早くも『レッド・カーペット』の視聴が可能に! オペラ座のPOPの気になる新シーズン。
パリとバレエとオペラ座と 2025.09.17
シャネルが衣装を担当し、ホフェッシュ・シェクターがオペラ座バレエ団のために初めて創作した『レッド・カーペット』。ガルニエ宮で前シーズンの6月10日から7月14日まで公演された。この作品でパリ・オペラ座バレエ団は10月2日から4日までサンフランシスコのバークレーシアターで、そして10月9日から12日まで、ニューヨーク・アート・センターでツアーを行う。7月末に東京で踊られ好評を博したアレクサンダー・エクマンの『PLAY』を観て、オペラ座バレエ団やコンテンポラリー・バレエに興味を持った人は少なくないはずだ。そうした人たちを興奮させるに違いない『レッド・カーペット』。パリでも見ていない、アメリカに行く予定もないというのであれば、パリ・オペラ座の配信プラットフォームPOP(Paris Opéra Play)で視聴しよう。カンパニーのコンテンポラリー作品に配役されることの多いダンサーたちの中からホフェッシュが厳選したのはダンサー13名。その中には、『PLAY』で来日したダンサーもいる。『レッド・カーペット』はほぼ全員に見せ場が設けられているので、見覚えのある顔やダンスに画面上で再会する機会となるのではないだろうか。
ホフェッシュ・シェクター振付『レッド・カーペット』より。作品の魅力をアップしたシャネルによる衣装も見どころだ。photography: Julien Benhamou/ OnP
配役は女性がクレマンス・グロ、キャロリーヌ・オスモン、イダ・ヴィイキンコスキー、ローレン・レヴィ、アデル・ベレム、マリオン・ゴティエ=ドゥ=シャルナッセ、男性がアントワーヌ・キルシェール、アレクサンドル・ガース、ミカエル・ラフォン、ユーゴ・ヴィリオティ、タケル・コスト、ジュリアン・ギュイマール、ルー・マルコー=ドゥルアール。photography: Julien Benhamou/ OnP
POPではライブ配信も行っている。バレエについてダイレクト中継は予定されていないが、今シーズンは『Racines / Roots』『Contrastes』『Empreintes』の3公演が録画されて、後日POPで視聴可能となる。『Racines』は10月6日からバスティーユで行われる公演でジョージ・バランシンの『Thèmes et variations』、レパートリー入りするMthuthuzeli Novemberの『Rhapsodies』、同じくレパートリー入りするChristopher Wheeldonの『Corybantic Games』のトリプルビルだ。配役されているエトワールはジェルマン・ルーヴェ、ポール・マルク、ヴァランティーヌ・コラサント、ブルーエン・バティストーニ、ロクサーヌ・ストヤノフである。
『Rhapsodies』のリハーサルより。イヴォン・ドゥモル(左)とレティティア・ガロニ。photography: Julien Benhamou/ OnP
12月にオペラ・ガルニエで踊られる『Contrastes』は4作品による構成。内容はトリシャ・ブラウンの『O Zlozony/ O composite』とレパートリー入りする『If you couldn't see me』、そしてこれもレパートリー入りとなるデヴィッド・ドーソンの『Anima Animus』、Imre & Marne van Opstaの『Drift Wood 』だ。オペラ・バスティーユの『ノートルダム・ド・パリ』を踊らないエトワールたちがこの公演に配役されているのだが、発表された『O Zlozony/ O composite』の配役には長らく休んでいたマチアス・エイマンの名前が発表されている。実現の際にはこのプログラムを視聴できる日が待ち遠しいこと間違いなしだ。
『Empreintes』はMorgann Runacre-Temple & Jessica Wrights の創作と、Marcos Morauの創作『Etude』の2作品。公演はオペラ・ガルニエで3月11日から。シーズン25/26は100パーセント、ジョゼ・マルティネス芸術監督によるプログラムである。この2創作によって、彼がこれからのパリ・オペラ座に求める作品をうかがい知ることができるのかもしれないと思うと、なかなか興味深い。いまのところ配役は発表されていないが、この前に『ル・パルク』があり、この後に『椿姫』があるので、この2作品と被らない配役となるのだろう。
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さて、まだPOPのプログラムに入っていないが、いつか是非!と期待したいのが、バレエ学校の複数の学年の生徒たちを1年間追いかけ、2025年の入団試験が締めくくるドキュメンタリー『Vers la grâce』だ。テレビ局のフランス2では9月にその4つのエピソードが放映され、いまも局のリプレイで見ることができる。映像が1年間追いかけたプルミエ・ディヴィジョンの16歳の男子生徒、17歳の女子生徒の運命やいかに?というわけだ。最初のエピソードの冒頭で試験結果発表を貼り出す瞬間が見られ、すぐに時を1年遡って、このふたり、そして入団したての11歳の女生徒ふたりをめぐって4話が展開する。これには、すでにDVD化されている『Graines d'étoles(エトワールへの道)』を思い出す人も多いことだろう。この『エトワールへの道』は学校の生徒を1年追ったシーズン1が2013年に撮影され、その10年後の2023年に"あれから10年"という形でシーズン3が撮影されたドキュメンタリー。これは現在POPで全編を視聴できる。いま現役で活躍しているロクサーヌ・ストヤノフ、パブロ・ルガザ、アントニオ・コンフォルティたちの学校時代を振り返って見ることができる貴重な作品だ。
2025年の学校公演より。この中には入団試験に受かった生徒、受からなかった生徒が混じり合っている。photography: Svetlana Loboff/ OnP
2024年の年末公演『パキータ』で踊った生徒たち。元プルミエ・ダンスールのフロリアン・マニュネによる彼らのリハーサル風景も『Vers la grâce』の映像に収められている。photography: Maria Helena Buckley/ OnP
POPは1ヶ月契約は9.90ユーロ、年契約は99ユーロ(パリ・オペラ座会員は半額)。
また28歳以下は月契約4.95ユーロだ。契約前にどんな作品を見ることができるのかCatalogueでチェックできるので、まずはhttps://play.operadeparis.frへ。
https://play.operadeparis.fr/en
editing: Mariko Omura