接近! 東京ミレニアルズ イメージを壊しつづける役者、鈴木伸之。

Culture 2017.08.24

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今回は、劇団EXILEのメンバーであり、俳優として映画やドラマを中心に大きな活躍を見せる鈴木伸之をフィーチャー。これまで、映画『桐島、部活やめるってよ』(2012年)、『ストレイヤーズ・クロニクル』(15年)やドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」(14年)、ヒット作「あなたのことはそれほど」(17年)など、話題作をさまざまなキャラクターで渡り歩く。そんな注目株は、自分を「普段はお菓子片手にバラエティを見ながらゴロゴロしてる男」と語る飾らない一面をのぞかせた。その実態は──?

いい意味で好き勝手にやれる、僕らの世代。

「今まで不良や武士や、はたまたブーメランパンツ一丁の水泳部員など、いろいろな役をやってきました。そのひとつひとつが経験してみないとわからない自分にとって新しいもので、役を演じることは難しいけれど、いざ終わってみたら本当にやってよかったなと思う作品ばかり。それの繰り返しで、放送終了した瞬間が『やっとおわったな』といちばん充実する。この仕事の素敵なところかなと思える」

デビューから2年、『桐島、部活やめるってよ』にバレー部副キャプテンの久保役として出演。ぶつける先が見えない苛立ちや喪失感といった感情の機微を表現していた。初めての映画、かつ奇才・吉田大八監督の現場ということで、自身の俳優人生に大きな影響を与えたようだ。

「吉田監督の世界観の作り方が本当に素晴らしくて。バレー部員にしても眉毛の細さやヒゲ、坊主の髪型など綿密にキャラクターを作りました。部活ごとにリハーサルをやったりご飯を食べに行ったり。ひとつの映画を作っていく過程に、18歳の僕は驚き、感動しました。また、監督は粘る人で、(少ししか映らない)後ろのエキストラやモノの動きも細かく見ていて、毎回10テイクくらいやっていたかな。そんな『桐島~』の共演者、でっくん(東出昌大)や(山本)美月ちゃん、大賀たちは、いまも刺激をもらえる大切な人々。こうやって4、5年経ってもインタビューで名前が挙がる作品や人物に出合えたことは、俳優としてとてもうれしいです」

かつて共演し、いまも活躍する同世代の同志たちについて鈴木は「これからも一緒に頑張っていきたいと思える特別な存在」と語る。これから日本のエンタメ界を盛り上げる層と行っても過言ではない。そこに、自分が身を置く世代というものを感じているのか。

「いま24歳ですが、正直“自分の世代”というものはそこまで感じてないです。でも、同年代の俳優でいうと、神木(隆之介)くんや大賀、染谷将太くん、菅田将暉くん、野村周平くんという大活躍している人たち。僕らはゆとり世代の走りで、自分の意志を持って自由に、いい意味で好き勝手にやっているイメージがあると思う。想像できることは実際に具現化していきたいし、時代にとらわれず、臆せず自分らしく進んでいきたいと思う」

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ジャケット¥118,800(参考価格)/バスクチュール ニウク、パンツ¥58,320(参考価格)/ニウク(ともにディプトリクス) シャツ¥31,320/ツカサ クドウ(エムエイティティ) ソックス¥7,020/フィルメランジェ シューズ¥70,200/アンダーカバー × フット ザ コーチャー(アンダーカバー)

>>作品ごとに考える、違う自分の見せ方。

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作品ごとに考える、違う自分の見せ方。

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ニット¥47,520/ラグ & ボーン(ラグ & ボーン 表参道) デニムパンツ¥24,840/アー・ペー・セー(アー・ペー・セー カスタマーサービス)

この取材は、巷をザワつかせたヒットドラマ「あなそれ」こと「あなたのことはそれほど」のクランプアップ直後に行われた。劇中で演じた有島役で、一躍知名度は全国区となった。久々に再会した主人公・美都とW不倫関係を持つ男を“誠実に”演じた鈴木。「不倫する夫という、戸惑いもあったけど新鮮だった役」に向き合う中で、芝居やドラマのおもしろさを感じた。

「有島は、不倫をするけど奥さんを大事にしているキャラで、人間臭い複雑な役どころ。無事に終わってホッとしました。キャストやスタッフに本当に助けてもらった。そして、妻役が仲(里依紗)さんでよかったなと。ちなみに、あの平手打ち、痛そうに見えて、実は痛くないんですよ(笑)。みなさんのおかげでこれだけ注目されるドラマになったし、また共演者のみんなでお芝居がしたいと思いました」

作り手の思いは視聴者に届き、すぐさま視聴者の反応が作り手にまた元気を与える。これも毎週放映されるエンターテインメントの醍醐味のひとつだ。

「放送回ごとの反響を聞いていて、本作は茶の間の方に観てもらうエネルギーが本当にあった作品だと感じました。また、SNSに見てみると『(有島を演じる鈴木は)クズだね』なんて書かれていて、それって鈴木伸之=有島のイメージが強いからでうれしかったし、新しい僕を見てもらえたと実感して。役を演じることはその繰り返しだと思うので、これからも楽しんでいきたいなと思う」

続けて「次はどうやって違う自分が見せられるか、イメージを壊すのが楽しみ」と笑う彼に、今後やりたい作品や役に関して尋ねると「男らしい、海猿みたいな作品」と即答。

「自分の性格が男らしいからというよりは、素直にアツい作品が好き。僕自身、感動作にヤラれるタイプなので、演じがいがありそうだなって」

現在公開中の映画『東京喰種 -トーキョーグール-』では、人間の姿をしながら人を糧として生きる「喰種(グール)」を取り締まる捜査官・亜門鋼太朗を熱演。人気漫画原作の登場人物しかり、正義を掲げて突き進む、まさに愚直でアツい男の姿がそこにあった。

「それこそ、SNSで『不倫ゲス男の有島に亜門をやらせたらダメだろう』って(笑)。でも、その振れ幅はありがたい。人気作の実写化なのでプレッシャーもありましたが、真っ直ぐで武骨な亜門という男の成長や葛藤を2時間の物語の中で表現できたかなと思っています。また、窪田正孝さんや大泉洋さんをはじめとするステキな俳優さんと演じられたので、いままでの活動の中でも思い出に残る作品のひとつになりましたね」

その、あまりにも爽やかな佇まいと役の豊富さに非の打ちどころは見られず(もちろん見つからなくていいのだが)、ましてやお菓子を片手に寝転がる姿は想像に難く、じっくりと観察したくなってしまう。気が付いたらまた、淡々と新しい役を演じている姿を。

>>鈴木伸之に、19問19答!

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鈴木伸之に、19問19答!

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ニット¥45,360/ジョン ローレンス サリバン 

・好きなアプリ:「実況パワフルプロ野球」。「あまりにもハマりすぎて、課金しすぎちゃうのでやめそうです」

・好きなアーティスト:秦基博、Mr.Children。「歌詞もじっくり聞きますね」

・好きな映画:『GO』『セント・オブ・ウーマン』『グッドウィル・ハンティング』。「細かい差はありますが、どの作品も、最後に登場人物たちが心を通わせるシーンにぐっときます!」

・自分のクセ:アゴを触る。

・右ポケットに入っているもの:携帯。「いつも荷物は少なくて手ぶらの日もあります。海外もバッグひとつ」

・尊敬する人:「HIROさんと岡田准一さん。作品ごとに共演者の方は尊敬しています」

・好きな駅:中目黒。「事務所があり、ホームタウンのイメージです」

・好きな漫画:『元祖!浦安鉄筋家族』。「主人公・小鉄のお父さん、大鉄がもうめちゃくちゃ好き!」

・この仕事を志した年齢:17歳。

・自分の弱点:花粉症、鼻炎。「鼻が弱点です」

・好きな犬・猫の種類:「犬は小さい種類、トイプードルやポメラニアン、チワワが好きです。ネコ好きだけどアレルギーがあるのか近づけなくて。野良猫はかわいくて遠くから見ちゃう」

・週末食べたいもの:焼肉。「最近、焼肉熱が戻ってきて、牛タンが気分です」

・好きなお酒:焼酎。「撮影中は飲まないことが多いので、合間に飲むと結構酔いますね」

・寝るときの格好:Tシャツ、ハーフパンツ。

・好きな香水:クリスチャン・ディオールのソヴァージュ オードトワレ。

・睡眠時間(オン/オフ):オンのときは4、5時間。「オフは12、3時間寝たい。二度寝、最高です」

・最近起きたスランプ:「お菓子が大好きなのですが、食べすぎてニキビできそう」

・バッグに入っているもの:イヤホン、台本。

・SNSでよく使う言葉:「やばい」。「いろんな意味で使いますね。言葉は少なく、大きなリアクションが取れる」

アンダーカバー(アンダーカバー × フット ザ コーチャー) tel:03-3407-1232
アー・ペー・セー カスタマーサービス(アー・ペー・セー) tel:03-3710-7033
エムエイティティ(ツカサ クドウ) info@the-matt.com
ジョン ローレンス サリバン tel:03-5428-0068
ディプトリクス(ニウク、バスクチュール ニウク) tel:03-3409-0089
フィルメランジェ tel:03-6447-1107
ラグ & ボーン 表参道(ラグ & ボーン) tel:03-6805-1630

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texte : HISAMOTO CHIKARAISHI, photos : BUNGO TSUCHIYA (tron), stylisme : SHOTARO YAMAGUCHI (eight peace), coiffure : TAKAO HAYASHI (OTA OFFICE), maquillage : MAKIKO ENDO (UM)

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