2025年も終わりに近づき、イギリスではこの時期恒例の各社クリスマス広告がオンエアに。今年は例年以上に直球で、心温まるストーリーであふれている。
01. ウェイトローズ
スーパー、ウェイトローズのクリスマス広告にキーラ・ナイトレイが登場!
店内でサセックス・チャーマーというイギリスのチーズを同時に購入したのが縁で巡り合ったフィルと良いムードに。しかし思いがけない誤解から危機を迎えるが......。
キアラのキュートさが炸裂!相手役のフィルを演じているのは人気コメディアンのジョー・ウィルキンソン。
フードラヴァー御用達のスーパーらしく、出会いも仲直りも食べ物がきっかけとなっているのが微笑ましい。キアラ自身も「食べることが大好き。特にチーズには目がない私にとって、チーズへの愛が重要な要素となっているこの広告への出演を却下するなんて考えられませんでした」と語っている。
監督はネットフリックスのビタースイートな恋愛ドラマ『ワン・デイ』を手がけたモリー・マナーズ。クリスマス広告としては異例のトレイラーまで作成し、映画『ラブ・アクチュアリー』の監督でラブコメディの名手リチャード・カーティスの「sweet as pie(パイのように甘い)」とのコメントまでフィーチャーする凝りようだ。
ストーリーを盛り上げている音楽はジェイムズの『シー・イズ・ア・スター』。最後に登場するフィル手作りのターキー・パイのレシピをウェイトローズのサイトで公開している。
02. ジョン・ルイス
毎年イギリスの誰もが心待ちにしているデパート、ジョン・ルイスのクリスマス広告。女性たちが主人公となることが多かったこれまでとは一変し、今年は父と息子の物語となっている。

ヘッドフォンをはめて無言で父を見つめる息子だが......。photography:John Lewis
プレゼントを開けたあとのラッピングを片付けている父がツリーの奥から見つけた包みの中にあったのは90sのアイコニックなダンスナンバー「ウェア・ラブ・リヴス」のレコード。そのサウンドは彼を90sのダンスフロアへと誘い、さらに脳裏には息子が幼い頃の記憶が蘇る。ヘッドフォンをはめて無愛想だった息子からの愛情がこもった贈り物に心動かされ、父も無言で息子を抱きしめる。画面には「もしも言葉が見つからないならば、代わりに贈り物を見つけよう」の文字が浮かび上がる。
今年イギリスでは思春期の男性たちが抱える歪んだ「男らしさ」を浮き彫りにしたネットフリックスのドラマ「アドレセンス」が大きな波紋を呼び社会問題へと発展した。父親と息子の「和解」とも言えるこの広告は、そんな現象への答えとの声もある。
03. バブアー
ウォレス&グルミットを手がけるアードマン・アニメーションズとバブアーのクリスマス・コラボレーションは今年で3回目。今回はウォレスがクリスマスプレゼントのラッピングなど、細々としたことをしてくれるロボット「ギフト・オ・マティック」を発明。それを使いながらバブアーのラムズウールのスカーフを贈り合う二人だが、その後ロボットが暴走してしまい......。
ウォレスが身につけているレインブーツなどの小物にもバブアーのタグが見える。特にニットキャップはアードマン・アニメーションズのスタジオで小さな編み棒で編まれた特製なのだとか。
04. グレート・オーモンド・ストリート・ホスピタル・チャリティ
グレート・オーモンド・ストリート・ホスピタルはロンドンにある病気の子供のための病院。クリスマスの時期も病室で過ごさなくてはならない幼い人たちがいる。昨年12月に9日間かけて撮影されたというこの映像に登場するのは13の家族。病院のスタッフとともに、子供たちが少しでもクリスマスを楽しく過ごせるようにさまざまな取り組みをする姿を映し出している。
フルバージョンはこちらから。
またロンドンとパリを結ぶユーロスターの発着駅、セント・パンクラス駅の今年のクリスマスツリーは、同病院にいる子供たちの将来の夢を綴った言葉や手書きのイラストや文字が描かれたオーナメントで飾られている。
TV広告やツリーを通してグレート・オーモンド・ストリート・ホスピタルを多角的に紹介し、広く知ってもらうことで寄付を呼びかけている。
たとえささやかであっても、世界中の誰もが平和な心温まるクリスマスを迎えられることを願いたい。
text: Miyuki Sakamoto

在イギリスライター。憂鬱な雨も、寒くて暗い冬も、短い夏も。パンクな音楽も、エッジィなファッションも、ダークなアートも。脂っこいフィッシュ&チップスも、エレガントなアフタヌーンティーも。ただただ、いろんなイギリスが好き。







