アーレムのデザイナーが案内、創造力を刺激するスポット7選。
Paris 2025.05.06
いまをときめくパリ在住クリエイターのお気に入りアドレスとは? アイウエアブランド、アーレム創設者のアーレム・マナイ・プラットに、おすすめの7店と注目ポイントを教えてもらいました。
ピエール・オーギュスタン・ローズにて。プリミティブで有機的、かつモダンなデザインのソファは、アーレムも自宅のリビングに置いているそう。
アーレム・マナイ・プラット Ahlem Manai-Platt
「アーレム」設立者
パリ生まれ。新聞社でジャーナリストを経験し、ファッション業界でバイヤーやコンサルタントを務めた後、2014年にアイウエアブランド、アーレムを設立。4つの旗艦店、900以上の卸先を持つ。@ahlemmanaiplatt
パリ左岸で生まれ育ったアーレム。ロサンゼルスにも拠点を構え、世界中を飛び回る生活を送る彼女にパリの魅力を聞いた。「必要以上に飾らず、奇をてらうことなく、自然体を大切にするのがパリジャン。ありのままを受け入れてくれるから、パリは本質の自分に立ち返ることができる唯一無二の場所です」。フランスの眼鏡産地オヨナの職人による手作りのアイウエアを届ける彼女は、合理主義を唱えるバウハウスのデザイン哲学を基盤とし、自身の生活では伝統的な手仕事が生むクラフトに重きを置いている。
「たとえば、食材なら青果店、ワインは酒店、食器は陶器職人、その道を究めた職人や専門家による最高峰の品物で日々を過ごせば、自然と心が豊かになります。手業を感じるクラフトが日常に溶け込んでいるのが、パリの魅力だと思います」
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Pierre Augustin Rose
ピエール・オーギュスタン・ローズ[ パレ・ロワイヤル ]
空間をアートに昇華させる、ファニチャーストア。
ストア兼ショールームはアポイントメントなしで来店可能。
インテリアのインスピレーションをもらいたい時に訪れます。以前働いていたアクネ・ストゥディオズの元同僚のローズが、共同設立者とともに2018年に立ち上げた店。ウッドやストーンといった自然素材の温かなタッチと、有機的な曲線による感性に惹かれます。クラフト感のあるアイテムをミックスしたモダンな空間は、アートの飾り方も含めてセンスがいい。小さな入口の奥に600m2にも及ぶ空間が広がっていて、隠れ家的なスポット。
過去と現代の折衷がコンセプト。ギリシャ神殿から着想を得たフロアランプやカスタム可能なソファなど、すべてハンドメイドによるもの。
ピエール・オーギュスタン・ローズ〈1区|パレ・ロワイヤル〉
8, rue Hérold 75001
ⓂLES HALLES
01-40-26-49-54
営)13:00~19:00
休)日
@Pierre_Augustin_Rose
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Anaïs Rheiner
アナイス・ライナー[ サンジェルマン ]
世界にひとつだけの、パーソナルなジュエリー。
ジュエリーはすべて店内のアトリエで手作業で作られる。
店舗に併設されたアトリエで日々ジュエリー制作に向き合うアナイスは、長年の友人であり、心から尊敬する職人気質なジュエリーデザイナー。トルマリンやサファイア、ガーネット、エメラルドなどのカラフルな天然石を用いて、自然美をファインジュエリーで表現する彼女の世界観に、乙女心をくすぐられます。自分自身のインスピレーションに従い好きなルースを選び、ひとつひとつハンドメイドで作られるジュエリーはとてもパーソナルなもの。肌身離さずお守りのように身につけています。
自然風景やアンティークジュエリーが着想源。色鮮やかな天然石を選べるビスポークジュエリーのほかに、リフォームサービスも。
パッケージには手描きのイラストが添えられており、人の手の温かみを感じる。740ユーロ~
アナイス・ライナー〈6区|サンジェルマン〉
6, rue Cardinale 75006
ⓂST GERMAIN DES PRÉS
06-37-42-55-74
営)9:00~16:00(月、木、金)、8:00~16:00(火)
休)日、水、土
@anaisrheiner
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Bookbinders Design
ブックバインダーズ・デザイン[ サンジェルマン ]
スウェーデン発、ハンドメイドのステーショナリー。
ボンマルシェ百貨店の向かいに位置する路面店。
私はアナログ派なので、アイデアを書き留めるノートブックとペンを常に持ち歩いています。綴じ部分の手当たりや書き心地のよさを追求したメモ帳とスケジュール帳、にじみにくい速乾性と持ちやすさを兼ね備えたペンなど、ディテールに配慮された手作りのオリジナル製品は私の必需品。北欧ブランドらしいミニマルなデザインも素敵で、愛らしいイラストのレターカードや、名前の刻印を入れたノートブックをギフトとして贈ることもあります。
ファブリックやレザーのノートやダイアリー、アルバムの表紙に、イニシャルや好きな言葉をその場で刻印できる。ギフトにも◎。
ブックバインダーズ・デザイン〈7区|サンジェルマン〉
130, rue du Bac 75007
ⓂSÈVRES-BABYLONE
01-42-22-73-66
営)12:00~19:00(月)、10:00~19:00(火~土)
休)日
@bookbindersdesignparis
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Eres
エレス[ サンジェルマン ]
シャネル傘下の、老舗ランジェリーブランド。
パリ市内に8つの旗艦店を構える。
1968年創業のエレスは、パリジェンヌの定番。第二の肌のようなランジェリーは、どんな体形にも自然にフィットする最高の着け心地です。私は妊娠・出産による体形の変化を経験したけれど、伸縮性と耐久性の高い上質素材のおかげで、同じ製品を20年ほどずっと愛用し続けています。スイムウエアも同様に、身体のラインを美しく見せるカットやシルエットが秀逸。肌に触れる親密なアイテムは、絶大な信頼を寄せるエレス一択。
女性が心地よくいられることを優先し、本来の自然な美しさを引き立てるランジェリーは、一度身につけると誰もが虜になる。1996年からシャネル傘下に。
スイムスーツ515ユーロ
エレス〈6区|サンジェルマン〉
4 bis, rue du Cherche-Midi 75006
ⓂSÈVRES-BABYLONE
01-45-44-95-54
営)10:30~19:00
休)日
@eres
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Galerie Camera Obscura
ギャルリー・カメラ・オプスクラ[ モンパルナス ]
感性を刺激してくれる、写真専門ギャラリー。
約2カ月ごとに変わる企画では、毎回5~8名の写真家の作品を展示する。作品によっては、写真の延長線として、彫刻作品を扱うことも。
写真家と愛好家の間では有名な歴史のあるギャラリー。私の大好きな山本昌男やサラ・ムーンといった、著名な写真家から新人まで幅広く扱っており、約20年前から通っています。作品の選択も展示も素晴らしく、感性を刺激し、世界へ異なる視点を向けるヒントを与えてくれる場所で、足を運ぶと必ず発見と収穫があるんです。ユニークな写真に加え、それに調和する額縁にもギャラリストの美学が投影されていて、完璧を追求する姿勢にも感化されます。
ギャルリー・カメラ・オプスクラ〈14区|モンパルナス〉
268, boulevard Raspail 75014
ⓂDENFERT-ROCHEREAU
01-45-45-67-08
営)12:00~19:00(火~金)、11:00~19:00(土)
休)日、月
https://www.galeriecameraobscura.fr/
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Alaïa
アライア[ マドレーヌ ]
女性に自信を与える、創業者の美学を纏う。
フロアの内装は、柔らかい色調と曲線美が目を引く。
私の母がチュニジア人のため、チュニジア出身の創業者アズディン・アライアに親近感を抱いているんです。モード界に変革をもたらした偉大なクチュリエであり、女性らしさの表現を探究した末に生み出した崇高なスタイルは、これからも永遠に語り継がれていくはず。構築的なジャケットや、上質なレザーのボトムスなど、シーズンを超えて長く着用できるウエアを少しずつコレクションしています。袖を通す度に、女性に生まれたことを誇りに思えます。
1月にオープンした新店舗。日本人建築家デュオSANAAが店舗デザインを手がけた。
アライア〈8区|マドレーヌ〉
15, rue du Faubourg Saint-Honoré 75008
ⓂCONCORDE
06-81-86-48-94
営)11:00~19:00(月~土)、13:00~19:00(日)
不定休
@maisonalaia
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Yvon Lambert
イヴォン・ランベール[ 北マレ ]
新しい視点をもたらす、ブックショップ兼ギャラリー。
貴重な限定版から若手フォトグラファーのフォトブックまで、アートピースとともに所狭しと書物が並ぶ。
単なる書店ではなく、発見の場だと思っています。なぜなら芸術、文学、そして世界を見る特定の方法との出合いを体験してきたから。慎重に厳選されているからこそ、ここにある書物とアートピースには目的とビジョンを感じます。美しいフォトブックから、影響力のある現代アーティストによる限定版まで、長年にわたり私にインスピレーションを与え続ける作品を見つけてきました。書店を超越した、妥協のない厳格さと知性が交差する空間です。
左から、古代ローマ料理を現代風にアレンジしたレシピ本38ユーロ、エド・テンプルトンが23年間撮り続けたパリの日常を収めた写真集39ユーロ
イヴォン・ランベール〈3区|北マレ〉
14, rue des Filles du Calvaire 75003
ⓂFILLES DU CALVAIRE
01-45-66-55-84
営)10:00~19:00(火~土)、14:00~19:00(日)
休)月
@librairieyvonlambert
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*「フィガロジャポン」2025年5月号より抜粋
●1ユーロ=約162円(2025年5月現在)
●日本から電話をかける場合、フランスの国番号33の後、市外局番の最初の0を取ります。フランス国内では掲載表記どおりかけてください。
●各紹介アドレスのデータ部分のⓂは地下鉄の駅を示しています。
●掲載店の営業時間、定休日、商品・料理・サービスの価格、掲載施設の開館時間やイベントの開催時期などは、取材時から変更になる可能性もあります。ご了承ください。
photography: Kathrine Gulla editing: Elie Inoue