マスコミ対策で「母の姓」を使っていたビル・ゲイツの娘たち。大富豪ゆえの生きづらさとは?
Celebrity 2025.11.23

11月18日、メリンダ・フレンチ・ゲイツとふたりの娘ジェニファーとフィービーが、アメリカ版ヴォーグに初めての共同インタビューに応じた。この貴重な対談の中で、ビル・ゲイツの元妻であるメリンダは、娘たちを父のあまりにも有名な名前から守るために、幼少期に設けていた家庭内のルールを明かしている。
ビル・ゲイツとメリンダ・フレンチ・ゲイツは27年間の結婚生活を送った。1994年から2021年の離婚まで、ふたりは息子のロリーと、現在29歳のジェニファーと23歳のフィービーのふたりの娘たちを育てた。11月18日(火)、姉妹と母親はアメリカ版ヴォーグに揃って登場し、初の共同インタビューに応じた。
インタビューを通して、3人の女性はそれぞれの思い出を語り、父親であるビル・ゲイツのように有名な人物の影で育つことがどのような意味を持つのかを明かした。ビル・ゲイツはマイクロソフトの共同創業者であり、アップルの創業者スティーブ・ジョブズのライバルだった。シアトル近郊の「ザナドゥ2.0」とマスコミに呼ばれた邸宅で育ったジェニファーとフィービーは、確かに恵まれた環境で育ったが、その生活は厳しく管理されていた。母親のメリンダ・フレンチ・ゲイツは、元夫と共に、3人の子どもたちを父の名声やメディア露出から守るために定めた家庭内ルールについて振り返った。なお、フォーブス誌によると、ビル・ゲイツ氏の資産は現在約1050億ドル(約16兆円)、メリンダ氏の資産は約290億ドル(約4兆円)と推定される。
特別扱いを避ける工夫
子どもたちが幼い頃から特別扱いを避けるための配慮が行われていた。メリンダは、ビル・ゲイツが人前に家族と一緒に現れる際、周囲の反応がどのようなものだったか鮮明に覚えているという。「彼が合流すると、私たちが受ける扱いは明らかに違っていた」と彼女は雑誌で語っている。中学校に入るまでは、ジェニファー、フィービー、ローリーは母親の旧姓「フレンチ」を名乗っていた。もうひとつの重要な決定として、ビル・ゲイツは「新学期の最初の2、3週間は、自分で子どもたちを学校に送迎しないことになっていた」。こういった工夫によって、子どもたちはマイクロソフト創設者としての父の名声が影響することなく、クラスになじむことができた。
さらに家庭では、父がニュースに登場するとテレビはすぐに消された。実際、メリンダは、中学校に入るずっと前、子どもたちがまだ父が有名であることを意識していなかった頃、ある教師から「できるだけ早く、子どもたちに真実を伝えるように」と助言されたことも明かしている。アメリカの実業家であり慈善家であるメリンダは、父親が航空宇宙技術のエンジニア、母親が専業主婦という家庭でダラスに育った。自身の子どもたちほど恵まれた環境で育ったわけではない。「大学時代には、多くの裕福な家庭の子どもたちと接しました。そして、自分の子どもには、こういうふうには育ってほしくないと思っていました。自分が育った中流家庭の価値観を振り返り、深く思いを巡らせました」と彼女は語る。
女性の権利に取り組む一家
大人になったジェニファーとフィービーは、巨大な財産のもとで育ちながらも、しっかりとした価値観を持っている。長女であり母親でもあるジェニファーは、医療の分野でキャリアを積んでいる。フィービーは、共同創設者で元ルームメイトのソフィア・キアニとの名前を組み合わせたオンラインショッピング用アプリ「Phia」を立ち上げた。さらに、女性の権利や健康をテーマにしたポッドキャスト番組「The Burnouts」の共同ホストも務めている。弟のロリーはワシントンD.C.でアナリストとして働いており、控えめに活動している。
一方、昔から慈善活動に取り組んできたメリンダは、いまもさまざまな社会プロジェクトに力を注いでいる。最近の取り組みとしては、世界的なバイオ医療研究機関である「Wellcome Leap(ウェルカム・リープ)」との提携で発表された1億ドルの寄付がある。目的は、女性の健康に関する研究を大規模に支援することだ。
From madameFIGARO.fr
text: Léa Mabilon (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi







