赤身肉と合わせたい! 色濃く骨太なタンニンの赤ワイン、マルベックを飲もう。
知ってちょっとためになるワイン学習帖 2025.11.09
ブドウ品種の特徴がわかると、ワイン選びはグッと楽に! ワインジャーナリストが解説する連載「ワイン学習帳」。赤身のステーキと合わせたい、しっかりした赤ワインを選びたいならマルベックに決まり。
vol.19 マルベック
アルゼンチンワインを語るうえで避けて通れない品種がマルベック。アルゼンチンにおける全ブドウ栽培面積の約4分の1、赤ワイン用ブドウ品種の実に約4割を占める。
フランス南西部原産の品種で主要産地はカオール。規定でマルベックを最低70パーセントブレンドすることが定められている。色が濃く、骨太なタンニンのワインを生む。またオーセロワやコーなどの別名を持ち、ボルドーやロワールでも栽培されているが、これらの地方では補助的にブレンドされるに過ぎない。
マルベックがアルゼンチンに渡ったのは19世紀半ば。アンデスの麓の気候がばっちり合い、21世紀に入って銘醸ワインの仲間入りをした。高度が上がるほどタンニン量は増える一方、ベルベットのようなテクスチャーに。標高1,000メートルを超えるウコ・ヴァレーがいま注目の的。
ル・コンバル 2020
LE COMBAL 2020
国・地域:フランス カオール
アルコール度数:13.5%
1999年に創設され、フランスの老舗ワイン専門誌「ラ・ルヴュー・デュ・ヴァン・ドゥ・フランス」で2ツ星に輝くカオールのドメーヌ コス・エ・メゾヌーヴ。この「ル・コンバル」は、バイオダイナミック農法で栽培されたマルベックを古樽で14カ月熟成。スミレのフローラルなアロマに、血っぽいニュアンスが複雑に絡む。引き締まったタンニンで、噛めば噛むほど味が滲み出る赤身肉にぴったり。

酸味 ●●●●◯
果実味 ●●●◯◯
タンニン ●●●●◯
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マルベック テロワール ヴァレ・デ・ウコ
MALBEC TERROIR
VALLE DE UCO
国・地域:アルゼンチン メンドーサ
アルコール度数:13.5%
イタリアワイン界の重鎮らによる創設後、チリの地質専門家ペドロ・パッラを迎えて飛躍的な進歩を遂げたアルトス・ラス・オルミガス。このワインは注目エリアのウコ・ヴァレー産。色は濃く、緻密なタンニンにあふれているのに舌触りはきわめてなめらか。干しプラムや甘苦いスパイスなど、香りの方向性もカオールとは違う。本来ならばこちらこそ赤身肉向けだが、柔らかなフィレミニョンがおすすめ。

酸味 ●●●◯◯
果実味 ●●●●◯
タンニン ●●●◯◯

今月の講師
柳 忠之
ワインジャーナリスト
ワイン専門誌記者を経て、1997年に独立。専門誌、ライフスタイル誌等に寄稿。日本ソムリエ協会発行の資格試験向け教本執筆者。シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。
*「フィガロジャポン」2025年12月号より抜粋








