ロサンゼルスで桜を愛でるなら、由緒あるハンティントンライブラリーやデスカンソガーデンなどの植物園、バルボアパークなど市民公園に出かけたりするのはアンジェリーノ(=LA居住者)たちの定番。市内を運転中に時々桜を見かけると車を停めたくなって、やはり自分は日本人なのだなと感じる。
ロサンゼルスでおすすめしたい小さな桜スポットはDTLA(ダウンタウンロサンゼルス)コミュニティや文化の象徴であるグロリア・モリナ・グランドパークのテラスだ。
毎春ロサンゼルス市庁舎をフレームするように咲く24本の桜の色は、公園のテーマカラー「パークピンク」のベンチやテーブルとマッチして、ロサンゼルスらしいヴィヴィッドな春を彩る。この桜は「ピンククラウド」種で、カリフォルニアの温暖な気候に合わせて品種改良されたもの。ワシントンDCへの日米桜寄贈100周年記念して、2012年にグランドパークに植樹された小さな苗木がすくすく育って花を咲かせている。
桜の花を楽しんだ後は「団子」オプションを探しにダウンタウンのグルメスポットへ。グランドパーク入口付近にいくつかあるメキシカンスナックのカートでは、唐辛子とレモンをかけたマンゴーや豚の腸を揚げたチップス、チチャロネスを売っている。
DTLAの食名所「グランドセントラルマーケット」も徒歩ですぐ。食市場だったマーケットにはロサンゼルスの人気店が続々出店していて、いつ行っても行列覚悟の賑わいだ。
ミシェランも認めるロサンゼルス名物Villa's Tacosのタコス、無料で試食を提供するVilla Morelianaの大釜で煮る豚肉カルニタスたっぷりのブリトー、Saritaのエルサルバドルお好み焼きPupusaほか、BBQ、韓国家庭料理、パスタ、寿司、ピザ、サンドウィッチなどオプションは約50店舗から。デザートは熱狂的なファンを持つFat+FlourのパイやMcConnell'sのアイスクリームで季節限定商品を狙うもよし、LaFruteriaのスパイシーなフルーツで締めてもよし。

桜を鑑賞してノスタルジアな和の気分になったなら、公園からちょっと歩いて、リトルトウキョーの和菓子の老舗風月堂へ。1903年創業の和菓子店ではクラシックな桜餅のほか、ヘーゼルナッツチョコのガナッシュをトッピングした春らしい苺あんこもおすすめだ。

稲石千奈美
在LAカルチャーコレスポンデント。多様性みなぎる都会とゆるりとした自然が当然のように日常で交差するシティ・オブ・エンジェルスがたまらなく好き。アーティストのアトリエからNASA研究室まで、ジャーナリストの特権ありきで見聞するストーリーをエディトリアルやドキュメンタリーで共有できることを幸せと思い続けている。