美しい投資術 Vol.7 "信用取引"で資産を大きく殖やし、次なる投資の資金に!

フィガロジャポン2021年7月号から連載「美しい投資術」をスタートした、個人投資家/資産運用アドバイザーの廣田里那さん。前回は投資手法のなかでも一般的な「株式投資」ついての話でしたが、今回は株式投資の形式のひとつである"信用取引"の魅力とリスクを聞きました。

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photo: iStock

株式投資は大きく2種類「現物取引」と「信用取引」があります。現物取引は自己資金で株を売買する基本的な取引。株の保有で優待や配当金を受け取れたり、安い時に買って、値上がり時に売れば利益を得られたりします。

一方、信用取引は現金や株などを担保にして、証券会社からお金を借りて株を売買する方法。自己資金として取引額の30%以上(最低30万円)の委託保証金が必要ですが、担保の評価額の最大約3.3倍まで取引が可能になります。

たとえば、自己資金が100万円あるとして、現物取引では100万円分の株しか買えませんが、信用取引なら約300万円分の株を買えます。株価が10%値上がりしたら、利益も3倍違ってくる。少ない資金でも大きな投資ができ、利益を出しやすいところが魅力です。ただ、金額が大きい分、損失も大きくなりやすいので、ハイリスクハイリターンな取引だといえるかもしれません。

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私の場合、米国株は信用取引ができないので現物取引ですが、日本株は信用取引だけ。当初は資金管理がうまくできず、追証(おいしょう:追加保証金)が発生して慌てたことも。証券会社から株を借り、その株価が下がった時に利益を出す「空売り」など、信用取引ならではの手法を実践しながら学びました。

私は一社の株式を6カ月以内に短期で売買するため、日中はチャートを確認したり、企業分析をしたり......これって投資といえども時間労働と変わりません。値動きをチェックし続けるのは、精神的にも疲れます。信用取引を一生続けられる気がしないので、得た利益は現金化せず、再投資に回します。安定的なETF(上場投資信託)を買ってさらに殖やし、将来的には不動産投資で毎月家賃収入を得るというのがいまの目標。

とはいえ、株式投資は刺激的でおもしろく、まだまだ欲しい株がたくさん! 挑戦してみたい人は、証券会社のデモトレードで慣れてから、少額で始めるのがおすすめ。資産が増減するとワクワクするので、それが原動力になって「もっと知りたい、勉強したい」と情報収集に力が入ると思います。

信用取引のリスクとは。

金融の世界では、借り入れなどを利用して、少ない資金で大きな金額を取引することを「レバレッジ」と呼び、信用取引もそのひとつ。現物取引で自己資金100万円分の株を買い、仮に株価が半分になると損失は50万円だが、信用取引で3倍の300万円分を買った場合の損失は150万円。自己資金の損失に加えて50万円の負債を抱えることになる。指定した値段で自動売買する注文方法(指値)などで自分のルールを守り、リスクコントロールさえ上手にできれば、資産形成に有効活用できる。

*「フィガロジャポン」2021年12月号より抜粋

text: Yoko Sueyoshi

個人投資家/資産運用アドバイザー。1990年、パリ生まれ。現地高校卒業後、お茶の水女子大学に進学し、東京に移住。日系商社に勤めた後、通訳、金融会社を経て、個人投資家に。

instagram:@lina_saint.germain

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