デンマーク女王、孫の称号を剥奪......縮小しつつある、各国の王室の実情。

Culture 2022.10.05

デンマークのマルグレーテ女王が、孫の称号を剥奪したと、王室が発表した。この決定は、現代の王室ファミリーメンバーの減少傾向を示唆している。

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デンマーク女王マルグレーテ2世、エリザベス2世の葬儀に参列。(ロンドン、2022年9月18日) photography: Abaca

現在、マルグレーテ女王はヨーロッパで唯一の女王であり、ヨーロッパ大陸で最も長く君臨している君主である。そして女王は、4人の孫を王家の称号から外すことを決定したと、9月28日(水)に王室が発表した。息子ヨアキム王子の子どもたちに「もっと普通の生活をさせてあげたい」と考えているのだ。「2023年1月1日以降、ヨアキム王子の子孫は、モンペザ伯爵・伯爵夫人としての称号しか使用できなくなり、それまでのデンマーク王子・王女の称号は無効となる」と、裁判所は声明で述べている。

女王の末っ子のヨアキム王子(53歳)には、2度の結婚で23歳から10歳までの4人の子ども(ニコライ、フェリックス、ヘンリック、アテナ)がいる。「この決定により、女王は、4人の孫たちが、王室への正式な所属に伴う特別な配慮や義務に制限されることなく、自分たちの人生をより大きく切り開いていけるような枠組みを作りたいと考えている」と、公式メッセージで発表した。これは、王室がメンバーを減らす傾向にあることと歩調を合わせたものである。

フレデリック皇太子(54)の子どもたち(マルグレーテ2世の他の4人の孫)は、称号を保持するが、成人になってからは、2016年に決定したように長男だけがアパネージュ(資財や特権)を受け継ぐことになる。

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彼らのアイデンティティが奪われる

2019年には、スウェーデンのカール16世グスタフ国王とシルヴィア王妃も、5人の孫から殿下の称号を剥奪し、王族の職務を軽減できるようにしていた。孫たちは、王子と王女の称号を維持することは許されたものの、公式にはスウェーデン王室の一員ではなくなった。時に、家族の怒りや誤解を招くような決断でもある。デンマークのヨアキム王子の妻は、マルグレーテ2世の選択に当惑とショックを表明した。

B.T.のコラムでアレクサンドラ伯爵夫人は「青天の霹靂のようです。子どもたちは疎外感を感じている。彼らは、なぜ自分たちのアイデンティティが奪われるのか、理解できないのです」と語っている。ヨアキム王子もこの状況を嘆いていた。デンマークの日刊紙「Ekstra Bladet(エクストラ・ブラデット)」に「私たちは皆、とても悲しんでいます。自分の子どもが傷つくのを見るのは決して嬉しいことではありません。理解できない状況に追い込まれています」と語った。ハリー王子メーガン夫人も、3歳のアーチーと1歳のリリベットは(本来は自動的に)王子と王女の称号を得るはずが、王室の地位は継承できないと知ったときに、その不満を口にしたと伝えられている。Sun紙によると、国王チャールズ3世が下した決定とされ、夫妻は「激怒」しているという。

この称号は、常に君主から特許状によって授与され、その保持者は王室の上級士官としての地位を得ることができる。そのおかげで、多くの王室行事に参加することができ、最前列に座ることができる。また、セキュリティの向上というメリットもある。匿名の情報筋によると、ハリー王子とメーガン夫人は、王子・王女の称号がなければ、子どもたちが十分な保障を受けられないことを懸念しているという。

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国王チャールズ3世の意思

君主が行った選択は、非常に具体的なプロジェクトの一部であった。国王チャールズ3世は、現役の王室ファミリーメンバーの数を「減らす」、また厳密には最低限にまで減らすことを望んでいるのだ。チャールズ3世、カミラ王妃ウィリアム皇太子キャサリン皇太子妃とその3人の子どもたちだけが、ウィンザー一族の現役メンバーということになる。これはロイヤルファミリー全体がタブロイド紙のネタにならないための得策である。

戴冠式がまだ決まっていない新国王は、今後、同世代の人たちの公務の回数を減らすことも計画しているという。それにより、ジェフリー・エプスタイン事件への関与が疑われ、軍籍を剥奪され、ヨーク公の称号を剥奪されたエリザベス女王の次男であるアンドルー王子に再び脚光を浴びることは避けられるだろう。

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“女王”になる準備はまだできていない

エドワード王子とウェセックス伯爵夫人ソフィー妃の夫妻は、18歳のルイーズと14歳のジェームズの子どもには王子・王子の称号を使わないことにした。これは、マルグレーテ2世のように、王室から独立し、自立する自由を与えるためである。「子どもたちには、生活するためには働かなければならないと理解するよう、育ててきました。そして敬称を彼らに与えることを辞退したのです。18歳になったとき、彼らは自ら敬称を受け取るかどうか決断できます。でもきっと彼らは継承しないでしょう」とソフィー妃は説明した。

若い相続人たちがこういった意思を自ら表明することもある。たとえばオランダのアマリア王女は、2021年11月に出版されたクラウディア・デ・ブライによる公認伝記『アマリア』の中で、「女王になる準備はまだできていません」と述べている。18歳の彼女は、この称号を手放すつもりはないが、父親が亡くなった場合、一時的に母親に託すことになる。一方、日本の眞子さんは、皇族の身分を捨て、民間人である小室圭さんと結婚し、いまはニューヨークで生活を送っている。

text: Chloé Friedmann avec AFP (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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