FEATUREin PARIS
パリ在住の編集者がおすすめする、いま注目のうつわ作家9名。
2024.05.31
陶芸ブームのパリで、デザイナーや建築家からうつわ作家に転身するパリジェンヌが急増! クラフト好きの元フィガロジャポン編集者、鈴木桃子が素敵な作家たちを訪れた。
Léa Baldassari
レア・バルダサリ
メイクアップアーティストを目指していたレアだが、コロナ禍で始めた陶芸に夢中になり陶芸家に転向。
モノトーンによって際立つ、ユニークで自由なフォルム。
2020年より独学で陶芸を始め、若い感性で注目を集めるレア・バルダサリ。大きくて丸いハンドルが飛び出ているようなマグカップをはじめ、ユニークで自由なフォルムが特徴。色の釉薬は使わず、白土や黒土の釉薬を用いることにより、フォルムがさらに際立つデザイン。手びねりならではの指跡が残る、ざらりとした独特な質感で、ひとつひとつ異なる表情も愛おしい。手仕事の繊細な佇まいながら、軽やかで日常使いしやすいのも魅力。
左奥のマーブル模様のマグカップ各38ユーロ。左の2色の白で構成したマグカップ大38ユーロ、小32ユーロ。左下は、ラフに仕上げた縁が印象的なプレート小各35ユーロ、大各38ユーロ
Studio des Rosiers
ステュディオ・デ・ロジエ〈1区|バスティーユ〉
12, rue Saint Sabin 75011
Ⓜ︎BASTILLE
営)10時~18時
休)土、日
https://studiodesrosiers.com
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Lucia Mondadori
ルチア・モンダドリ
レア・バルダサリより少し前に陶芸を始めたルチア。ふたりは昨年バスティーユに共同アトリエを構え、陶芸教室も開催している。
優美で抽象的な曲線は、女性の身体をイメージ。
ブラジル生まれのイタリア人であるルチア・モンダドリは、デザイン関係の仕事に就いた後、2018年に陶芸をスタート。丸みを帯びた女性の身体をモチーフに、抽象的で彫刻的な花器やオブジェを生み出す。耐火煉瓦の材料として用いられるフランス産の土を材料にして、ざらりとした質感のプリミティブな佇まいに。曲線の造形美に土の力強さが垣間見られる作品は、アートオブジェのような存在感で美しい空間を演出してくれる。
レアと同じバスティーユの共同アトリエで作陶しているルチア。ショーウィンドウのデザイン担当だったという彼女は、花器やキャンドルホルダーなど、空間に映えるオブジェ作りを得意とする。上左から、花器600ユーロ、160ユーロ
Studio des Rosiers
ステュディオ・デ・ロジエ〈11区|バスティーユ〉
12, rue Saint Sabin 75011
Ⓜ︎BASTILLE
営)10時~18時
休)土、日
https://studiodesrosiers.com
Brutal
ブリュタル〈11区|ヴォルテール〉
19, rue Pétion 75011
ⓂVOLTAIRE
営)12時~19時(水~金)、14時~19時(土)
休)日、月、火
https://brutalceramics.com
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Atelier Sôvage
アトリエ・ソヴァージュ
植物をモチーフに、甘く可憐な白一色の世界観。
グラフィックデザイナーだったマルスカ・パチョラズが、陶芸家に転向したのは2年前のこと。パリ郊外の自然豊かな環境で、植物からインスピレーションを受けて作陶している。なめらかな質感としなやかなフォルムのストーンウェアにモデリングの技術を駆使し、彫刻的なエッセンスをプラス。雫を彷彿とさせる粒の縁取りや型押しすることで花びらのようなフォルムに仕上げたプレートなど、甘く可憐な世界観は人気の予感。
左上から時計回りに、丸い粒で縁取った小皿26ユーロ、型押しのデザート皿各30ユーロ、穴に花を生けたり多様に使えるプレート22ユーロ、型押しのオーバル皿 小22ユーロ、大45ユーロ、細いラインで縁取ったオーバル皿 小22ユーロ
Panorama Mundi
パノラマ・ムンディ〈3区|北マレ〉
13, rue Fille du Calvaire 75003
tel:01-88-61-01-35
Ⓜ:FILLES DU CALVAIRE
営)10時~19時30分(月~水、金~日)、10時~20時(木) 無休
https://panoramamundi.com
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Sirane
シラーヌ
2021年、シラーヌは生まれ育った14区にアトリエ兼ショールームをオープン。
ギリシャ×北欧スタイルで、ひとクセあるミニマリズム。
大学で建築を学ぶ中で陶芸に興味を持つようになったというシラーヌは、ギリシャのコルフ島やコペンハーゲンのアトリエで修業を積んだ。古代ギリシャの石器に見られるナチュラルな色調や質感、北欧のクリーンでモダンなスタイルを融合し、ミニマルで洗練されたストーンウェアを展開する。光沢のある透明釉薬を用いたクラシックなフォルムに、マグカップの小さなハンドルなど、ひとクセあるデザインが新鮮な印象だ。
左から、小さすぎるハンドルが愛らしいカップとソーサー32ユーロ、実用的でシンプルなプレート各18ユーロ、アイスクリームゴブレット(2個セット)75ユーロ
Sirane
シラーヌ〈14区|ダンフェール=ロシュロー〉
7, rue Liancourt 75014
ⓂMOUTON DUVERNET
www.sirane-ceramic.com
※ウェブサイトの問い合わせ先よりアポイント制
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Léa Guetta
レア・ゲタ
https://leaguettaceramique.com
11区の共同アトリエに参画するレアは、陶芸教室でも定期的に教えている。
シェフという経歴をもとに、目を楽しませ使いやすさにこだわる。
元シェフのレア・ゲタは、レストランで人々に楽しませるうつわを手がけたいと独学で修業、5年前に陶芸家に転向。シェフとしての経験をもとに、料理を美しく見せてくれる釉薬や質感をイメージし、使い勝手のいいうつわを生み出す。鮮やかなグリーンや淡いブルーなど、独特な発色の釉薬を作り、釉薬を積み重ねたひとつひとつ異なる表情を持つ色合いが見どころだ。ディテールにこだわった、均一な厚みの隙のないフォルムも美しい。
シグネチャーのひとつである緑色の釉薬のティーポット160ユーロ、用途を限定せず使えるボトル55ユーロ、日常使いしやすいボウル白32ユーロ、グレー42ユーロ
La Souterraine
ラ・スーテレーヌ〈11区|シャロンヌ〉
75, rue Léon Frot 75011
tel:06-76-02-45-22
ⓂCHARONNE
営)10時~19時30分(月~金)、11時~19時30分(土)
休)日
https://lasouterraineceramics.com
Brutal
ブリュタル〈11区|ヴォルテール〉
19, rue Pétion 75011
ⓂVOLTAIRE
営)12時~19時(水~金)、14時~19時(土)
休)日、月、火
https://brutalceramics.com
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Dunp
ダンプ
アトリエ兼ショールームで作陶するニコレッタ。
料理が映えると評判! 武骨で味わい深いストーンウェア。
セプティムをはじめ、パリの名だたるレストランで愛用されている、元建築家のニコレッタ・ブラマッジョーレのうつわ。ニュアンスあふれるスモーキーな色合いとマットな質感、モダンな佇まいが料理を引き立ててくれると評判だ。フランス産の土を使用、草木灰や土など自然原料をもとに作った独自の釉薬で仕上げている。アジアの骨董品からも着想を得ていることから、そこはかとなく和のエッセンスも漂ううつわは、和食とも相性ばっちり。
左から、パスタや肉料理と相性抜群のローボウル各40ユーロ、保温性の高いコーヒーフィルター40ユーロ、ミルクポット40ユーロ、淡いブルーの小ボウル各22ユーロ、茶色の釉薬が深みのある湯呑み各18ユーロ
ナシヨン近くに自身のアトリエを構える。
Dunp
ダンプ〈11区|ナシヨン〉
12, rue des Immeubles Industriels 75011
ⓂNATION
www.d-u-n-p.com
※ウェブサイトの問い合わせ先よりアポイント制
Boutique Générale
ブティック・ジェネラル〈3区|マレ〉
6, rue du Pont aux Choux 75003
tel:09-52-90-08-38
ⓂST SÉBASTIEN-FROISSART
営)11時30分~19時
休)日、月
@boutiquegenerale
Brutal
ブリュタル〈11区|ヴォルテール〉
19, rue Pétion 75011
ⓂVOLTAIRE
営)12時~19時(水~金)、14時~19時(土)
休)日、月、火
https://brutalceramics.com
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Kats
カッツ
カティアの自宅兼アトリへは訪問可能。
元デザイナーの感性で、豊かな起伏や動きを紡ぎ出す。
ファッションデザイナーとして活動した後、2007年に陶芸家の道へ進んだカティア・スサン。鉱物や自然物の有機的なフォルムに惹かれ、手仕事ならではの不揃いな線や跡を大切に作陶。またテキスタイルデザインの経験から、布のドレープを彷彿とさせる起伏や動きを表現。そうして作られた抽象的なユニークピースは、土自体の力強さを感じさせ、詩的な存在感を醸し出す。テーブルや花器など、彼女の作るインテリア雑貨にも注目。
左から時計回りに、取っ手に模様を施した大きなプレート180ユーロ、釉薬でヴィンテージのような風合いに仕上げた大プレート90ユーロ、布のドレープを思わせる立体的な縁取りの深皿50ユーロ
Kats
カッツ〈オベルカンフ〉
住所非公開
tel:06-25-58-66-09
ⓂRUE ST MAUR
http://kats-creation.fr
※ウェブサイトの問い合わせ先よりアポイント制
Brutal
ブリュタル〈11区|ヴォルテール〉
19, rue Pétion 75011
ⓂVOLTAIRE
営)12時~19時(水~金)、14時~19時(土)
休)日、月、火
https://brutalceramics.com
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Marion Graux
マリオン・グロー
2013年より陶芸家として活躍するマリオン。料理を美しく見せてくれると、シェフたちから人気だ。
優しく淡い色使いが、女性から圧倒的に支持される。
インテリアスタイリストを経て陶芸の道に進んだマリオン・グローは、数々のレストランからオーダーを受ける人気作家。優しく淡い色合いのニュアンスカラーと、ナチュラルな曲線を描いた薄いプレートが持ち味だ。釉薬を重ねて使うことによって、ピンクやブルー、グレイッシュなど、同じ色でも絶妙に異なる色彩に仕上げている。豊富なバリエーションから色違いやサイズ違いで揃えて、テーブルスタイリングを楽しみたい。
奥から、釉薬の出方や厚み、フォルムがひとつひとつ異なる人気の小皿各25ユーロ、サイズやカラー違いでスタイリングも楽しめるプレート大80ユーロ、中60ユーロ、小25ユーロ
9区のアトリエ兼ショールームはアポイント制で訪問可能。
Marion Graux
マリオン・グロー〈9区|北駅〉
46, rue de Dunkerque 75009
tel:06-62-27-23-44
ⓂANVERS
営)14時~16時
休)土、日
www.mariongraux.com
※ウェブサイトの問い合わせ先よりアポイント制
>>マリオン・グローのお皿はFIGARO Marchéでも販売中!
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パリジェンヌ、仕事の情熱:陶器を作るマリオン・グロー。
マリオン・グロー、パリの一軒家風アパルトマンを彩る母から学んだ美意識。
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Elsa Haas
エルザ・ハアス
うつわのほか、ランプや花器も手がける。アトリエはアポイント制で、オンライン購入後に引き取りできる。
しなやかな白磁に、青いドットをちりばめて。
学生時代にアートの歴史を勉強し、フランス人彫刻家ヴァランティーヌ・シュレーゲルにインスパイアされ続けてきたというエルザ・ハアス。しなやかでナチュラルな曲線を描いたうつわが、それを物語っている。なめらかな質感にこだわり、ユニークなテクスチャーを見つけては再現できないか実験。釉薬の研究にも注力し、白い釉薬に青い色素をちりばめたスタイルが印象的だ。品の良い佇まいで、どんな料理も軽やかに包み込む。
左から時計回りに、青いドットの大ボウル各34ユーロ、有機的なフォルムの大プレート各32ユーロ、三つ編みのような縁取りの小プレート各23ユーロ、青いドットのマグカップ大30ユーロ、小28ユーロ
Elsa Haas Atelier
エルザ・ハアス・アトリエ〈サンマルタン運河〉
住所非公開
ⓂGARE DE L'EST
www.elsahaas.fr
※ウェブサイトの問い合わせ先よりアポイント制
鈴木桃子
1987年生まれ。パリ在住エディター、ライター。出版社勤務を経て渡米。2016年よりフィガロジャポンで編集者として活躍し、22年秋にパリへ移住。作家ものに惹かれ、パリでもうつわを収集中。FIGARO.jpにて「35歳、シングルマザーのエディターが、パリに移住してみたら」更新中。@momoko____szk
※掲載情報は「フィガロジャポン」2024年5月号より抜粋