満ち足りて生きるため、自分と向き合う3つの方法。
Society & Business 2022.10.08
毎日忙しく過ごしていても、なんだか「満ち足りなさ」を感じる……そんな時こそ、自分自身と向き合うチャンスかもしれません。これからの人生に納得し、満ち足りて生きるための自分との向き合い方について、40代以上の女性のセカンドライフ&キャリア選びをサポートをする株式会社セカミー代表取締役の増田早希さんに紹介してもらいました。
「満ち足りなさ」を感じる時こそ、自分を見つめ直すチャンスかも。photogrpahy : iStock
文:増田早希
一口に自分と向き合うと言っても、さて何から始めていいものか……なかなか難しいのが正直なところではないでしょうか。そこで今日は、私が実際に体験してこれはよさそう、と感じた3つの方法をご紹介します。
#1. まずは一人で始めたい人に「ジャーナリング」
まずは一人で自分と向き合ってみたいという方には、誰にも見せない「自分だけのノート」をつくることをおすすめします。書く瞑想、ジャーナリングとも呼ばれる方法です。用意するのはお気に入りのノートと書きやすいペンだけ。あとは心の中に浮かんだことばをそのまま書いていきます。
<書き方アイデア>
自由にどうぞ、と言われると書きづらいという方は、まずは
・1日1回ノートを開いて日付を書く
・その時思いつくことがあったら一言書く
を1週間続けてみてください。その上で余裕が出てきたら、
・できたことメモ(朝起きられた、買い物に行けた、きれいな夕日を見れた、etc.)
・日常の中で感じた「好き」「いいな」リスト
・人から言われた嬉しいことば
・自分内人物相関図(自分を中心においた人間関係のリストアップ)
などを書いてみてもいいかもしれません。メモやイラスト、グラフなどなんでもあり。日記のように毎日つけなくても、心が動いた時だけでかまいません。
実は私も大学生時代から10年以上、累計80冊ほど手書きの記録をつけています。ノートの中で自問自答を重ねる過程で自分の輪郭がわかってきた感覚があります。喜びも怒りやドロドロした感情も「自分の全部を出す」くらいの気持ちで書いてみてください。きっと見えてくるものがあるはずです。
「LetterMe(レターミー)」
未来の自分に向けて月に一回手紙を描くサブスクリプションサービス。オンラインで複数人で同時に時間をとって集中しながら自分への手紙を書く時間、なかなかいいものです。代表の西村さんが紙にこだわってつくったレターセットも素敵。月額1,485円[税込]。無料体験会もあります。
https://lp.letterme.tokyo/
吉川めいがガイド!
【10/29(土)開催】「書く瞑想」ワークショップ参加者募集!
日々の慌ただしさやSNSからの情報の波に呑み込まれて、自分の外側の出来事ばかりに意識が向いていませんか?
そんな方に特におすすめ! 自分の内へと戻る時間をもたらす「書く瞑想」のワークショップをフィガロマルシェで開催します。講師はVeda Tokyo主宰、ウェルネスメンターの吉川めいさん。ワークショップでは「書くこと」を出発点に、自分と向き合い、客観的に自分を見つめる体験をします。詳細はフィガロマルシェのサイトをチェック:https://marche.madamefigaro.jp/products/journaling
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#2. 自分とじっくり向き合いたい人に「カウンセリング」
カウンセリングと聞くと、抵抗感を感じる人もいるかもしれません。数年前まで私もそうでした。そんな私がカウンセリングを受け始めたきっかけは、転職活動がうまくいかず屋外で涙が止められなくなってしまったこと。心理学部卒の友人が共有してくれた「おすすめクリニックリスト」の存在をふと思い出し、その足で一番近い施設に駆け込みました。
私が思うカウンセリングの魅力は「心理的安全性と切れ味のよい問い」です。自分では想像もしなかった問いや目線を担当カウンセラーが投げかけてくれた時、暗いトンネルから抜け出すための小さな光がもらえたような希望が持てます。1時間5,000〜15,000円ほどの安くないお金を払って、誰にも言えない個人的な話の出口をつくっている感覚です。
<カウンセラーの選び方>
心理に関する資格は数多くあり、どんなカウンセラーを選べばいいのかわかりづらい状況です。個人的には大学院まで勉強して取得する「臨床心理士」か国家資格「公認心理師」を持っている人をおすすめします。その上で勤務経歴や得意分野を確認して、この人になら話してもいいかもと思える人を見つけてみてください。
「cotree(コトリー)」
自宅から気軽に受けられるオンラインカウンセリングサービス。私は夜中につらくなったときにcotreeを使って、数十分後に話ができるアメリカ在住のカウンセラーの方とつながれたことがあります。カウンセリングを初めて受ける人や「いまこの瞬間、話を聞いてほしい」というときに便利。価格帯も45分5,500円[税込]と比較的安価です。
https://cotree.jp/
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#3. 具体的な行動を起こしたい人に「コーチング」
最後に紹介するのがコーチングです。私は今年7月、生まれて初めてコーチングを受けました。コーチングにもいろいろな流派があるそうですが、私はフィガロマルシェで提供されていたCTIジャパンのコーチング体験会に参加してみました。
CTIジャパンが提供するコーアクティブ・コーチング®は、クライアント(話し手)自身に焦点を当てるコミュニケーションを通してクライアントの意識や行動の変化を促すのが特徴だといいます。主役はあくまでクライアントで、コーチとクライアントの二者間の関係性を築きながら対話を進めます。私が参加した体験会では、まずはコーチングの概要を30分ほど伺った後、2人のコーチに15分のセッションを1回ずつの計2回、話を聞いてもらいました。
【関連記事】イベントリポート:あなたの可能性を拓くコーチングの世界。
「モヤモヤが溜まっているとしたら身体のどこの部分に? それはどんな色?」など、話の内容だけでなく、クライアント(自分)の仕草や身体性への言及があるのが印象的でした。個人的に嬉しかったのは、コーチが「これまで心も身体も全部使って、よりよく生きるための実験をたくさん重ねてきたんですね」とことばをかけてくれたこと。「あ、私って意外に頑張って生きてきたのかも」となんだか自分がちょっといいものに思えました。
<カウンセリングとコーチングの違い>
体感ですがカウンセリングよりコーチングの方がコーチとクライアントが双方向にコミュニケーションをとるという印象がありました。たとえば、コーチが直感を用いながらクライアントから伝わってくるものを率直に伝えたり、受け取った『人柄』をそのまま言葉にするなど。そういった意味では、コーチとの相性もより大事になりそうです。また「カウンセリングはマイナスからゼロ、コーチングはゼロからプラス」の領域を扱うとはよく言われますが、個人的にはクライアント側次第でいかようにでも活用できると思います。ちょっとお疲れ気味で時間をかけて丁寧に自分に向き合いたいときはカウンセリング、行動の道筋を具体化したい!というエネルギーがあるときはコーチング、と使い分けるのも手かもしれません。
「CTIジャパン」
国際コーチング連盟(ICF)で初めて認定された世界的なプロコーチ養成プログラムを提供している団体。クライアントの内側の欲求や「あり方」を重視したコーアクティブ・コーチングが特徴。オンライン体験会(5,500円[税込])も定期開催されています。
https://www.thecoaches.co.jp/
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何より大切なのは個としての相性
もし一対一で対話するサービスを利用する場合、なにより大切なのは「話を聞いてくれるカウンセラー、コーチとの相性」です。病院で自分にぴったりハマる医師に出会うのが難しいのと同じように、カウンセリングやコーチングで相性がよい人に出会うまでも時間がかかります。
1人目がしっくりこなくても、すぐに私には向いていないと判断しきらず信頼できる人に出会えるまで少しだけ我慢してみてください。
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向き合い方のレパートリーを持つ
今回紹介した3パターン以外にも、複数人で集まるワークショップ形式のプログラムや共通の悩みを持つ人同士の「自助グループ」など、自分との向き合い方はさまざま。最近はセルフケアをテーマにしたアプリ(「Awarefy」、「いつでもおかえり」等)も増えています。
小児科医の熊谷晋一郎さんが提唱する「依存先の分散」という考え方をお手本に、今日はヨガ、明日はコーチング、明後日は瞑想……と、向き合い方のレパートリーをたくさん持っておくことが、他者に依存せず自分に力点を置いて納得して生きるための近道なのではないでしょうか。
増田早希 / Saki Masuda
株式会社セカミー代表取締役。
早稲田大学卒。講談社、コネヒト、マガジンハウス『GINZA』編集部、TENGA等に在籍し、女性向けサービスのブランディングを複数経験。2021年8月起業。40−60代女性のセカンドライフ&キャリア選びのプログラム「セカミー LIFE Re:DESIGN CAMP」を主催。
セカミー:https://secome.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/masudasakism
Twitter:https://twitter.com/masudasakism
text : Saki Masuda