恵比寿、ルメールの美学が光る日本家屋の旗艦店。
Fashion 2025.08.27
東京・恵比寿に誕生したルメールの世界3号店。モダンなのに古き良き和のエッセンスが生かされた、アールドゥヴィーヴルな空間を体感して。
日本家屋の静謐な佇まいに、ルメールの審美眼が光る。
和室の佇まいを生かした1階奥の空間は、障子越しに差し込む光まで美しい。透け感のあるドレス(¥106,000)がマッチ。
昨秋、恵比寿の住宅街の一角に誕生したのは、世界で3店舗目となるルメールの"家"。アーティスティックディレクターのクリストフ・ルメールとサラ=リン・トランが旗艦店の舞台として選んだのは、1960年代に建てられた日本家屋だ。「誰かの自宅に招かれたようなムードを感じてほしい」というこちらは、真っ白の塀にぽつんと掲げられた表札が印象的。知らなければ通り過ぎてしまうほど、控えめな佇まいだ。
邸内では、漆喰の壁や障子、竹の簾、襖をあしらった押し入れなど、家が持つ和のしつらいやディテールが最大限に生かされている。ウィメンズを扱う1階奥の和室の建具を生かした部屋の窓際には、メッシュ素材のドレスが飾られていた。窓から差し込む自然光により、表情を変える素材の質感。デザイナーの希望で、この窓辺には常に透け感のあるピースが掛けられるのが決まりだそう。
キリムをあしらったフロイドのソファは、パリやソウルの店舗とも共通するアイコニックな存在。
エンツォ・マーリのランプが美しいキッチンでは、お茶がふるまわれることも。
こうした和のムードと呼応するのが、ヴィンテージのキリムをあしらったフロイドのソファやエンツォ・マーリの照明など、ルメールのシグネチャーともいえる什器たち。デザインチームはこの空間を、「多彩なカルチャーやコミュニティが出合う、交流の場となることを構想した」というが、和洋のエッセンスが混在するミニマルな空間は、アジアの伝統的なスタイルの影響を感じさせるコレクションと響き合う。
キッチンや書斎など、部屋のムードに合わせたディスプレイも見もののこちらでは、ルメールの世界観にどっぷりと浸る体験を期待できそうだ。
メンズを扱う2階では、フィリピンで伝統的に織られているアバカ(バナナのような植物の繊維)のラグを敷き詰めて。

LEMAIRE EBISU
煙突と白塀が印象的な外観。白塀には小さな表札が。
東京都渋谷区恵比寿3-21-1
営)11:00~19:00
不定休
https://www.lemaire.fr/
*「フィガロジャポン」2025年7月号より抜粋
photography: Yasuyuki Takagi text: Ryoko Kuraishi