老化は治せる!? 100年美容の現在地。

Beauty 2025.10.02

寿命が100年に延びるなら健康で"美しく"生きたい──そのためには、常に進化する医療や健康、美容に関する情報の正しいアップデートが欠かせない。同時に、普段の生活習慣を見直すきっかけにしたい。

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photography: Shutterstock

人生100年時代のいま、ヘルスケアの意識は健康長寿を目指すロンジェビティ(1)へと進化。日本社会の課題でもある高齢化に伴う"平均寿命と健康寿命との差"は、2022年で男性は約8.5年、女性は約11.6年。すなわち、寝たきりや要介護など日常生活に制限のある「不健康な期間」がこれだけあるということ。また、バイオロジカルエイジ(2)が測れるようになったことで、"実年齢"だけに左右される時代ではなくなってきた。世界的にも老化抑制は大きなムーブメントで、幹細胞ケアやNMN摂取、バイオハック(3)セネッセンス(4)研究などの流行もそのひとつだ。

バイオロジカルエイジを若く保つためには、セルフケア意識+科学の力が必要となってくる。適度な運動、栄養調整、十分な睡眠、ストレス管理。そのうえで、最新のアンチエイジング医療がどう進んでいるのかキャッチアップしたい。そこで本企画では、最先端キーワードをピックアップ。情報に踊らされるのではなく、仕組みを理解して情報を見極める一助にしてほしい。

健康医療でも美容でも、いま最も注目されているのがセルセラピー=細胞ケア。20年以上老化研究を行い、経営者やアスリートを顧客に持つ辻直樹医師は言う。

「いま、ターゲットとすべきは"細胞"です。病気も老化も、40兆個とも60兆個ともいわれる細胞で起きています。まず細胞内のミトコンドリアの働きを正常化すること。エネルギーの産生にもコラーゲンや免疫細胞などのタンパク質の合成にも深く関わっています。そして、老化細胞が増えるのを抑制するセノリティクス(5)という考え方も注目。細胞が老化するということは、臓器の機能が低下すること。肌の老化が早い人はその他の臓器の老化も早い。最小単位である細胞から治す、というセルセラピーが最先端の考え方です」

これまでのアンチエイジングが活性酸素や酸化、糖化などへの"対症療法的"だったのに対して、細胞からのアプローチはより"根源的"。細胞そのものの代謝を促し、機能を回復することに現在のアンチエイジング治療はシフトしている。大前提として、加齢と老化は違う。加齢は単なる時間の経過。誰にでも等しく訪れる。一方、老化は個人差があり努力や意識次第で変えることもできるのだ。

「目指すべき体調は、ベストパフォーマンスを維持し、若々しくエネルギッシュに活動し続けられることではないでしょうか」いつまでも人生を楽しめる身体と、その精神が理想!

Well-Aging Keywords

Longevity-ロンジェビティ(1)
実際の寿命ではなく、健康的に美しく長生きできる寿命を延ばすムーブメント。米国を中心にスタートアップのロンジェビティ領域への投資が加速し、市場としての規模も拡大中。

Biological Age-バイオロジカルエイジ(2)
「実年齢」に対して、血液検査などの数値により算出した身体の機能を示す「生物学的年齢」。「あなたのバイオロジカルエイジは何歳?」という会話が普通になる日が来るかも!?

Biohack-バイオハック(3)
米国の健康意識の高い富裕層の間で一大トレンドとなっているライフスタイル。老化を抑制すべく科学や根拠、データを駆使して、食事や運動などを効率的に管理するのが特徴。

Senescence-セネッセンス(4)
細胞老化のこと。健康な細胞が老化して、炎症性物質を分泌(SASP)し、周囲の健康な細胞も老化していく現象を指す。老化のメカニズムの解明を行うのがセネッセンス研究。

Senolytics-セノリティクス(5)
「老化(senescence)」と「対抗(lytics)」を合わせた造語で、老化細胞を適切に除去することや、その働きを持つ化合物の総称。昨今のセネッセンス研究でも特に注目の分野。

細胞のホメオスタシスの仕組み

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細胞のサイクルで注目すべき3つのステージは、①ミトコンドリア機能(エネルギーをつくる機能)、②細胞を自己治癒させる機能、③細胞を入れ替える機能。「極論、①と②が完璧に働いていたら③を行う必要はありません」(辻先生)。ケアすべきは上流の①と②から。

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辻 直樹
辻クリニック東京 ADVANCED AGING LABORATORY 院長
獨協医科大学卒。抗酸化のための水素治療をいち早く臨床に取り入れ、「細胞治療」の専門医として、疲労回復やアンチエイジングの予防治療・研究を長年行っている。

*「フィガロジャポン」2025年8月号より抜粋

text: Naho Sasaki

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