
江之浦測候所☆小田原文化財団
神奈川県小田原市に『江之浦測候所 小田原文化財団』なるものがあると聞き、ドライブがてら訪れました。
訪れた日は、素晴らしい晴天で駐車場に車を停めて外に出ると目の前に絶景相模湾!
そして続く参道入口を前に、まだ何も施設を観ていないのに面白そう!と期待が膨らむ♬
「不許軍酒」と書かれた石柱は江戸時代の禅寺の山門に置かれていたもの。
木陰のそよ風が気持ちいい参道を進むと「赤沢蜂巣観音」。
その先までもう少し登って振り返ると、バーン!
改めて眼下に広がる海を眺めるテラス「ストーン・エイジ・カフェ」。
とにかくこの日は天気が良く、どこを撮っても「ワーっ!」と感激、感動、感心の連続だったので写真をたくさん撮ってしまいました。
ここで全てをアップしたら長くなり過ぎそうなので、個人的に印象的だったシーンをピックアップしてお届け☆
まず、こちらの施設は当日券がある場合もありますが、基本的には事前予約制です。
特に順路が決まっている訳でもないので、気ままに詳細に施設内が説明されたパンフレットを手にいざ見学、探訪スタート(^o^)/
<待合棟>
中へ入ると近代美術館のよう。
建物は4面ガラスで覆われ、突き当りのテラスに出るとまたまた海!
遠くには箱根外輪山が見渡せます。
美味しい空気をめいっぱい吸い込む♡ 気持ちいい〜っ\(^o^)/
『江之浦測候所』の各施設は、美術品鑑賞の為のギャラリー棟、石舞台、光学硝子舞台、茶室、庭園、門、待合棟などから構成されています。
また各建築物は日本の建築様式や工法、各時代の特徴を取り入れて再現。
建築、またその歴史に興味がある方はもちろん、施設内に散りばめられた美術品鑑賞、庭好き、石や化石など鉱物好き、単にお散歩散策好きな等々、自由に楽しめる広々複合施設です。
青空、緑、石、水(ここでは海)の風景を見て、ふと蘇った記憶は、以前訪れたローマ近郊にある16世紀にエステ家の枢機卿イッポーリト2世が造った『Villa d'Este』(ヴィラ・デステ=エステ家の別荘)。
(関連記事→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/villa-deste.html )
カラッとした空気感からも私にはとてもローマ、めちゃイタリアを感じ、そんなことを思いながら進んでいくと、「石彫大理石レリーフ」を見つけました。
これは、旧約聖書に記載されているエデンの園にあったとされる生命の樹を表現したもので(12〜13世紀のもの)ヴェネツィアのグランドキャナルに面した商館のファサードに嵌め込まれていたもの。
よく知るヴェネツィア、グランドキャナル界隈なだけに一気に気持ちがイタリアに飛びました。
そんなレリーフを見上げならトンネルをくぐると、古代ローマ円形劇場写しの観客席が!
フィレント古代ローマ円形劇場遺跡を実測して再現したもので、客席からはガラスの舞台が海に浮いているように見えます。
その舞台を下から眺めると、また違った印象。
清水寺チック?!
更に下から見上げると、赤茶色のトンネルの上に人が見えます。
そこは海をバックに写真が撮れる人気撮影スポットでもあったのですが、軽く高所が苦手な私には無理でした…。
ところで、この『江之浦測候所』を設計、創り上げたのは、現代美術作家の杉本博司氏。
かつてのこの地は、山腹一面に広がる広大な蜜柑畑だったそう。
そのかつての面影がそこかしこに。
蜜柑畑の石組みを採用した夜点席。
冬至の朝は暖を取るための焚火場。
山の斜面を利用した施設だけあって結構アップダウンがあり、また石や砂利、山道を歩くことになりますので、訪れる際は歩きやすい靴で。
昭和30年代、蜜柑栽培が活況だった頃に建てたれた道具小屋が「化石窟」に生まれ変わり、中には5億年前の化石はじめ各時代の化石、4000年前の青銅器、そして蜜柑栽培の道具を合わせて展示。
椰子の葉と魚の化石(5000万年〜3800万年前:アメリカ・ワイオミング州)、あまりにクッキリ残っていて驚きました…。
ゲジゲジ感がちょっとキモいよ〜。なんの魚…?
その化石窟の裏手に回ると、なんとも神々しいものが。
それは「般座」(神道において神が天下る岩)として整え、縄文時代の石棒を祀ったものがありました。
2本の巨木の下がマルッと抉られたように空洞になっていたその様子は、楠が大木に成長する過程で根が地下にあった巨石を取り巻き、その後大雨によって土砂が流れ、根元部分が露出したと。
<茶室:雨聴天>
千利休が今の世にいたら使ったであろう素材という錆びたトタンが使われ茶室。
天から降る雨がトタンに響く音を聴くことから「雨聴天」と命名。
大阪府泉大津の実業家で茶人としてもたくさんの仏教美術をコレクションした細見古香の邸宅にあったという室町〜江戸時代の石仏。
日本や世界の歴史あるものが、自然と溶け込みながらポンポン点在しているのが面白く、ここは江戸の山道か?はたまたコロッセオ時代のローマか?と時空を越えてのタイムリップ気分になってきました。
え、春日社@奈良の?!と思いながら鳥居を潜り進むと、
現存する最古の春日造りの奈良・円成寺の春日堂を採寸して写し、2022年春に奈良・春日大社より御霊を勧請した「甘橘山・春日社」がありました。
心静かにお参り。
最初と最後にじっくり鑑賞したのは、『妙月門』。
室町時代に鎌倉の建長寺派明月院の正門として建てられたもので、関東大震災で半壊。
その後、解体、保存、再建、移転等を繰り返し、『根津美術館』の正門として使用されてきました。
2006年の根津美術館建て替えの際に、小田原文化財団へ寄贈され、江之浦測候所正門として解体修理され、再建されました。
あの根津美術館!今ではすっかり勝手にご近所さんな気持ちで通う大好き美術館。
(関連記事→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-1767.html )
美術館の門になるまでも紆余曲折、戦火もくぐり抜け、色々あって青山から今ここに…と思うと妙に感慨深いものを感じ、去り際についその柱に抱きついてしまいました。
まだまだ見所はありますが、その素晴らしい壮大ランドスケープは実際訪れてこそ。
東京駅から1時間半で行けるという手軽さもあって、今後は海外からくる友人達も勧めたいスポットです。
*****おまけのNY*****
ナッツ好きには嬉しいお店♡
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