パフェ日記 #06 昔懐かしのパフェはアイスクリームに秘密がありました。

Gourmet 2017.09.16

パフェが大好きなエディターが、いま食べるべきパフェを厳選して紹介する短期集中連載「パフェ日記」。第6回は、ノスタルジックな気持ちを誘う、イノダコーヒのパフェが登場。

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9月6日
いつも約束の時間にギリギリで動いているのに、予約していた新幹線の時間よりもずいぶん早く東京駅に着いてしまいました。コーヒーチェーンでパソコンを開いて溜まっているメールを返そうかなと思うものの、この日は昔ながらのパフェを食べながら新幹線を待つことに。というのも、友人に昔ながらのパフェを食べるならどこがオススメかと聞かれ、東京駅にあるお店を勧めたから。それ以来、久しぶりに食べに行きたいなと思っていたのです。

この連載で取り上げるパフェもそうですが、近頃はどこのパフェもおしゃれ。懐かしくておいしい(ここが重要)パフェを探すほうが実は難しいのかもしれません。友人にオススメしたのは東京駅の大丸東京店にある、京都の老舗喫茶店「イノダコーヒ」。ここでは京都の本店で古くからメニューにあるパフェを楽しむことができます。あくせく仕事で時間をつぶすのはやめて大丸東京店の8階に向かい、窓際の席でのんびりコーヒーとパフェを楽しむことにしました。

注文したのは「フルーツパフェ」。ホイップクリームの上には真っ赤なチェリー、メロンやキウイ、ミカンなどたっぷりのフルーツとウエハース、そしてグラスいっぱいに入ったアイスクリーム。子どもの頃に食べたような、懐かしくてわくわくする佇まいがなんとも魅力的です。でも味わいの懐かしさは、いったいどこから感じるものなのでしょうか。

おそらくそれはアイスクリームによるもの。バニラビーンズをたっぷり使った濃厚なバニラでもなく、季節のフルーツを使ったソルベでもない。さっぱりとしているけれど、どこか不思議な味わい。実はイノダコーヒで使うアイスクリームは、バニラではなくレモンアイスなのです。これはパフェに限った話でなく、コーヒーフロートやクリームあんみつなど、すべてのメニューで使われるそう。レモンの爽やかな風味を生かし、甘さを抑えたさっぱりとした味わいにこだわるのはもちろんコーヒーに合わせるからなのでしょう。

ここでパフェを食べる時には、もちろんコーヒーといっしょに楽しむのがオススメです。イノダコーヒのコーヒーといえば、創業から変わらぬ定番「アラビアの真珠」。モカコーヒーをベースに、コクと酸味の絶妙なバランスで仕上げた深焙りのコーヒーと交互に楽しむのに、この懐かしいパフェの味わいはぴったりなのです。

駅ナカがどんどん進化して充実する東京駅ですが、時間があるなら一度改札を出るのはどうでしょうか。子どものころと大きく違うのは、深い味わいのコーヒーをパフェと一緒に楽しめること。カップに入ったたっぷりのコーヒーで一息つける大人の空間が、慌ただしい時間をリセットしてくれます。

メロンやキウイなど生のフルーツをはじめ、色とりどりの果物が乗った定番のパフェ。グラスにはたっぷりのレモンアイスクリームでボリューム満点。「フルーツパフェ」¥1,000

たっぷりのクリームに色鮮やかなマロンがのったシンプルなパフェ。大丸東京店ではエスプーマ式の軽やかなクリームを使う。「マロンパフェ」¥900

チェリーとホイップクリーム、そしてチョコレートソースをかけた、こちらもシンプルなパフェ。アイスクリームはもちろんレモン。「チョコレートパフェ」¥900

photos : TORU KOMETANI, réalisation : YOSHINAO YAMADA

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