時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノにある、いい物語を語る連載「いいモノ語り」。
今回は、ティファニーのジュエリーウォッチコレクション「ロープ バイ ティファニー」の話をお届けします。
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TIFFANY & CO.
ROPE BY TIFFANY

光を浴びて輝く、才色兼備のソーラーウォッチ。
ティファニーから、これまでになく新しいジュエリーウォッチコレクション「ロープ バイ ティファニー」が登場。アーカイブに残るジャン・シュランバージェの名作からインスパイアされ、ツイストするロープのモチーフを象徴的にデザインしたウォッチだ。
文字盤の周囲を取り囲むゴールドのロープは、職人の手技によってシャイニーに磨き込まれているため、光沢が鮮やか。そこにティファニーならではの質の高いダイヤモンドもあしらわれ、リュクスな存在感を手元で発揮してくれる。そしてストラップは、心がとろけそうなティファニー ブルーのアリゲータースキン。よく見ると、時刻を表す長針にもロープのモチーフが配されていて、すみずみにまで行き渡るクリエイションへのこだわりを感じさせる。
インスピレーションの源となった名作の生みの親、ジャン・シュランバージェとは、20世紀を代表するジュエリー界の偉人。1956年から30年以上にわたってティファニーで活躍し、スタイリッシュで遊び心のあるハイジュエリーを次々とデザインして、ハリウッドスターや大富豪たちから絶大な人気を集めた伝説的ジュエリーデザイナーだ。彼の手がけたジュエリーやウォッチにはクラシカルなロープのモチーフがさまざまにあしらわれ、その洗練された美しさが多くの女性たちの垂涎の的となってきた。
1960~70年頃に作られた「ティファニー リスト ウォッチ」にも優雅なロープのモチーフが。
シュランバージェのレガシーから生まれた「ロープ バイ ティファニー」には、もうひとつの魅力が隠されている。実はティファニーにとって初の試みとなる、太陽の光で動く時計なのだ。スイスの名門時計ムーブメントメーカー、ラ・ジュー・ペレ社と協力し、先進的なソーラー ムーブメントを搭載。これまでのような電池交換は不要で、とても扱いやすいうえに環境にも優しい。マザーオブパールの文字盤の下にセットされた太陽電池は、晴れた日の屋外なら、光を2分浴びるだけで24時間分の動力を蓄えることができる。しっかりフル充電すれば、たとえ光の差さない場所にしまっておいたとしても、8カ月間は時計が動き続けるという優れた性能を持っている。晴れの日だけでなく、曇りの日や室内光でも動く「ロープ バイ ティファニー」は、美しさに加えて実用性も高いウォッチなのだ。
正確な動きで時を刻み続ける時針と分針。それらが光で動いていると思うと、何だか愛しさがこみ上げてくる。時代を超えた逸品を生み出すティファニーに、またひとつ新しい魅力が加わった。
ジュエリー&ウォッチジャーナリスト
真珠のネックレスの組み方を教わるため、ジュエリーデザイナーの友人宅へ。真珠に糸を通し、結び目を作って留め金をつけ......ビーズネックレスより難しくて大苦戦!
*「フィガロジャポン」2025年10月号より抜粋
photography: Ayumu Yoshida styling: Tomoko Iijima text: Keiko Homma editing: Mami Aiko