チャールズ3世、スコットランドで弟のアンドルー王子を「家族」として歓迎。

Culture 2023.09.06

セックススキャンダルをきっかけに、すべての公務から退いたイギリスのアンドルー王子だが、スコットランドのバルモラル城でウィンザー家の一員として温かく迎えられたようだ。

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兄チャールズ3世の戴冠式でのアンドルー王子。(ロンドン、2023年5月6日)photography: Getty Images

8月27日、スコットランドのバラター村で、クラシー・カーク教会に到着した3人を見た村民は目をみはった。ウィリアム皇太子キャサリン皇太子妃の車に同乗していたのがアンドルー王子だったからだ。ジェフリー・エプスタイン事件がらみでヴァージニア・ジュフリーから性的暴行で告訴され、王室から遠ざけられていた人物だ。

 

8月28日にニュースサイトの「デイリー・ビースト」が明らかにしたところによると、国王チャールズ3世は、滞在先のスコットランドのバルモラル城に弟を招待し、「家族の一員」として扱った。名誉称号も年間30万ドル相当の王室手当も警護も失い、公の場から姿を消したアンドルー王子が今後復権する可能性があるのだろうか。

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アンドルー問題

国王チャールズ3世の友人のひとりはデイリー・ビーストに「アンドルーが王室内で以前のような儀礼上の役割を果たすことはないでしょう。もう王室の現役メンバーでないことは明白です」と語った。とは言え、カミラ王妃の夫は弟と仲たがいしているわけでもない。「ですが、彼は家族の一員です。王弟なのです。いかなる罪にも問われていませんし、国王は弟を見捨てるつもりはないことを明確にしています」と友人はつけ加えた。

それにしても、チャールズ3世が弟の追放に積極的な役割を果たしたことを考えると、今回の招待は驚くべきことだ。英「サン」紙によれば2021年のクリスマス休暇中、チャールズ3世は民事訴訟のリスクを抱えたアンドルー王子が、“道を踏み外した”と判断し、長男のウィリアム皇太子に懸念を打ち明け、弟妹のエドワード王子アン王女にも相談したと伝えられている。「アンドルー問題」対策会議が何回かおこなわれた末、ヨーク公アンドルー王子の軍人としての称号と後援事業の名誉職をはく奪しなくては王室のダメージにつながるという結論が出た。エリザベス女王もこれを最終的に受け入れた。

こうした措置に加えて国王チャールズ3世は弟に、ひっそり生きるように伝えた。2022年2月14日の『デイリー・ビースト』の記事のタイトルは、「チャールズ皇太子(当時)はアンドルー王子が“視界に入らないで”いることを望んでいる」というもの。「彼は目立つなとくぎを刺された。チャールズ3世は、アンドルー王子が自宅前でにこやかにカメラマンに手を振る姿を1日おきに新聞で見たくない」と匿名の関係者が「サン」紙に証言した。チャールズ3世はハリー王子メーガン夫人が退去した後のフロッグモア・コテージに弟を移すことさえ考えた。その後、王の態度は軟化したようだ。

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戦略の変更

もうひとつの驚くべき事実は、ウィリアム皇太子の態度も変化したことだ。これまで叔父との関係は、歴史家のアンドリュー・ロウニーの言を借りれば「決して良好では」なかった。2022年6月、ウィリアム皇太子は、叔父が出席するならガーター勲章授与式への出席を取りやめると発言、「彼か自分か」を選ぶよう迫ったと報じられた。それから1年以上が経った今日、教会に向かう車でウィリアム皇太子とアンドルー王子が同乗する姿が見られた。

デイリー・ビーストに歴史家のアンドリュー・ロウニーは次のように語った。「最近のロイヤルファミリーは、困ったことがあると皇太子夫妻を頼る。今回もふたりが動いて、本来は自分たちの問題ではないことを解決している。これは明らかに非常に重要な出来事だ。そしてウィリアム皇太子は本人の意志がどうであれ、叔父と車に同乗することに同意せざるを得なかった。この光景が撮影され、驚くべき翻意とみなされることがわかっていても。これまで王室はアンドルー王子と距離を置こうとしていたが、この日に起きたことはその戦略に変更があったことを示している」

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まだ有害な存在

アンドリュー・ロウニーはこの突然の方向転換には疑問を抱かざるを得ないと言う。「アンドルー王子はまだ非常に有害な存在だ。自分が報道官なら、彼をバルモラル城に閉じこめて、人目につかないようにすべきだとアドバイスしただろう。それなのになぜ、王室は彼を支持しているような態度を示して一蓮托生の仲であるように振舞うように決めたのだろうか」

2022年2月にアンドルー王子とヴァージニア・ジュフリーが1200万ポンドで和解し、王子が民事裁判を免れたことは王子のマイナスイメージに拍車をかけていた。BBCでの悲惨なインタビューがさらなるイメージダウンにつながったことはイギリス人の記憶に新しい。この一件は1月7日にNetflixが発表したように、ジリアン・アンダーソン主演で映画化までされる予定だ。

text: Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr)

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