Du Douanier Rousseau à Séraphine☆
パリ7区にあるMusée Maillol(マイヨール美術館)で開催中の“Du Douanier Rousseau à Séraphine
Les grands maîtres naïfs”(アンリ・ルソーからセラフィーヌまで:ナイーヴアートの巨匠たち展)を鑑賞してきました。
このブログでは度々書いてますが、Le douanier(ル・ドワニエ=税関史)と呼ばれたアンリ・ルソー(Henri Julien Félix Rousseau)は大好きな画家なので、これは今シーズン絶対ミスできない!と思っていた展覧会。
(関連ブログ→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-559.html )
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会場は、René Rimbert(ルネ・ランヴェール)が描いたルソーでスタート。
「ナイーヴ・アート=素朴派」と呼ばれるアーティスト達の作品を集めた本展。
ナイーヴ・アート=素朴派とは、主として19世紀から20世紀にかけて正式な美術教育を受けず、独学ゆえにかえって素朴さや独創性が際立つ独自の画風を生み出した画家たちによる作品。
マイヨール美術館の設立に関わったDina Viernyと交流のあった素朴派の画家たち一人ずつを確認すると、知っているのはルソーと何年か前のフランス映画・セザール賞で主演女優賞はじめ多くの部門で受賞した話題となった映画「セラフィーヌの庭」でその名前だけは知った女流画家セラフィーヌ・ルイぐらい…。
なので本展で初めて知る画家、目にする作品も多く、ユニーク且つ個性的な作品の数々は見応え充分の内容でした。
特別な美術教育等を受けずに独自に描いた言われるだけに各々の画家たちの多彩なバックグランドなども興味深く読みました。
<Andre Bauchant(アンドレ・ボーシャン)“La boucherie”>
肉屋の1枚は買いに来た人たちと売ってるマダムのバランスが全く違ってたり、思わず目が合いそうな視線、迫力の肉、面白い。
アンドレ・ボーシャンは、元々は家業だった園芸業を営んでいたのですが、第一次大戦時に製図を書いたことがきっかけで44歳から絵を描き始めました。
その後キャリアを重ね、ロシアバレエの舞台美術を担当したこともあったそう。
そんなアンドレ・ボーシャンという画家も私は本展で初めて知ったわけですが、気がつくとカメラに収めていた作品の多くが彼のもの。
アンドレ・ボーシャンは、あの近代建築の巨匠ル・コルビュジエが評価したそう。
ル・コルビュジエ好きでもある私としては「巨匠!気が合いますね」気分!?
(関連ブログ→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-1079.html )
花畑の中のアンドレ・ボーシャンの自画像。
それぞれの画家が描いたモンマルトル風景も比較など本展は画家ごとではなくテーマごとの展示だったことも見やすい印象でした。
Ferdinan Desnos( フェルディナン・デスノス )の鯉を描いた静物画。でも背景は風景画。
鯉に赤ワインか…と、なかなか私には想像できない食卓風景だったりするだけに、逆に一瞬見ただけで強く記憶に残る感じ。
テーマ選び方や描き方はきっと教科書的とか正統派風じゃないところがこれまた面白い。
そして本展の目玉的な展示だったのが、Seraphine Louis(セラフィーヌ・ルイ)。
彼女も美術教育は一切受けたことがなく、その人生はざっくり読んだだけでも過酷で波乱万丈。
貧しい家庭に生まれ、生後1年で母を亡くし、6歳の時に父を亡くす。
身寄りも学もないセラフィーヌはパリ郊外の村で家政婦として働きながら使用人として辛い思いもしながらの暮らしの中で細やかな楽しみは絵を描くこと。
40歳を過ぎてから守護天使のお告げで絵を始め、絵具は全て身近な自然素材から手作りで、作れない白色だけを買うという製作法。
その転機は彼女が働く家にドイル人画商のヴィルヘルム・ウーデが間借りをした時!
彼はそれまで見たこともない独特なセラフィーヌの絵に惚れ込んだ♡
が、第一次世界大戦が始まり、ドイツ人のウーデはフランスを離れざるを得ず。
その後ウーデはフランスに戻ってセラフィーヌと再会し経済的支援をするも、しばらくして世界は大恐慌時代となり、ウーデもセラフィーヌの支援することができなくなってしまう。
そしてセラフィーヌは精神を病み、療養施設に収容され絵も描けなくなり、最後は精神病院で亡くりました。
そんなセラフィーヌの描いた草花はとてもエネルギッシュに感じましたが、結局私が一番長い時間を過ごしたのはアンリ・ルソー作品の前でした。
「二匹のライオン」
ピカソが気に入って自分の寝室に飾っていたという「アーティストとその妻」の肖像画。
やっぱりアンリ・ルソーが好き!を実感した展覧会でした。
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