フードスタイリストが厳選する、韓国作家のうつわの店。
Travel 2019.06.10
白磁の豊富なバリエーション、伝統的なフォルムを新しくしていく若手の作品群。ソウルを訪れたら、素朴で優雅なうつわを探しに行こう。
穏やかなフォルムと乳白色が特徴の白磁なら、新しく活躍する中堅作家のものを。モダンな素焼き、釉薬使いに魅かれるなら、デザインや美術を学んだ若手作家のものを。ソウルでは、シンプルなうつわを扱う店が増加中だ。
ここ、ノ・ヨンヒエ・グルッもそんなモダンなうつわを扱う新しい店。フードスタイリスト、ノ・ヨンヒによる、食卓のスタイリングを想定したセレクトに、国内外からの多くの陶芸、うつわ好きが集まる。「料理とうつわの相性、それはファッションにも似ている。どんなにいい素材だったとしても、“衣装” のうつわがいまいちだと、料理は成立しない」と語るヨンヒ。料理を盛り付ける際、空間にゆとりを持たせることを重要視し、美しい余白が生まれるうつわに注目している。
栗やショウガを使ったスイーツをのせて。上:キム・ジョンフンの茶碗各55,000ウォン 中:イ・チャンファの大皿200,000ウォン 下:小皿36,000ウォン 右:湯飲み25,000ウォン その他/私物
「たとえば、イ・チャンファの作品(上写真)。使いやすさはもちろん、スイーツを並べたり、どんな料理にも合うオールマイティなところが素晴らしい。いいものの条件は目立ちすぎないこと。うつわが際立つのではなく、テーブルに並べた時に一体感があるシンプリシティが大切」
話を伺った際、カットしたリンゴが大きめのボウルに添えられ、グレーの湯飲みに入った温かいナツメ茶が出された。
何気ない食卓、ティータイムがたちまち素敵に彩られるうつわの力。フォルムや質感、絶妙な色出しで静かに個性を打ち出すうつわが揃うこの街で、とっておきを見つけたい。
Young-Hee Roh/ノ・ヨンヒ
フードスタイリスト
料理雑誌編集者を経て、1993年に独立。フードスタイリストを軸に、食関連の執筆、レストラン、Poom Seoulのプロデュースなど活動は多岐にわたる。うつわの店と同じ建物内で料理教室も行う。
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ノヨンヒエグルッ|노영희의그릇
ムン・ジヨンやイ・チャンファなど、買い足すごとに食卓が充実するうつわが揃う。小皿やボウル、大皿、花器など、約300種類の陶芸が集まる。ノ・ヨンヒ自ら作家に料理をレクチャーし、うつわの使いやすさを二人三脚で追求。ひとりの作家にフォーカスした展示会を開催するなど、作家との丁寧なコミュニケーションのうえで成り立つ、あたたかい店である。
昔の家屋の玄関や棚などをリノベーション。青みがかった白磁はイ・チャンファによる作品。
内側が墨黒になっているのが特徴。イ・カンヒョの茶碗150,000ウォン、小皿150,000ウォン、中皿300,000ウォン
朝鮮時代から受け継がれるフォルムを生かす作品も多く並ぶ。
노영희의그릇/ノヨンヒエグルッ
06804 서울 강남구 삼성로126길 6
6 Samseong-ro, 126-gil, Gangnam-gu, 06084 Seoul
tel:02-518-5177
M)清潭
営)10時〜18時30分
休)日、旧正月、旧盆
カード)AMEX、DINERS、JCB、MASTER、VISA
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※『フィガロジャポン』2018年2月号より抜粋
photos : KAORU YAMADA, coodination : JA-KYUNG JUNG