鎌倉通に聞く、私的お気に入りアドレス。 #05 フィガロ編集者が愛する、鎌倉の食と空間とうつわたち。

Travel 2018.10.31

鎌倉生まれ、鎌倉育ちという「フィガロジャポン」の編集IGAが、プライベートのお気に入りショップをご紹介。この街らしい上質を集めたようなお店はどれも、鎌倉らしい心地のよい自然に包まれて。

1. カフェ・カエル

木漏れ日が差す部屋で、滋味あふれるカフェランチを。

鎌倉宮、瑞泉寺、浄妙寺など、趣あふれる神社仏閣が点在する静かな二階堂エリア。子どもたちの声がひときわ響き渡る鎌倉市立第二小学校の目の前に、炭黒の壁が美しいシックな一軒家がある。

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ランチメニューから「季節野菜のどんぶり(お味噌汁付き)」¥1,620。毎朝、レンバイ(鎌倉市農協連即売所)で手に入れる新鮮な鎌倉野菜を、ひとつひとつ素材に合わせた調理法で仕上げていく。旬の野菜は最低10種は盛られるという、野菜好きにはうれしいひと皿。

入り口から緑あふれる庭を抜けて、温かみのあるリビングへ。カウンターではマスターの五十嵐哲男さんが、丁寧にハンドドリップでコーヒーを落としている。地元の名店「石かわ珈琲」の豆を使った味わい深いコーヒーもさることながら、季節野菜をふんだんに使ったランチも人気。開業前から、茶懐石の一種である普茶料理の研究をしてきた妻の美江さんが作るメニューはどれも、素材が生きたシンプルで上品な味。このランチを求めて、わざわざこの場所に足繁く通う客も多く、その味は秀逸。「料理ももちろんですが、美江さんが長年手を加え続けている庭にも、いつも癒やされています」と、編集IGA。ついついおいしい食事に夢中になってしまうが、敷地内に点在する愛らしいカエルコレクション探しもお忘れなく。

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アメリカ人建築家による築70年の建物は、シックで趣のある空間。コーヒーの香りと温かな日差し、素敵な本の数々、カフェのよさを凝縮したような場所。

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カフェは、市立第二小学校の目の前。さりげない看板が目印だ。

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カエル好きというオーナーのもとに、自然と集まってきたという愛らしいカエルのオブジェが敷地内のそこここに潜んでいる。

Café Kaeru
鎌倉市二階堂936
tel:0467-23-1485
営)11:00〜17:00 
休)水、木、不定休
https://cafekaeru.com

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2. 石窯ガーデンテラス

お寺の境内に佇む洋館で、英国ガーデンと美食を堪能。

美しい衣張山が、四季折々の姿を見せてくれる自然豊かな寺院、浄妙寺。その境内を上へ上へと上ると、築96年というクラシックな洋館が見えてくる。まるで隠れ家のような場所だが、中に入ると大きな石窯や暖炉、薪ストーブのある温かな空間が出迎えてくれ、さらに目の前の本格的なイングリッシュガーデンは息をのむ美しさだ。スコットランド出身のガーデナー、ニコラス・レナハンさんが15年をかけて手を加えている庭では、季節の花々に加えて珍しいハーブ類が風にゆれている。

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レストランは、360度緑に囲まれた小高い丘の上に。手入れが行き届いたイングリッシュガーデンでは、幸福の庭に訪れるというフェアリーリング(芝に現れるリング)を探してみて。

「窓辺からの眺めが大好きで、ゲストが来ると必ず案内するレストランです。ここの石窯パンもおいしいですが、お料理もとても手が込んでいるんです」と、編集IGAも太鼓判を押すパスタのランチは、日によって変わる新鮮な鎌倉野菜の旨味と、味わい深い魚介とのコラボレーションが、何とも贅沢に口いっぱいに広がる。本格的なアフタヌーンティーセットも密かな人気で、紅茶を片手に談話する客も多い。美しい洋館とガーデン、そして美食。ここには忙しい日常を忘れられる、とっておきの空間が用意されている。

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パスタセット「ダルマイカとアサリ、鎌倉野菜のアーリオオーリオ、ボッタルガ風味」¥2,808(サラダ、パン、ドリンク付き)は、魚介の旨味に万願寺トウガラシやトランペットズッキーニの歯ごたえ、ボラ卵の塩けと、計算しつくされた味。

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パスタセット「仔牛と色々な茸のポルチーニクリームソース、パルミジャーノ・レッジャーノ添え、リガトーニ」¥2,808 ポルチーニクリームの濃厚さもさることならが、大黒本シメジ、柿の木茸、霜降り平茸、花びら茸、たもぎ茸の5種の茸と柔らかな仔牛肉を絡めた、季節を感じられる贅沢なパスタ。

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毎朝、レストランの石窯で焼かれるパンは、購入も可能。すべてオリジナルという、館内の美しいステンドグラスも必見だ。

Ishigama Garden Terrace
鎌倉市浄明寺3-8-50(浄妙寺境内)
tel:0467-22-8851
営)10:00〜17:00 
休)月
www.ishigama.info

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3. 夏椿

上質な和の暮らしをつくる、うつわと生活雑貨たち。

2009年の開業以来、うつわファンを惹きつけてきた世田谷の名店「夏椿」が今年の春、鎌倉に移転した。鎌倉駅から徒歩14分、閑静な住宅街を抜けて細い路地を上った先で、緑に包まれた古民家が真っ白なのれんを掲げて出迎えてくれる。もともと店をスタートさせる時から、鎌倉でと思っていたという店主、恵藤文さんにとって、戦前から建つこの家屋は運命の場所。古さを生かしながら、建具や窓枠などに自ら手を加えて、シンプルな器たちが引き立つ空間へと蘇らせた。

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いちばん最初に入るリビングルーム。器の数々とともに、目の前の庭もまた風情がある。

「ここでは、知らなかった作家ものに出合える楽しみがあります」と、編集IGA。儚いほどに美しいガラスのうつわを作る谷口嘉さんや、元宮大工という力強くもあたたかい加藤良行さんの木のうつわなど、日本全国から集められた若手作家の作品が並ぶほか、恵藤さんが旅したアジアで買い付けたもの、さらに着心地のよい手染めの衣服など、すべてが美しい佇まいでそこにある。恵藤さんが愛してやまない、経年変化が楽しめるシンプルで上質な一生ものに出合える場所だ。

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岡山県の高原に暮らす作家、マキマロの天然染めの洋服。自然が生むグラデーションが美しい。

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上から時計回りに、鎌倉在住の作家、渡辺信史さんの小皿¥3,780、安斎新・厚子さん夫婦による花びらのような白磁のうつわ¥5,940、宮大工で培った技術を生かし作られた加藤良行さんの木のうつわ¥8,640

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型吹きのうつわ¥8,640〜は、金縁が施されている。栗の木のお敷き¥129,600は、工芸作家、佃眞吾さんの作品。

Natsutsubaki
鎌倉市佐助2-13-15
tel:0467-84-8632
営)11:00〜17:00 
休)月、火
http://natsutsubaki.com/

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編集IGA
「フィガロジャポン」編集者。ファッションを中心にライフスタイル全般を担当。ストリート誌、メンズ誌を経て、旅が好きでフィガロジャポンの編集者に。現在は都内在住だが、鎌倉が好きで頻繁に帰省。

photos : MAYUKO EBINA, réalisation : MIKI SUKA

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