【鎌倉】大町エリアへ。NEW OPENの話題の3軒。
鎌倉ウイークエンダー 2025.10.10
長谷川真弓
「大まちや」のエントランス。どこか懐かしい雰囲気の漂う大町で、ゆるやかに流れる時間を楽しんで。
寺社や昔ながらの店が多く、鎌倉の中でも飾らないのんびりとした雰囲気のエリアである大町。中心となる通り、大町大路には最近話題のお店が次々とオープンしている。ゆっくりと休日を過ごすのにおすすめの3軒をご紹介。
古民家で、緑を眺めながら和定食を堪能
#01. 大まちや
テラス席と入り口を入ってすぐの一室はペット可なので、愛犬連れにも人気。
飛び石が敷かれた風情ある小径の先には、築100年を超える日本家屋。のれんをくぐって中に入ると、梁などはそのままに和モダンな空間にリノベーションされている。
鎌倉・長谷で人気のイタリアン「イルビッライオ」のオーナー坂下さんがオープンした「大まちや」は、朝からとびきり美味しい和の定食がいただける店だ。
人気の「のっけごはん定食」。豚しゃぶののったご飯もついて盛り沢山。「出汁香る日高カムイ豚しゃぶのっけごはん定食」¥2,500
メインとなる焼き魚は、あじ、鮭ハラス、さば、さばみりん、ほっけ、金目鯛(+800円)などから好みのものを選べるのがうれしい。伊豆・下田の魚屋さんから直送してもらっており、鮮度も抜群。
また、定食につく小鉢というとお新香程度のものが多い中、この店では「メヒカリの南蛮漬け」「ピーマンの肉味噌」など、旬の野菜を使ったボリュームのある一品料理が3種類提供される。一つひとつがていねいに仕上げられているので満足度も高い。
庭の緑を眺めながら、落ち着いて食事ができる。
日本酒やワインなどアルコール類もそろっている。小鉢が7品ついた「大まち御前(¥3900)」をお酒のあてにして、昼飲みを楽しむのも人気だそう。
神奈川県鎌倉市大町2-2-2
0467-84-8131
営)7:30〜15:00(月、火、金)、7:00〜15:00(土、日、祝)
休)水、木
@ohmachiya_kamakura
★Google Map
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優しく奥深い、一期一会のひと皿
#02. spice please!
ラッシーやチャイなど、自家製スパイスドリンクがついて¥2,300。
テーブルに運ばれてくると、思わず顔がほころんでしまう、きれいなワンプレート。中央の細長いバスティマライスをぐるりと取り囲むように、3種類のカレーと季節の野菜をたっぷり使い、スパイスで味付けした副菜の数々が並ぶ。
この日のカレーは「かぼちゃチキンコルマカレー」「ローストブラックペッパーキーマ」「秋の野菜ときのこサンバル」の3種類。
定番のカレーというものはなく、ベースは同じでも具材や組み合わせが変わるので、いままでつくってきたカレーの種類は数えきれないほどだそう。副菜も多種多様なので、メニューは1日1種類のみだが、来るたびに違うプレートに出会えるのが魅力だ。
店主のお二人。左から/巖根さくらさんと中村莉加さん。
お店を営む巖根さくらさんと中村莉加さんは、鎌倉からほど近い葉山町で育った、小学生の頃からの幼なじみ。
数年前、ふたりで鎌倉散策の途中で鎌倉・極楽寺にあるスパイス専門店「アナン邸」に寄ったことがきっかけでスパイスに興味を持ったという。すぐに「アナン邸」の3代目であるバラッツさんに弟子入りし、そこでインド式のカレーをいちから学んだ。
3年前ほどからはキッチンカーやPOP UPで葉山から大磯まで湘南地域をまわり、着々とファンを獲得していった。満を持して店舗をかまえたのは今年の7月。ここは元々、人気のカレー屋「極楽カリー」があった場所。移転のタイミングで直接店主の竹迫さんから声をかけてもらったというご縁での、オープンとなったそう。
ピンクのチェックのテーブルクロスがかわいいテーブル席と、一人でも入りやすいカウンター席。
「色んな人に食べてもらいたいから」と、辛さは控えめ。一口目はさらっと優しく、途中から複雑に絡み合ったスパイスの風味と辛みがふわっと追いかけてくる、やみつきになる味だ。
毎週日曜日はビリヤニDAYとして、ビリヤニやプラオなどの米料理がメインで提供される。週に何度も足を運びたくなってしまいそう。
神奈川県鎌倉市大町1-2-19 Yビル1F
営)11:30〜14:30L.O.
休)月、火(くわしくはインスタグラムをご確認ください)
@spiceplease
★Google Map
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日々の暮らしに寄り添うギャラリー
#03. KAMAKURA meet
オープニングには「ミナ ペルホネン企画展」が開催され、遠方からも多くの人が足を運んだ。写真は10月6日まで開催したデザイナー猿山修展のもの。
100年続いた老舗の精肉店の跡地。次は何になるのかと地元の人たちの間で話題になっていた場所に6月にオープンしたのが、ギャラリー「KAMAKURA meet」だ。
店名は、地元で長年愛されたmeat(肉)と、出会いであるmeetをかけ合わせたものとなっており、人とモノ、人と人、過去や未来などさまざまな物が交わる場所という願いが込められている。ミナ ペルホネンの皆川明さんが命名し、ロゴデザインも手がけたそう。
オーナーは代官山の「gallery ON THE HILL」や、御代田の「gallery fumoto」のオーナーでもある朝倉美佳さん。「大町という、鎌倉の人たちが生活する場で、物や作品を通して人の輪が広がっていけばいいなと思っています」と語る。
デザイナー猿山修展「書画と時計を中心に」。真鍮のお盆やチーズボードやナイフなども販売。
取材時は猿山修氏の個展が開かれていた(10月6日まで)。古い掛け時計を再構成した作品や、酒のあてをテーマにした書画をはじめ、鉄や銅で製作したモビールなど、さまざまな作品が静かに存在感を放っていた。
さりげない小さな看板が目印。町の雰囲気に自然と溶け込むギャラリー。
10月10日〜20日までは、「出張料理人 岸本恵理子の仲間展」を開催する。クラフト作家や食の作家たちが手掛ける、器、布もの、お菓子、調味料など暮らしの道具が並ぶそう。
企画展のほかに、世界でも活躍する日本の作家たちの作品を展示し、販売する常設展も行っている。
「暮らしの中にそっと寄り添うような、美しく温もりのある作品が並びます。日々の生活の中で、手業の魅力や豊かさを感じてください」と、朝倉さん。思いがけない出会いを楽しみに、フラッと訪れてみては。
text & photography: Mayumi Hasegawa