メンタルヘルスと100年美容。

Beauty 2022.04.01

眠れない、不安に襲われる......コロナ禍のいま、誰もが多かれ少なかれ感じるメンタル不調。それにはストレスそのもの以外に、栄養やホルモン変化も大きく関係している。常に揺れ動く心としなやかに調和できるよう、自分なりの対処法を見つけておこう。

自分の“スイッチ”を探して、落ちないコントロール。

未曽有のストレス環境の真っ只中にいる私たち。以前から耳にしていた、若い人のメンタル不調――うつ症状で欠勤する、眠れなくて睡眠薬が手放せない、といった人の増加。これがコロナ禍でさらに増えたのは明らかだ。 職場や家庭環境の変化、罹患への不安、人と会えない孤独感、SNS依存......など、平時とは異なる生活を強いられ、各人が大なり小なりストレスを抱えているのは間違いない。メンタルの落ち込み、 浮き沈み、発作的に涙が出る......こうした不安症状も仕方ないことかもしれない。

その理由は「ストレス」が大きいだろう。ストレスが過剰になれば、心身に不調が現れるのは生体反応として当然の現象。さらに女性はひと月、一生のホルモンバランスの変化による影響も加わる。そんな現状を「重くて深い“ストレス沼”に、少しずつずぶずぶとはまっている」と表現するのは、カラーズ株式会社研究開発部部長の岡野利彦。「この状態が続くとストレスに対する抵抗力が落ち、やがて体調不良や不眠症に繋がっていきます」

とはいえ、ストレスの原因そのもの(たとえばコロナ禍や職場環境、苦手な人など)をなくすことはたいてい難しいから、ストレスを感じている自分をまるごと受け入れて気にしない努力をする、違うことに意識を向ける......そんな“しなやかなメンタル”も、これからの時代は重要になってくるだろう。 

ストレスにさらされ続けると、身体にはどんなことが起きるのか。松倉クリニック表参道の松倉知之院長によると「白血球中のリンパ球の割合が下がる、つまり免疫低下を起こしやすくなります。口唇ヘルペスや帯状疱疹はそのサイン。ストレスに対応するアドレナリンの作用で一見元気そうですが、就寝中もアドレナリンが出続けるため、食いしばりや眠れないといった症状に現れてきます」

では、メンタルの不調を感じたら、いきなり“薬”? 答えは断じてノー。メンタルはただ「心」の問題だけではない。睡眠、栄養、ホルモン......こうした体内活動のすべてがメンタルに影響している。病ではないのだから、たとえば、精油を活用してみる。サプリを摂ってみる。いつもより歩いたり、ストレッチなどの軽い運動をしたり。「よく噛むこと」も実はメンタルに関わっていたりもする。日常で無理なくできることをまず試してみて、メンタルを安定させる「突破口」=スイッチを持つことが大事。睡眠薬や抗うつ剤などの“薬”に頼る前に、せめて漢方やハーブなどの自然療法を取り入れるなど、身体に負担をかけない方法を。

ヘルマン・ヘッセの晩年のエッセイ『人は成熟するにつれて若くなる』では、老いていくにも“知恵”がいることが示唆されている。肉体も精神も永遠ではない。加齢によるさまざまな変化を、あるいはストレスをどう受け入れて生きていくか。精神と肉体は連動しているから、人生100年時代、メンタルもしなやかに保って、健やかに!

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漢方やハーブの自然療法を試してみる。

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心の不調にも、栄養と食生活の見直しが重要。

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嗅覚から、ホルモンや神経に働きかける。

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病院に行く、睡眠薬に頼る前に読みたい本。

著書『医師が教える新型コロナワクチンの正体』が話題の内海聡医師は、安易に睡眠薬や精神科に頼るリスクを説く。睡眠薬を一度飲み始めたら抜けられない“麻薬”と呼び、身体に及ぼす影響を解説。悩みがあれば眠れなくて当然、加齢で睡眠時間が短い老人や発達障害の子どもなど必要のない人にまで処方する姿勢にもノー。そもそも「不眠の定義」自体が誰にでも当てはまるのでは?とも。また、根本的な解決から目を背けたまま薬で一時的にメンタルを上げる精神科医の姿勢にも警鐘を鳴らす。精神科にかかる前に、睡眠薬をネットで買う前に、そこに潜むリスクも知って。

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『精神科は今日も、 やりたい放題』
精神科にかかることを考えたことがある人は、ぜひ一読を。社会に適合できない人を“病気”や“障害”として扱う一方の社会に疑問を投げかけ、真っ当な精神科医の選び方も解説。
内海 聡著 ¥770 PHP文庫

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『医者は今日も 睡眠薬を出したい放題』
睡眠薬の消費大国、日本。睡眠改善薬と睡眠導入剤の違い、薬を減らすにはどうしたらいいのか、そもそも本当に睡眠障害なのか?など、根本的に睡眠トラブルと向き合うきっかけに。
内海 聡著 ¥792 PHP文庫

*「フィガロジャポン」2022年4月号より抜粋

text: Naho Sasaki

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