災難続きのルーヴル美術館。外国人向け割増料金でどう変わる?

Paris 2026.01.23

外国人向け割増料金が、悪夢続きのルーヴルを救う!?

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2025年1月28日、『モナリザ』前で新ルネサンス計画を発表したマクロン大統領。大統領のYouTubeより。

いまから1年前、マクロン大統領は『モナリザ』の前でスピーチを行い、"ルーヴルの新ルネサンス"計画を発表した。王の居城だったルーヴルが美術館になって230年余り。最後の大きなリノベーションは1980年代に遡る。89年にオープンしたガラス張りのピラミッドは、年間400万人の見学者を迎えるための新しいエントランスだった。それから35年以上を経たいま、ルーヴルの年間見学者数は900万人近くに膨れ上がり、2022年から入場券は1日3万枚に規制されている。

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ルーヴル美術館の見学者は77%が外国人。トップはアメリカ、ついで欧州の隣国が続く。

新ルネサンス計画では、スムーズに見学者を迎えるために美術館の西側にエントランスを新設。建物に囲まれた正方形の中庭の地下に展示室を増設し、『モナリザ』専用の部屋も設ける。25年6月末には国際建築コンペが発表され、10月に5組の候補者が発表になった。最終選考は今年、完成は31年の予定だという。

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2025年10月19日の盗難事件が悪夢の口火を切った。盗賊は家具用リフトで窓から侵入。後日、容疑者の自白を伝えた20時のTF1のニュース映像より。

そんな大プロジェクトの発表に始まったルーヴルの25年だが、最後の2カ月は盗難事件を皮切りに悪夢の連続となった。10月19日朝、ウジェニー皇后の王冠をはじめとする宝飾品8点がたった7分間で盗まれた事件は世界中で報道され、美術館の老朽化とセキュリティの甘さが浮き彫りとなった。その1カ月後には、9展示室を擁するシュリー翼の一部が「天井を支える梁の老朽化」を理由に閉鎖。さらに12月6日には、図書室の水漏れのために300点を超える文書に被害が出たとの報道が流れた。新ルネサンス計画に反対し、より緊急の問題である建物の老朽化や人員不足への対応を求めて12月15日に始まった従業員のストライキは、ひと月以上経ったいまも断続的にn続き、ストライキによる損失額は少なくとも150万ユーロにのぼる、とル・フィガロは報じている。こうした危機に対して文化省は、ノートルダム大聖堂の修復を指揮したフィリップ・ジョストをルーヴル立て直しのために指名することになった。

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2025年12月15日ルーヴルの従業員組合がストライキに。

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ヴェルサイユ宮殿も新料金を導入。ハイシーズンはEU外からの見学者は35ユーロ、EU内は32ユーロに。パリ・オペラ座、サントシャペル、ロワール地方のシャンボール城でも外国人料金が設定されることに。

パリ市観光局によると、24年、パリが迎えた観光客は3630万人。訪問者数が増える一方で、美術館や歴史的建造物の予算不足は深刻だ。老朽化対策や建物の補修に手が回らない問題はルーヴルだけではない。対策のひとつとして、今年1月14日から、ルーヴルをはじめヴェルサイユ宮殿など5カ所で外国人見学者への割増料金設定が始まった。ルーヴルではEU出身・居住者の入館料は22ユーロ、それ以外は32ユーロ。美術館側はこの値上げで年間1500万〜2000万ユーロの増収を見込んでおり、新ルネサンス計画の財源のひとつになるという。今後、外国人料金を設定する施設は増えていくとする見方もある。観光名所の資金不足に、増え続ける外国人観光客が救世主となるのだろうか?

髙田 昌枝/Masae Takata
2017年より「フィガロジャポン」のパリ支局長。ルーヴル美術館のお向かいにできたカルティエ財団現代美術館でオープニング展を堪能。一方、久しぶりのルーヴルでは観光客の多さに圧倒されてしまった。

*「フィガロジャポン」2026年3月号より抜粋
●1ユーロ=約184円(2026年1月現在)

photography & text: Masae Takata(Paris Office)

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