東京で食べるイタリア郷土料理。#08 【イタリア郷土料理】北東部の冬料理、カネーデルリ。

Gourmet 2019.10.16

発売中の「フィガロジャポン」本誌11月号は、イタリア特集! それぞれが個性的な町や村がモザイクのように煌めく、イタリアの魅力がぎゅっと詰まった一冊です。オンラインでは、東京のイタリア料理店でいただける、イタリア10州の郷土料理をフィーチャー。トレンティーノ=アルト・アディジェ州からは、硬くなったパンで作る素朴な冬の定番、カネーデルリをご紹介。

トレンティーノ=アルト・アディジェ州「カネーデルリ」

ダ・オルモ(虎ノ門)

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「カネーデルリ プレサーティ」¥1,980。パン粉や卵、牛乳を合わせて作るカネーデルリは、素朴で生活感を感じさせる、温かみのある料理だ。

イタリアに5つある自治州のひとつが、トレンティーノ=アルト・アディジェ。イタリアの州の名前と聞いてもピンとこないかもしれないが、それも第一次世界大戦まではオーストリア=ハンガリー帝国の領土だったと聞けば、合点がいくはず。特にアルト・アディジェは南チロル地方とも呼ばれ、ドイツ語が公用語で使われているほど。料理も、ドイツ食文化の影響を強く受けたものが多いという。

「山岳地帯なので山の料理が多く、パスタよりもスープ類をよく食べますね。なかでもポピュラーなのは、『カネーデルリ』のスープでしょうか。ドイツでいうクノーデルのことです」とは、虎ノ門「ダ・オルモ」の北村征博シェフ。硬くなったパンにチーズや野菜などを混ぜ合わせて作るお団子のようなこのカネーデルリは、農作業に明け暮れる農民にとって、一皿で栄養を補充できるたんぱく源であり、また優れた始末の料理でもあったのだろう。このカネーデルリをソテーしてから蒸し焼きにして、焦がしバターのソースで香り豊かに仕上げたのが「カネーデルリ プレサーティ」だ。

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「鹿のグーラッシュ」¥4,180。赤ワインやトマトでじっくりと煮込まれた鹿の前足は、シチューのようなコクのある味わい。下に敷いてあるのは、トウモロコシの粉で作るポレンタ。

また、ハンガリーが起源とされる「グーラッシュ」も、この地方を代表する一品。現地では牛肉がおなじみだが、北村シェフは鹿肉でアレンジ。前足をジュニパーベリーやチョウジなど数種類のスパイスとともに、赤ワインで約2時間じっくりと煮込んでいる。ちなみにトレンティーノ地方には、隣接するヴェネト州の影響を受けた料理が多いそうだ。

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日本ではまだ珍しいトレンティーノ=アルト・アディジェ州の料理を味わえるイタリア料理店。セラーに眠るおよそ2,000本のイタリアワインとともに、実直なおいしさの料理を楽しみたい。

ダ・オルモ
東京都港区虎ノ門5-3-9 ZELKOVA5 101
Tel. 03-6432-4073
営)18:00〜23:00(月、土) 11:30〜14:00、18:00〜23:00(火〜金)
休)日、祝
www.da-olmo.com

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※この記事に記載している価格は、標準税率10%の税込価格です。

photos : KAYOKO UEDA, texte : KEIKO MORIWAKI

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