ルカ・グァダニーノが綴る、サルヴァトーレ・フェラガモの生涯。
Culture 2020.08.17
映画『君の名前で僕を呼んで』(2017年)で、日本の映画ファンの心をガッチリつかんだイタリア人映画監督ルカ・グァダニーノ。彼が手がけたサルヴァトーレ・フェラガモの自叙伝に基づく長編ドキュメンタリー映画が、2020年9月、第77回ヴェネチア国際映画祭で上映されることになった。
靴職人、そしてブランドの創設者として、名だたるセレブリティのみならず、世界中の人々を魅了したサルヴァトーレ・フェラガモ。グァダニーノ監督による長編ドキュメンタリー映画では、フェラガモの芸術に満ちた旅路の足跡をたどるだけでなく、彼が生活したふたつの世界——イタリアとアメリカを密接に織り交ぜながら物語が綴られる。フェラガモが生まれた南イタリア・カンパーニャ地方からアメリカにいたるまで、ナポリでの靴職人への弟子入りからカリフォルニアで「ハリウッド ブーツショップ」のオーナーになるまで、そしてイタリアに帰国してフィレンツェで新たな生活と職を立ち上げるという決断、技術習得から起業家としての成功まで。
この映画は、フェラガモ自身が書いた自叙伝を読んで感銘を受けたグァダニーノ監督が、フェラガモファミリーにコンタクトを取ったことをきっかけに、2017年からスタート。ファミリーはグァダニーノ監督を歓迎し、ブランドのアーカイブの披露、インタビューや家族の逸話の紹介、そしてサルヴァトーレの妻ワンダ・ミレッティの生前最後の貴重な言葉も収録することができた。
ファッションラバーにはすでになじみ深いサルヴァトーレ・フェラガモの生涯の物語ではあるけれど、フェラガモファミリー、サルヴァトーレ フェラガモ財団、サルヴァトーレ フェラガモ ミュージアムの協力による貴重な資料の提供もあり、このドキュメンタリー映画では、さらに深く、多面的に彼の生涯が描かれている。
「天才とは何か? 映画、ファッション……それらはどのように生まれるのか? そして、新しいアイデアとクリエイションにおける絶え間ない追及へのこだわりは、伝統そしてファミリーの価値といかにして融合するのか? その答えは、20世紀を牽引したプレーヤーでありオブザーバーでもあるサルヴァトーレ・フェラガモ(1898ー1960年)の人生にあります」とルカ・グァダニーノ監督は語っている。
Luca Guadagnino ルカ・グァダニーノ
1971年イタリア・パレルモ生まれ。現在はミラノを拠点に、脚本家、映画監督、映画プロデューサーとして世界的に活躍中。日本では『ミラノ、愛に生きる』(2009年)、『君の名前で僕を呼んで』(2017年)などの作品が人気を博す。
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texte : NATSUKO KADOKURA