ロンドンの老舗デパート、リバティは今年で創立150周年。それを記念して店内の吹き抜けに巨大な「パッチワークハウス」が登場した。
使われているおよそ1000のパッチワークスクエアは、ポール・スミス、ジル・サンダーなどの世界的なブランドから各国のアーティストやデザイナー、クラフト作家、手芸愛好家が手がけたもの。リバティプリントと呼ばれる定番人気のプリント生地をふんだんに使い、リバティへの愛情と共に作者のリバティへの思い出なども縫い込んでいてどれも美しく、ずっと眺めていても飽きることがない。
「パッチワークハウス」を構成する、趣向を凝らした数々のスクエア。ひと針ひと針想いを込めて作られたものばかり。
19世紀にはウィリアム・モリスを中心とした美術工芸運動「アート・アンド・クラフツ」と共にあり、現在も変わらずに美しい手工芸品を数多く扱うことで知られるリバティらしさで満ちている。
「パッチワークハウス」の下では、そのほかの手の込んだ作品の数々も展示されている。
数多くのスクエアに使用されているリバティの建物をデザインしたファブリックも並ぶ売り場からは「パッチワークハウス」の屋根部分が見える。
また店内4階のイーストギャラリーでは「アイ・アム。ウィー・アー。リバティ。」と題したリバティプリントのアーカイブ展も開催中だ。
「アイ・アム。ウィー・アー。リバティ。」の展示風景。
日本にインスパイアされたと思われるデザインも並ぶ。
デザイン、自然、アートを核としてクリエイトされた美しいプリント生地を贅沢に並べた展示スペースは、まるで夢の国に迷い込んだよう。大胆かつカラフルで、時代を超える名作ばかりの過去の作品を思う存分眺めながら、豊かで決して色褪せることのないその歴史を学べる場となっている。
ファブリックデザインと共に、歴史ある建物の意匠も楽しみたい。
パッチワークハウスは8月12日まで、「アイ・アム。ウィー・アー。リバティ。」展は7月25日まで。会期中にロンドンを訪れるチャンスがあれば、ぜひ足を運びたい展示と展覧会だ。
Regent Street, London W1B 5AH
営)10:00~20:00(月~土)、10:00~18:00(日)
https://www.libertylondon.com/
text: Miyuki Sakamoto

在イギリスライター。憂鬱な雨も、寒くて暗い冬も、短い夏も。パンクな音楽も、エッジィなファッションも、ダークなアートも。脂っこいフィッシュ&チップスも、エレガントなアフタヌーンティーも。ただただ、いろんなイギリスが好き。