パリの子ども事情

今年度、最後のバレエコンクールはリヨンで! パリのバレエ事情(7)

フランス全国と近国に数多くのバレエ・スクールを持つ Confédération Nationale de Danse (以下CND)が開くコンクールに、我がスクールの多くの子どもたちが出場します。まず、4月に地区予選があり(我がスクールはイル・ド・フランス)、6月の決勝はフランスの大きな都市で年ごとに移動して開かれます。去年はナント、今年はリヨンで開かれました。このリヨンで今シーズンのコンクール はおしまいです。

まず4月の予選から。

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パリ郊外のマルヌ川が雄大に流れる高級住宅地にその会場はありました。
郊外電車で15分、車で20分。
そんな距離なのにカヌーの教室があったり、ヨットハーバーがあったり、ちょっとしたヴァカンス気分が味わえる場所です。

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マルヌ川と近代建築がとてもマッチしていました。

各カテゴリーで課題のバリエーションがあり、皆同じものを踊ります。
見ているのはかなり忍耐が(笑)いるのですが、これはテクニックや表現力の違いがハッキリとわかります。
小さいカテゴリーで1分程度踊ります。
踊った後のバレエ特有な挨拶もなしに、次々踊っていきます。
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そして、1時間ですぐに結果発表。
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名前を呼ばれたらステージに上がっていきます。
順位が複雑で、まずは地区の銅賞、銀賞、金賞。
その上に全国大会に向けての(変な日本語ですが)銅賞、銀賞、金賞。
そして、その金賞の上は審査員が全員一致で投票した子どもに与えられる賞。
またその上に満点だった子どもに与えられる賞があります。
決勝へは全国大会に向けて、金賞以上の賞を取った子どもたちが出場資格を与えられます。

この地区予選では、賞が8個もあるのでほとんどの子どもが受賞しました。
決勝に行けるのはわずかですが、メダルをもらった子どもたちはみんな笑顔。
やはりコンクールは、子どもたちのやる気を持続させるための大切なものだと再確認。
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ⓒEcole de danse TERPSICHORE Paris

我が長男は全国大会に向けての金賞を受賞したので6月の決勝出場が決まりました。
それと同時に、ベルギーのディナンのコンクールで踊った"大勢の赤ずきんちゃんと一匹のオオカミ"[プチ・ルウ]も団体戦で出場。
踊り終わった後に客席から拍手が巻き起こってしまいました!
本来はコンクールでは拍手禁止。
採点の妨げになるからです。
みごと、全国大会へ向けて金賞の上の審査員一致でリヨンの決勝へ!


6月の決勝リヨンへ。

我が家は子ども3人なので、パリ近郊以外のコンクールへは写真家のパパが"ステージパパ"として長男に同行します。
が、仕事が入ってしまったため次女と私が同伴することになりました。
飛び石連休でしたが、半日だけ学校をお休みしなければならないスケージュール。
長女は中学1年生の3学期目で、とても大切な時期なのでパリにひとり残る事となりました。
そんな時に、親族に預けられないのが外国に住む辛さです。
でも、お友達が快く長女を一晩預かってくれました。

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パパのいない初めてのコンクール。
TGVの乗り場で別れ際のムギュ。

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パリから2時間でリヨン到着。
まずは駅前で遊ぶ。
馴れない土地でトラム乗り場をやっと見つける。

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こんなときは兄弟げんかをしないから、いいと思う。

ホテル到着後、会場の下見をして早くに就寝。

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1日目:個人戦の決勝は午前中。
リラックスしているので、自分の力が発揮できそう。

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会場は、今までになく大きくてモダン。
きっと有名な建築家が設計したはず。

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そして、お昼を食べて結果発表。
リヨンの新聞にも載った同じスクールのMAIKAちゃんと同じく"銀賞"を受賞。
長男が大好きなジャクリーヌ先生と。

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午後は時間がたっぷりあったので、観光バスでリヨンの街を見て回りました。
コンクールと言っても"旅"ですから、その土地の文化(食だったり街並みだったり教会だったり)を見て回るのが好きです。

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ⓒEcole de danse TERPSICHORE Paris


そして2日目:いよいよ団体演技[プチ・ルウ]の決勝です。

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結果発表は、まずは全員がステージの上へ。
まるでコンサート会場のようなアナウンスと音楽と共に盛り上がりました。
そして、去年に引き続き"金賞"を受賞。

素晴らしい1年の締めくくりとなりました。

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すべて終わった後に、滞在ホテルの横にあるフランス最大の公園"テット・ドール"へTGVの時間までお散歩。
イギリス庭園をイメージして作られた素晴らしい公園でした。

湖畔を歩くだけでも気分がいい。

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パリで待っているお姉ちゃんに花を摘む長男。
自分のコンクール出場のたびに姉妹に我慢や寂しい思いをさせている......とメイは思っているから、それを伝えたかったらしい。
言葉じゃうまく言えないし、いつもけんかばかりだから。

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公園内を半周する小さな汽車にも乗りました。
湖に足こぎボート発見!

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公園の端から端まで1キロぐらいのお散歩も、MAIKAちゃん親子と楽しいおしゃべりをして歩いたので楽々と乗り場に到着。
30分並んでボートスタート。
夕方の斜めの光がキラキラと輝いて、水面を吹く風はバラの香りを運んでくれた。
リヨンと聞いたら、この時間のことを思い出すだろう。というほど素敵な時間だった。

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そして夜、TGVでパリへ向かう。
摘んでからずっと持っていた花も元気。
「いつもありがとうって思っているよ」というのが本当の気持ち。
長女にこの気持が伝わりますように。
家族のサポートなしでは、長男のバレエ人生(大袈裟?)は成り立たないのだから。

そして、今週の日曜日、1年間の成果を発表するスペクタクル公演。
ディアンヌちゃんと踊れるのもこれが最後。

そのため先週土曜日は4時間かけて5歳~18歳までの100人の生徒が集まり、通し稽古があった。
この動画を見ただけでも、子どもたちの頑張り、力量、バレエに対する姿勢までも感じ取ることができる。

[Répétition Générale Présentation Technique 2014]

ビデオ最後のディアンヌちゃんの回転(バレエ用語がわからない......)は必見です!

【関連記事】
パリのバレエ事情(1)https://madamefigaro.jp/paris/blog/maiko-matsunaga/post-1335.html
パリのバレエ事情(2)https://madamefigaro.jp/paris/blog/maiko-matsunaga/post-1338.html
パリのバレエ事情(3)https://madamefigaro.jp/paris/blog/maiko-matsunaga/post-1355.html
パリのバレエ事情(4)https://madamefigaro.jp/paris/blog/maiko-matsunaga/4nijinski.html
パリのバレエ事情(5) https://madamefigaro.jp/paris/blog/maiko-matsunaga/-5-2.html
パリのバレエ事情(6) https://madamefigaro.jp/paris/blog/maiko-matsunaga/dinant.html

松永麻衣子

パリ在住ジャーナリスト

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