鴨川をのどかに愛でる、ミニマルモダンな癒やしの宿。【京都府・京都市|鴨半 母屋】
Travel 2025.04.14
予定を詰め込む旅ではなく、籠って楽しめる場所でゆっくりと過ごす。そんな贅沢な旅のスタイルにいま私たちは心惹かれる。土地が紡いできた文化や伝統に、モダンな美意識を反映したデザイン宿で、豊かな時の流れを堪能するステイを。
鴨半 母屋
[ 京都府 ]京都市
清水五条駅にほど近い場所に立つ鴨半 母屋。基本は素泊まりで、希望があれば朝・夕食の仕出しサービスを別途オーダーできる。2階客室。茶室は、イグサより丈夫な七島藺(しちとうい)を使った畳を古材の梁や鴨居が縁取る。窓辺にはヴァーナー・パントンのテーブルやポール・ケアホルムの名作椅子。
鴨川の景色とお茶で、心洗われるようなステイ。
「部屋にいながら、この古都の魅力をより深く感じてもらえるような宿を作りたいと思いました」
2015年、鴨川を東に臨む静かな小道に一棟貸しの宿、鴨半を開いた理由を語る小嶋万太郎。瀬戸の窯元、池林堂半七に生まれ、幼い頃から茶道具や日本茶に親しんできた彼は、その後、中国茶に精通する妻とともに日本茶や中国茶を貸し切りで楽しめる茶室/茶藝室 池半を鴨半の並びにオープン。さらに24年春、新たにスタートしたのが4階建てのホテル、鴨半 母屋だ。1階は予約なしで気軽にお茶を楽しめる池半 分室、2階と3階がそれぞれ客室に。ユニークなのが、勾配天井に合わせて、ベッドルーム、茶室、リビングの3フロアが鴨川に面して階段状になっていること。部屋のどこからでも鴨川の景色を楽しめる造りだ。
3階は、よりライトな造り。ベッドボードの奥は掘りごたつ式の座卓。
3階は窓辺に高野槙風呂が配された斬新な造り。窓には扉が付く。室内には別にシャワールームも。
2階に宿泊すれば、小嶋に茶を点ててもらうこともできる(要予約)。室内を飾るアートや道具は彼の蒐集品で、購入も可。
ホテルの1階にある池半 分室。ギャラリーとして個展を開催することも。
「次世代に残して困らない建物を作ろうと思いました。ここにある必然性とここでしか果たせない役割を考えると、鴨川を100パーセント生かさないと意味がない。階段状の構造は冒険でしたが、いまとなってはこれ以外になかったと思います」と語る小嶋。
内装に目を向けると、RC造のミニマルな構造に、小嶋が選んだ古材や古道具がバランスよく配され、寛げる空間となっている。炉が切られた畳敷きの茶室でお茶を点てたり、1階から運んでもらったお茶とともに窓辺でゆったり過ごしたり。長閑な鴨川の景色とお茶に癒やされる、この場所ならではの時間が愛おしい。
客室には鴨半の深井戸より汲み上げられたミネラルウォーターと池半オリジナルのお茶を季節替わりで用意。ミニキッチンやランドリーもある。
鴨半 母屋
京都府京都市下京区加茂川筋五条下ル都市町143-10
075-744-0140
全2室 全室バスタブ付き 1室¥60,000~(1室2名)
https://kamohan-machiya.jp/
*「フィガロジャポン」2025年3月号より抜粋
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photography: Makoto Ito text: Natsuko Konagaya