【35歳の卵子凍結】仕事や費用は? 一度に多く採卵したい。

Society & Business 2021.10.29

卵子凍結のため、排卵誘発剤を投与し始めたAさんだが、特に体調の異変を感じることなく、前回初めて処方を受けた日から約1週間後の2021年5月7日に3回目の受診を迎えた。血液検査と超音波検査は診察のたびに行う。「毎回、検査結果を見て卵子の育ち具合を調べます。私は人よりも育ち方が遅かったので、卵子を育てるための注射を追加で処方してもらいました。この日からは前回の薬(クロミッド、ヒスロン、ゴナールエフ)に加え、ガニレストというやや強めの効果のある注射が追加され、2種類の注射を交互に使うように指示されました」

こまめに検査をして卵子の育ち具合を見ながら薬の種類を調整していくため、間を置かずに通院する場合もある。

》【35歳の卵子凍結】凍結卵子の生存率と妊娠率は?

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Photo: iStock

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●生理開始から9日目。

5月9日には4回目の受診へ。最初に採卵予定日になるだろうと言われていた5月10日頃だったが……。「この日もいつものように血液検査と超音波検査をして、前回と同じ薬を処方されました。超音波の画像を見ると卵子はたくさん育っているように見えるのですが、やはり育ち方のペースが遅いと言われました。もともと生理の周期が長かったので、時間はかかるのだろうと思っていました」

子宮内を映す超音波の画像には小さい卵子がたくさん映っているものの、順調に成育しているものは15個ほどだったという。そのうち採卵できそうなのは10個ほどで、最終的に保存できる卵子は6~7個だろう、というのが医師の判断だった。「当初、10個を目標にしていたので6~7個というのは正直、少ないと思いました。そこで先生にもう少し採れませんかと相談したら、当初予定していたスケジュールを1~2日遅らせて様子をみましょうということになりました」。薬の投与が増えることによる身体への負担、費用面の負担が頭をよぎったが、できるだけ一度に多く採っておきたいというAさんの意思は変わらなかった。

●生理開始から13~14日目。

続く5月10日にも同じ検査を行い、注射の量を微調整してもらった。「翌日5月11日の受診で、先生から次回が採卵日ですと告げられました。この時点で卵子が育ちきった状態だったので、いったん排卵を抑制する薬を飲み、採卵の12時間前から排卵誘発剤を投与することになりました。このタイミングを逃すと、育った卵子の状態が悪くなってしまうので、ここからはもう先生の指示どおりに従いました」。当初5月11日と言われていた採卵日を、13日に変更。ギリギリまで卵子が育ったタイミングを見計らって採卵するので、スケジュール管理には慎重を要する。「通常のスケジュールだったら保存できるのは6~7個という先生の予想をうかがって日にちを延ばしてもらいましたが、たまたま仕事の調整ができたのでよかったです。状況によっては……難しい場合もありえますね」

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予定採卵日の前後はスケジュールに余裕を。

医師の話を聞いてから、Aさんの採卵目標は10個以上と考えていた。最終的に医師からは15個くらいは採卵をトライするが、実際は10個くらいになるだろうと告げられた。「実際、成熟していない卵子を採って凍結しても、保管にお金がかかるだけで受精は難しいだろうとのことでした。最後の超音波の画像では、卵巣の中が卵子でいっぱいなっていました。これ以上刺激すると卵巣も腫れてお腹も痛くなるとのこと。採卵にベストなタイミングを先生が見計らってくださいました」

Aさんの場合は、採卵前の排卵誘発剤投与による副作用はほとんどなく、日常生活は普通に送ることができたが、身体に負担を感じる場合もある。もしもの時に備えて、病院は自宅や職場から行きやすい場所にしておくと安心だ。「私は、診察日は朝8時に予約を取っていました。杉山産婦人科には不妊治療や卵子凍結で同じように通院されている方が多いですし、血液検査の結果が出るまで1時間はかかるので1〜2時間待合室で待つこともよくあり、午前中の予約でも病院を出るのはお昼くらい。その日の仕事は午後からになりました。採卵希望周期の生理開始から10~15日目あたりは柔軟に動けるように調整しておいたほうがいいと思います」

予定よりも受診回数が多かったAさん。初診の際にかかった¥34,000(各種検査料含む)のほか、採卵までの合計5回の受診と処方箋代にかかった費用はおよそ¥180,000。排卵促進剤の投与期間が短ければもう少し安くなることもあるが、個人差があることも認識しておきたい。「私の場合は卵子の成長に時間がかかったのと、なるべく多くの卵子を採りたいと希望したので、パンフレットに書かれていた最短コースの金額よりは費用もかさみました」

人体の仕組みは未知な部分が多く、卵子の成長にも個人差がある。費用の目安はあくまでも参考として捉えておいたほうがよいだろう。
 

【卵子凍結の一般的なスケジュ―ル】

初診
医師との面談の結果、卵子凍結を決めた場合はその場で血液検査と超音波検査を行う。

生理開始2〜4日目
初回の検査結果と別に、血液検査によるホルモン値のチェック、超音波検査。ホルモン値が良好であれば、自宅あるいはクリニックで毎日皮下注射と薬の服用をスタート。ホルモン値によっては今周期の採卵は中止。

生理開始5〜10日目
人により、採卵までにさらに1回~数回通院。卵子成長の具合を確かめながら、その後の注射回数などを調整。

生理開始9〜10日目
卵子が十分成熟したら採卵日を決定。いったん排卵誘発剤投与をやめ、採卵12時間前に排卵誘発剤を服用開始。

生理開始11〜13日目
採卵施術(日帰り)、卵子保存を経て終了。

 

Aさん

都内在住の35歳、会社員。新卒から勤務する会社に在席して14年目。順調にキャリアを重ねている。学生時代から何人か交際した男性はいるものの、現在まで独身。サバサバした性格と面倒見のよさで周囲からは頼りにされる存在。趣味は読書と映画鑑賞。

 

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cooperation: Rikikazu Sugiyama(Sugiyama Clinic) text: Junko Kubodera

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