自然派ワインの造り手を訪ねて。 Vol.1 後編

ロビノがロワールで生み出す、極上のシュナン・ブラン。

いまワインの世界で大きな潮流となりつつある自然派ワイン。フランスでその自然派ワイン造りに真摯に取り組む造り手たちと、彼らが生み出すワインに魅了されたアタッシェ・ドゥ・プレスの鈴⽊純⼦が、ワイン造りの現場からレポート。

特集

October 20, 2019

アタッシェ・ドゥ・プレスとして活躍する傍ら、自然派ワインの造り手を訪問することをライフワークとしている鈴⽊純⼦が、敬愛するジャン=ピエール・ロビノのドメーヌ(ワイナリー)を訪問。後編では、季節外れの氷点下の気候に見舞われた畑の様子、そしてロビノのもうひとつの顔についてお届けする。


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Profil #01
○名前:ジャン=ピエール・ロビノ Jean-Pierre Robinot
○地方:フランス・ロワール
○ドメーヌ名:レ・ヴィーニュ・デ・ランジュ・ヴァン Les Vignes de lʼAnge Vin

>>前編はこちら。

マーガレットの花咲く、ロビノの畑へ。

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「プレシディアル」と名付けられたロビノのブドウ畑には、マーガレットの花が咲いていた

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霜害をまぬがれたブドウのつぼみの下には、フランス⼈が愛する野⽣のマーシュ。

プレシディアル(Presidial)という名の、シュナン・ブランのブドウ畑に連れていってもらう。上の区画はキュヴェ(*1)・ジュリエットとイリス、下の区画はシャルムのキュヴェになるという。点在する畑のブドウは樹齢50年から100年を超えるものも! 彼が育てる品種はロワールの地品種であるシュナン・ブランとピノ・ドニス。⼿に⼊れられて運がよかった、とロビノが語る畑は、ロワール屈指のシュナン・ブランの名醸地ジャニエールやコトー・デュ・ロワールのエリア内にもある。ゆるやかな傾斜を描く畑に⽴つと、⾜元には草や花が豊かに⽣い茂る。その光景に、⿃の鳴き声が調和している。⼼配していた霜もごく⼀部を除いてはほぼ影響を受けておらず、ロビノも満⾜そう。霜を⼼配してあちらこちらから彼に電話が⼊っていた。

*1 キュヴェ:さまざまな意味合いがあるが、“特別な”“ほかと区別された”といった特別感のあるワインの名に付けられることも。

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おちゃめなロビノ。カメラを向けると「⾃然のパワーを、ブドウへ!」のパフォーマンスショーが始まった。

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じゃらじゃらと鳴るアンティークの鍵をたくさん付けた鍵は、奥に見えるカーヴのもの。

作業を終えてカーヴへ。3,000ヘクタールの雄⼤な森の終わりの崖にあるそれは、⽯灰質の岩盤をくり抜いて造られた⾃然のカーヴ。

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整然と並ぶ樽から直接テイスティング。

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時を待ち眠りについているワインの声を聞く。

シュナン・ブランで造る⽩ワインはマセラシオン(*2)せず、古樽で熟成させ完成を待ってからボトリングという、何とも贅沢な造り⽅。発酵しきっているはずなのに⽢味を感じ、むしろアルコールの強さを感じない。旨味、酸など、ワインの構成要素が調和しているからなのだろう。時間が奏でる綺麗な酸化。

特に愛娘の名が付いたスペシャルキュヴェ「ジュリエット・ロビノ」の 2009年(何と異例に⻑い期間、6年間樽で熟成!)と 2010年は⾔葉を失うほど見事なワイン。ちょうど先⽇⾏ったル・コルビュジエ邸が思い浮かぶ。ソリッドにしてタイムレス、優美さ、壮⼤なストラクチャー。そう伝えたらうれしそうに笑った。ロビノは時間の魔術師なのかもしれない。

*2 マセラシオン:ブドウの破砕後、しばらく果肉・種子などを果汁に浸漬しておくこと。

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生まれながらのアーティスト。

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歴代のエチケットたち。

彼のもうひとつの顔、エチケットにも生かされる、抽象画家としての活動は、畑仕事やカーヴでの作業が一段落する10⽉あたりから始まる。仕事や休暇で滞在する地で、夜に光を探して⼀晩中撮影していくそうだ。「わかるか、光のメタモルフォーゼだ、宇宙へ繋がっているんだぞ。ピカソみたいだろ!」とニヤッとするロビノ。ヴェネツィアや南仏、パリなどでエキシビションを精⼒的に行い、これからはストリートアートに挑戦したいと⽬を輝かす。

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こちらは油絵によるエチケット。愛娘の名が付いたスペシャルキュヴェ「ジュリエット・ロビノ」。

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瓶詰めなどを行う作業場。ワインの瓶やポスター、ブドウの古木などがレイアウトされ、アーティストのアトリエのよう。

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これはヴェネツィアで撮影したものだそう。

彼は生まれながらのアーティスト。その繊細な感覚は70歳を過ぎたいまもさらに深化している。常に⾃分のやりたいことに全⼒で挑戦する彼の⽣き⽅に、きっと多くの造り⼿がそうであるように「⽣まれ変わったらロビノになりたい」と心から思った滞在だった。

>>前編はこちら。

鈴木純子 Junko Suzuki
フリーのアタッシェ・ドゥ・プレスとして、食やワイン、プロダクト、商業施設などライフスタイル全般で、作り手の意思を感じられるブランドのブランディングやコミュニケーションを手がけている。自然派ワインを取り巻くヒト・コトに魅せられ、フランスを中心に生産者訪問をライフワークとして行ういっぽうで、ワイン講座やポップアップワインバー、レストランのワインリスト作りのサポートなどを行うことで、自然派ワインの魅力を伝えている。10月25日(金)、26日(土)に銀座ソニーパークのポップアップストア「ÉCRU. GINZA」にて、パティシエールのオザキリエ氏とワインイベントを開催予定。詳しくはインスタグラムにて。
Instagram: @suzujun_ark

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ワイン通パリジェンヌいちおし! ヴァンナチュール最前線。
大好きなヴァンナチュールが買える&飲める、ワイン好きの楽園。

photos : JUNKO SUZUKI

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