Comme d'habitude 〜パリ・東京行ったり来たりblog〜

ロシアのアヴァンギャルド展☆

すっかり忘れそうになった Centre Pompidou(ポンピドゥー・センター)で今月16日まで開催されていた“Chagall, Lissitzky, Malévitch…L'AVANT-GARDE RUSSE À VITEBSK(1918-1922)”(シャガール、リシツキー、マレーヴィッチ…ヴィテブスクのロシア・アヴァンギャルド展)へ駆け込みで行ってきました。

IMG_7037.jpg

とにかくシャガール作品が観たくて出かけた展覧会。

IMG_5074 copy.jpg

Marc Chagall(マルク・シャガール)と言う画家に興味を持つきっかけは、パリオペラ座・ガルニエ宮の天井画

「夢の花束」を初めて目にした時。

初めて見上げた瞬間から魅了され続け、何度観てもまた観たい、ずっと観ていたい気持ちになります。

(関連記事→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-458.html

この天井画制作には4年間かかったそうですが、旧ロシア帝国ヴィテブスク(現ベラルーシ)出身のシャガール作品の多くはフランスで制作されたものです。

(関連記事・画像無し→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/52025007.html


IMG_7044.jpg

本展は今年マルク・シャガールがヴィテブスク市(ベラルーシ)の芸術担当コミッショナーに任命されてから100年を記念したもの。

シャガールは人民美術学校を設立、そこに教師として招聘されたのは、カジミール・マレーヴィチやエル・リシツキーなど、「ロシア・アヴァンギャルド」の主要人物たちでした。

(ロシア・アヴァンギャルドとは20世紀初頭、ヨーロッパ美術の影響を脱し、自国の芸術を模索する画家たちが起こした芸術運動)

本展は、この時期に共産主義の強い影響のもとヴィテブスクの美術学校から生まれた「革命的実験」絵画や彫刻約250点を展示。

IMG_7040.jpg

(Marc Chagall・ Over the town)

これを機会にシャガール以外の画家の作品もしっかり鑑賞しようと思っていたのですが、展示室をサーっと遠目に眺め気になって真っ先に近づいてしまうのは、ほとんどがシャガールの作品でした。

そして何度か見ているシャガール展で彼のバイオグラフィーはざっくりわかってるつもりでいましたが、作品を追いながら改めて確認すると誤解もありました。

フランスにはわりと早くに亡命したと思っていたからです。

IMG_7042.jpg

(Marc Chagall・Double Potrait  with Wine glass)

実際には、人口の半数がユダヤ人というヴィテブスクに生まれたシャガールの人生は決して平坦ではなかったということ。

ユダヤ人社会で育ち、第一次世界大戦、ロシア革命の中、何度もパリに来ては戻り、第二次世界大戦ではナチスの迫害を逃れアメリカに亡命し、そして再びパリへ。

最後は南仏のヴァンスで97年の生涯を閉じました。

生き抜くだけでも大変な時代を経験しながらの制作活動は私などの想像に及ばない…。


IMG_7045.jpg

(Marc Chagall・The Moon Painter)

パリジャンのシャガール作品ではなく、原点的な旧ロシア系ユダヤ人としてのシャガールを感じながらの作品鑑賞は感慨深いものでした。

thumb_large.jpg

愛妻ベラをモデルにした作品を多く手がけていますが、中でもこの作品「白い襟のベラ」は印象的でした。

解説によると、どこかアンバランスで左右に違和感を感じるのは、さまざまなモチーフに対比してベラが大きく超現実的に描かれているのに対し、他の対象が全て幻想的空想的に描かれている、からだそう。

IMG_7057.jpg

(Vassily Kandinsky・Zubovsky Square Moscow)

シャガール以外で心惹かれた作品はカンディンスキー(Vassily Kandinsky)でした。

カンディンスキー=抽象画のイメージが強かったので、こういった風景画は新鮮。

IMG_7062.jpg

(Vassily Kandinsky・Red Square )

なんだかラフマニノフのピアノ音楽が聞こえてきそう、そんな気がした一枚。

またきっと何かの機会にカンディンスキーにじっくり触れ合う機会もあると思うのでそんな日を楽しみに展覧会を後にしました。

☆Belle et Bonne Blogも絶賛更新中☆

⇒ http://belleetbonne.blog.fc2.com/blog-entry-1946.html

 
 
<info>
Centre Pompidou(ポンピドゥー・センター)
Place Georges-Pompidou, 75004 Paris
 
 

KEICO

新潟県の老舗旅館に生まれ育つ。
上京、進学、就職、まさかの出逢い?で結婚し2004年渡仏。
現在は夫と共にパリ・東京を行ったり来たりな生活中☆
そんな毎日からのグルメ・ファッション・カルチャー・バカンスなどの話題を中心にブログ更新致します。

ARCHIVE

MONTHLY

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories