丁寧なホスピタリティでゲストをもてなす魅惑のオーベルジュへ。
ペルトナーレ
[ 徳島県 ]上勝町
階段を上がると、和室とベッド、鏡台のある支度部屋で構成された客室が。
シェフとの会話まで美味な、田舎町のロカンダ。
部屋の窓から見上げる夜空には満天の星が輝き、耳を澄ませば川のせせらぎが聴こえてくる。コンビニも華やかな観光施設もないけれど、心が歓ぶ豊かな美しさがある。そのことを教えてくれるのは、徳島県上勝町にある宿付きレストラン、ペルトナーレ。イタリアンの名店アル・ケッチァーノで経験を積んだ表原平シェフが2024年4月、地元の人の紹介で見つけた大正時代の家屋をリノベーションしてロカンダ(旅籠)をスタートさせた。
人口1350人ほどの小さな町になじむ小さな宿。すれ違う近所の人々と自然と生まれるコミュニケーションに心安らぐ。徳島空港から車で1時間強。
レストランの隣にある蔵には、イタリアワインを中心に常時30~40種類が保管されている。
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「目指しているのは、誰にとっても使い勝手のいいお店。ルールはできるだけ作らないようにしているんです」
雄大な自然と呼応する穏やかなシェフの人柄も宿の魅力のひとつ。料理人の家に泊まりに来たかのようなほっこりとした温かさがある一方で、カウンターキッチンから提供される料理はどれも一級品。コースで使われるのは、地元上勝町の野菜や勝浦川沿いで採れる食材が中心だ。この日のスペシャリテ「柚子のスフレ」も、シェフが自身の畑で育てた食材で仕上げたメニュー。パスタに使われるカラスミも手作りしている。蔵をリノベーションしたセラーでは、多彩なワインが丁寧に保管されており、ペアリングコースの人気も高い。
表原平シェフは徳島県出身。温かな人柄と軽妙なトークに思わず会話が弾む。
インテリアからうつわまで、美しさが細部まで宿る空間にたちまち香ばしい香りが広がる。ステイなしで食事だけの利用も可能。
地元勝浦で獲れた天然うなぎのパイ包みは、酸味のあるザバイオーネソースがアクセントに。
自然あふれる町と土地の旨味が凝縮された食材が唯一無二の一品を生む。自家製のカラスミとアオサのペペロンチーノ。
この日の肉料理は、淡路経産牛とエゾシカから選択。
デザートの柚子のスフレに、おすすめのピエロパン「レチョート ディ ソアーヴェ レ コロンバーレ」をペアリング。
古民家とともに引き継いだ桐たんすをワイン貯蔵の棚にリノベーション。
スーパータスカンをはじめ、上質なワインセレクトにシェフの洗練された美学が詰まっている。
季節の機微が繊細に表現されたディナーを2時間ほど堪能。お腹が満たされた後はシェフと「おやすみなさい」と言葉を交わし、そのまま2階へ。手入れが行き届いた部屋で、五感が研ぎ澄まされる時間の続きを楽しむ。
朝ごはんは、地元のアメゴと炊きたての棚田米で幸せな時間を。
ペルトナーレ
徳島県勝浦郡上勝町福原古川71
080-3165-7153
全1棟 1日1組限定(1~4名) バスタブ付き1名¥26,400~(2食付き)
休)火 ※ほか不定休あり
レストラン
営)12:00~13:00L.O.(日、月)、18:00~21:00L.O.(水~日)
休)火 ※ほか不定休あり
要予約
https://pertornare.jp/
*「フィガロジャポン」2025年3月号より抜粋
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photography: Nobuaki Yamazaki