update:2024/05/29
公園の向かい側、ベルジェ通りとヴォーヴィリエ通りのコーナーにUNOはある。モリス広告塔が目印。
3年前カノペが完成し、レ・アールのルネッサンスが話題になった。アラン・デュカスのレストラン、フィリップ・スタルクがデザインした大食堂などもでき......。その後も周辺のリニューアル工事が続き、レ・アールに一時期付いて回った"ドラッグ売買の地"という危険なイメージはいまや昔だ。
昨年は、フレンチ・グルメ界のスターシェフ、ジャン=フランソワ・ピエージュが名物レストラン「La Poule au Pot(ラ・プーロポ)」を蘇らせて、レ・アールのイメージアップにさらに貢献。そのプーロポのすぐ近くに2カ月前、カジュアルな雰囲気のイタリアン・トラットリア「UNO(ウノ)」がオープンした。 昼に開店し、23時30分までノンストップ営業しているので、半端な時間でもイタリアン・タパスとグラスワインで寛げる。
このトラットリアのおすすめは、なんといっても毎朝、キッチンで作られるフレッシュパスタだ。タリアテッレ、フジッリ、リングイーネ、ニョッキ......。季節の素材に合わせて変化するメニューだけど、カラスミとレモンのタリアテッレは人気ゆえにメニュー変われど常にオーダーできる。優しい味のクリーム、レモンの酸味がベストに茹で上げられたタリアテッレに絡み、薄切りのカラスミがほのかな塩味とともに、そのタリアテッレにさらに絡んで......幸せが口を満たす、という絶品だ。
このトラットリアはピザのファンも満足させてくれる。というのも、ピザ生地はベルヴィル、モンパルナスに店を構える味自慢のピザ屋「Tripletta(トリプレッタ)」のレシピ。10種類(10〜21ユーロ)から選べ、さらにツナ、ハムなどトッピングの追加も可能である。店名をつけたウノ(17ユーロ)は、モッツァレラ(フルール・ドゥ・レ)、アーティチョーク、アーティチョーク・ペースト、ルッコラ、パルメザンのピザで、これまた人気である。
オープンキッチンを空間中央に据えた、カジュアルで温かみのある内装を担当したのはDOD(ダヴィッド=オリヴィエ・デコンブ)。シェフは意外にもイタリア人ではなく、フランス人のジュリアン・シュヴァリエである。オーナーのダヴィッド・スーサンはこれまでは伝統的フレンチのレストランを経営していたそうで、ウノは彼にとって初のイタリアンだ。ワインはイタリア産のナチュラルあるいはビオダイナミックを揃え、いまパリっ子の集まりに不可欠なカクテルも数種......と意欲的。オープンして間もないものの、雰囲気も味もよしとあって、ランチタイムには界隈で働く人たちが続々と集まってくる。
ウノがオープンしたレ・アールそのものも再開発地だが、その周辺の動きも活発だ。2020年の早い時期に開館予定の安藤忠雄によるピノー財団の美術館は、ウノのすぐ近く。同じ1区内、LVMHによるかつてのデパート、サマリテーヌの工事は一時期中断されたことがあったが、いまや着々と進行。その一部であるリヴォリ通り側の建物では、SANAAによるガラスの波うつカーテンを通りがかりに眺めることができるのでセーヌ河方面から ウノを目指すとき、気にかけてみよう。


11時30分〜23時、イタリアン・タパスが楽しめる。ブラータ(10ユーロ)、ブレザオーラとケッパー(8ユーロ)、グリーンオリーブとパルメザンチーズ(8ユーロ)など、種類豊富だ。©Nicolas Stajic
カラスミとレモンのタリアテッレ(18ユーロ)。
前菜から。レモンコンフィとスモークニシン入りグリーンピースのポタージュ(10ユーロ)。
フレッシュパスタ、ピザだけでなくメインには肉、魚料理もメニューに並ぶ。©Nicolas Stajic
ピザのオーダーは、ウィークデーのディナーは23時まで、そして週末は11時30分から23時まで可能。©Nicolas Stajic
デザートはパンナコッタ、ティラミス、カプレーゼタルトなどイタリアンクラシック。©Nicolas Stajic
店内、オープンキッチンが広がる最初のスペース。©Gilles Trillard
ふたつめのスペース。©Gilles Trillard
店のいちばん奥には貯蔵庫と秘密のテーブル! ©Gilles Trillard
覆いが取り払われ工事の進み具合が見えるようになったサマリテーヌ。
SANAAが建築を手がけるリヴォリ通りに面した建物。ガラスの波うつ壁に、向かいの建物が写り込む。
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INFORMATION
UNOウノ<1区>
37, rue Berger 75001
01・42・36・20・47
LES HALLES
12時〜23時30分(ランチ12時〜14時30分、ディナー19時30分〜22時30分、イタリアン・タパス11時30分〜23時) 無休
réalisation:MARIKO OMURA
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