【瀬戸内国際芸術祭2025の楽しみ方】岡山県・宇野港を起点に現代アート散歩を満喫。

Travel 2025.10.10

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宇野駅から宇野港フェリーターミナルまで徒歩約5分。直島へはフェリーで約20分、豊島へは約40分で着く。

瀬戸内国際芸術祭2025

長閑な港町で、個性派作品に触れる。

瀬戸内海の島と港にて開催される現代アートの祭典。岡山県側の玄関口である宇野港エリアには、これまでの作品と新作6点を含む12作品が展示されている。瀬戸内の空と海に突如現れた⿊い穴から液体や手が出現する金氏徹平の新作『tower(UNO)』は、見る人の認識が揺らぐ。元銭湯の空間に充満した靄の水滴が落ちて音を奏でるマフマドマフの『潮返』は鑑賞者の存在で音を変化させる。港町をフィールドにアートホッピングしたい。

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JR宇野駅が斜めに見える騙し絵のような作品はエステル・ストッカーによるもの。 エステル・ストッカー『JR宇野みなと線アートプロジェクト』(2016)

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妹島和世・西沢立衛がデザインを手がけた瀬戸内海の島をイメージしたベンチ『しまSHIMA』。出航までの待ち時間に行き交う船を眺めるのに最適な場所。

過疎や高齢化が進む瀬戸内海の島々を、アートの力で再生しようと2010年にスタートした『瀬戸内国際芸術祭』。瀬戸内の多島美と最先端の現代アートを求めて開幕以来、毎回約100万人が訪れ、国内外から注目されるイベントだ。その始まりの地であるベネッセアートサイト直島や会場となる豊島、小豆島へ渡る岡山県側の玄関口が玉野市の宇野港。

宇野港エリアには、瀬戸内国際芸術祭のこれまでのアート作品も点在している。沿岸や児島湖のゴミや漂流物を使ったカラフルな『宇野のチヌ』は10年の第1回に登場したもの。16年にはすぐ隣に内部が滑り台になっている『宇野コチヌ』が誕生。アート集積地として、回を重ねるごとに散策も楽しくなってくる。近くには岡山にゆかりのあるアーティストが共同で制作するスタジオ、駅東創庫もあり、制作現場を見学することも可能。アートな島へ渡る前のスタート地点に最適だ。

駅東創庫 ギャラリー・ミナト

瀬戸内のアーティストが集まる自由なアトリエ。

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発泡スチロールアーティストの高嶋幸市らが中心となって約400坪の巨大な大型倉庫を改装したアートスタジオ。現在、立体造形・⽊工・絵画・染色など岡山にゆかりのある10名の作家が制作活動を行っている。ここから徒歩約3分にあるアートホテルUNO HOTELでのグループ展や、国際的に活躍する台湾先住民アーティストを招聘し滞在制作した展覧会を開催するなど、地域に開かれた創作の場でいまのアートを実感できる。

【犬島】岡山の小さなアート島で自然とアートの共生をひと巡り。

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『瀬戸内国際芸術祭2025』に出展している現代美術家の金氏徹平。身近な素材を切り抜き、繋ぎ合わせることで既存の文脈を読み替えた新作『tower(UNO)』※瀬戸内国際芸術祭参加作品 金氏徹平『tower(UNO)』(2025)

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『第1回瀬戸内国際芸術祭2010』時に制作された淀川テクニックの『宇野のチヌ』  ※瀬戸内国際芸術祭参加作品 淀川テクニック『宇野のチヌ』(2010)

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サンドアーティスト集団SILTによる玉野市の特産品である塩を用いた作品。11月8日にライブパフォーマンスも行われる予定。 ※瀬戸内国際芸術祭参加作品 SILT『命の塩』(2025)

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放置自転車に鉄くずを溶接し着色した小沢敦志の『終点の先へ』。実際にレンタサイクルとしても利用できる。 ※瀬戸内国際芸術祭参加作品 小沢敦志『終点の先へ』(2016)

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韓国出身のプ・ジヒョンによる海と空を映す『The Home』  ※瀬戸内国際芸術祭参加作品 プ・ジヒョン『The Home』(2025)

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マフマドマフ『潮返』は元銭湯を舞台にしたサウンドインスタレーション作品。  ※瀬戸内国際芸術祭参加作品 マフマドマフ『潮返』(2025)

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ノルウェー船のスクリューを用いた巨大立体作品『舟底の記憶』  ※瀬戸内国際芸術祭参加作品 小沢敦志『舟底の記憶』(2013)

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駅東創庫で制作する山本晶大はアスファルトを素材に、道路用白線塗料を使って描く。  山本晶大『Lost Landscapes series』

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台湾先住民現代アート展『荒原の月』より出展。台湾原住民アミ族の⽊彫り作家の希巨・蘇飛が戦時中に従軍した先住民兵士たちの魂を⽊彫で鎮魂させる作品。  希巨・蘇飛 Siki Sufin(アミ族/都蘭集落)『⽯垣の魂』(2025)

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さまざまな動物や昆虫を模した発泡スチロール作品が並ぶ、駅東創庫内の高嶋幸市のアトリエ。

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華やかな刺繍で知られる台湾南部の高山に住むルカイ族出身の安聖惠のアトリエ。岡山産の素材で編み上げるキルト作品。  安聖惠 Eleng Luluan(ルカイ族)『陰性の光』(2025)

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ニューヨーク滞在を機に作風を一変させた画家の山田茂も駅東創庫で制作。金箔や銀箔を用いた抽象画を得意とする。

駅東創庫 ギャラリー・ミナト
岡山県玉野市築港5-4-1
0863-32-0081
開)10:00~17:00
休)火
入場無料
@ekihigashi_so_ko
瀬戸内国際芸術祭2025
開催地:直島、豊島、女⽊島、男⽊島、小豆島、大島、犬島、高松港エリア、宇野港エリアほか 
087-813-2244(瀬戸内国際芸術祭総合案内所)
開催期間:10/3~11/9 
料)一般¥4,500(1シーズンパスポート)
https://setouchi-artfest.jp/

 

photography: Yoshiki Okamoto text: Akiko Wakimoto

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