日本の人事部が注目するベネッセのキャリア支援プログラム、ウィズバトンズとは?
Society & Business 2025.08.25
管理職候補となる女性社員を対象にした、ベネッセコーポレーション(以下ベネッセ)のキャリア支援プログラム「withbatons(ウィズバトンズ)」が、日本の人事部主催「HRアワード2025」プロフェッショナル部門で2年連続の入賞を果たした。企業の壁を越えてキャリアの可能性を照らす新たな仕組みが、多様性推進の実効策として支持を広げている。

女性活躍をめぐる企業の取り組みに対し、「現場での実効性」や「持続的なインパクト」が問われるようになっているいま、その両方を兼ね備えたプログラムとして注目を集めているのが、ベネッセが提供するウィズバトンズだ。
2024年にスタートしたこのサービスは、主に管理職を目指す女性社員を対象に、社外の現役女性リーダーとの1対1のメンタリングを中心としたプログラムを展開。外の世界で活躍するロールモデルとの6回の対話を通して、キャリアの軸やリーダーシップ観を言語化し、当事者の内なる意欲を引き出していく。
プログラムには、キャリア研修やアセスメント、企業ごとのレポートも含まれており、個人の成長と同時に組織全体の変革を後押しする設計となっている。メンターとして登場するのは、他社で活躍する等身大の女性リーダーたち。製造、ITサービス、建設、医療福祉業などさまざまな業界の4、50代を中心にメンターとして活動。プロのコーチやカウンセラーとは異なるリアリティが、多くの受講者の心を動かしてきた。
今回のHRアワード2025では、こうした実効性と拡張性のある仕組みが評価された。2年連続で同一サービスが入賞するのはアワード史上初の快挙。厚生労働省の後援を受けるHR分野の権威ある賞で、今後は37万人の正会員による投票と選考委員会によって、最優秀賞・優秀賞が決定される。
ウィズバトンズは、開始から1年で約100社に導入され、参加した女性社員のキャリア意識にも明確な変化が現れている。たとえば「キャリアの見通しが立っている」と答えた割合は、導入前の17%から84%へと急伸。「管理職になりたい」という意欲も、33%から70%にまで高まったという。

また、プログラム終了後には、企業ごとに約50枚に及ぶ分析レポートが提供され、自社の女性活躍推進の課題が他社との比較のもと可視化される。組織変革に向けた示唆が得られる点も、企業人事から高く評価されている要素のひとつだ。
「ひとりの意欲が、組織の景色を変える」──そんな視点から生まれたこのプログラムは、ダイバーシティ推進に真剣に取り組む企業にとって、有力な選択肢となりつつある。ウィズバトンズの詳細や投票情報は、HRアワードの公式サイトにて公開中。人と組織の未来を形づくる、静かな革命にいま、注目が集まっている。
text: Kotomi Narimatsu(Routusworks)