Business with Attitude 子どもを貧困から救い、サポートする、とっておきの一着を!
Society & Business 2022.10.24
衣食住、そして働くという日々の暮らしを大切にしてきたフィガロジャポンの新プロジェクトBusiness with Attitudeは今年3月、日常の課題を解決し、よりよい明日に繋がるビジネスアイデアを広く一般から募るピッチコンテストを初開催。100件を超える応募が寄せられ、その中からファイナリスト6組を選出した。
暮らしをより美しく、豊かにする6組のアイデアを紹介する。
Professional Award
スタートアップ企業、および起業構想があるすべての女性を対象にした部門。メディア掲載や専門家のサポートを通して、今回のファイナリストのビジネスの成長をサポート。
#02
Contestant|坂田ミギー クリエイティブディレクター
Pitch Title|SHIFT 80
福岡県出身。博報堂ケトルを経て、2015年に独立。22年にSHIFT 80 を設立した。現在は、キャンピングカーで各地を旅しながら働くライフスタイルを実践中。
子どもを貧困から救い、サポートする、とっておきの一着を!
クリエイティブディレクターとして働く傍ら、2018年からは、アフリカ最大のスラム街といわれるケニアのキベラ地区の学校で、女子学生に向けた「生理の貧困」問題に取り組んできた坂田ミギー。自費を充てて支援をしてきたが、これからも持続可能な形でサポートを進めていくため、22年2月、エシカルファッションブランドのSHIFT 80を立ち上げた。「ファッション業界で働いた経験はないし、自分の服選びにも自信はない」と控え目に語る彼女だが、わずか1年の準備期間で、鮮やかで美しく、「自分以外の誰かのため」になるファッションブランドを創り上げた。彼女を突き動かすのは、「私の価値観を変え、生きやすくしてくれたキベラの人たちに恩返ししたい」という思いだ。
>>【ピッチを見る】生理の貧困問題を解決する、エシカルアパレルブランド。
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卒業生が憧れの存在になるよう、モデルには現地の学校のOB、OGを起用。縫製作業による雇用も生まれているという。
Q1. どんな課題に取り組んでいますか?
SHIFT 80は分配可能な利益の80%をアフリカに還元するエシカルブランド。購入者の投票を受け、「女性」「被虐待児童、孤児」「貧困児童の学費」「障がい児」支援のために利益を使います。服のデザインはキベラの学校の創立者でデザイナーでもあるリリアン・ワガラが担当。一部アイテムを現地の人に制作してもらうことで、雇用を生み出します。また循環素材などを使用するなどし、地球と、「自分以外の誰かのため」になる一着を目指します。
Q2. ビジネスを始めようと思ったきっかけは?
30歳の頃、過労で倒れたことをきっかけに世界一周の旅へ。そこで立ち寄ったケニアのキベラ地区で、豊かとは言えない環境でも「毎朝目が覚めただけで幸せ」と語る人々に出会い、価値観が大きく変わりました。一方で、親のネグレクトや貧しくて生理用品が買えずに学校に行けない子どもたちもいる。キベラへの恩返しという意味で、子どもたちの学びを継続的に支援したいと思い、現地の雇用に繋がるビジネスを立ち上げました。
Q3. 現在の課題、そしてビジネスを通じて描く未来を教えて下さい。
コロナの影響でなかなか頻繁に現地とを行き来できず、現在は日本の縫製工場に協力してもらい服を作っています。今後は現地でもオーダーメイドで服を作れる体制を作り、さらなる雇用を広げていきたいです。私が目指しているのは、分かち合うのが当たり前の社会。お金だけではなく、能力や知識、経験などをたくさん持っている人が、持っていない人とシェアできる社会を、SHIFT 80の取り組みを通してつくっていけたらと思っています。
現地の学校の生徒たちと坂田。
*「フィガロジャポン」2022年9月号より抜粋